ルポ・奥多摩前衛の里山で、知られざる巨木と廃線跡に出合う。南沢あじさい山から勝峰山へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

梅雨入りの便りが迫る週末、アジサイの開花状況を見に、東京西部・あきる野市にある南沢あじさい山へ。さらに勝峰山(かつぼうやま)までつないで歩いたところ、予想外に数々の発見があった。

写真・文=中島タツヤ、トップ写真=巨樹が立ち並ぶ勝峰山山頂

目次

金比羅山から南沢あじさい山へ

南沢あじさい山は、奥多摩や秋川(あきがわ)渓谷への玄関口である武蔵五日市駅の北西にある。その名のピークがあるわけではなく、地元の方が50年もの歳月をかけてアジサイを植えた場所で、その数1万5000株を超えるといわれている。通常のアクセスは武蔵五日市駅北口から車道歩きで約50分なのだが、今回は金比羅山(こんぴらさん)経由でアクセスすることにした。

〉武蔵五日市駅からスタート
武蔵五日市駅からスタート

檜原村方面への車道を進み、住宅地を縫って金比羅山への山道を上がっていく。舗装された箇所が多く歩きやすいので、ペースが上がる。途中に展望台があったが、その先にあるあずまやの方が展望がよい。

〉あずまやからの展望
あずまやからの展望

やがて、琴平神社のある金比羅公園園地に到着。テーブルやトイレがあり、よい休憩スポットだ。ここが山頂かと思いきや、金比羅山の山頂はまだ先であった。神社の裏にそびえる巨大な岩を横目に、気持ちのよい快適な道を北に向かう。

〉琴平神社裏の岩場
琴平神社裏の岩場
〉金比羅山への快適な登山道
金比羅山への快適な登山道

脇道に入り金比羅山の山頂に着いたが、木々に囲まれており展望はない。そそくさと山頂を後に、日の出山(ひのでやま)方面の道と分かれて林道へ。林道の少し先であじさい山方面に下る。

足の運びに注意が必要な結構な急坂で、登ってくる方々はとても大変そうだった。ようやく沢沿いに下り立ち、期待に胸を膨らませながら整備された砂利道を下れば、あじさい山のエリアである。しかし、残念ながらアジサイはまだ見頃を迎えておらず、青色のアジサイが数株、そして白いアジサイがチラホラ程度であった。

〉開花した青いアジサイはここだけ
開花した青いアジサイはここだけ

ただ、一帯にはとてつもない数のアジサイが植えられているので、見頃の時期は圧巻の光景となるだろう。

〉まだ青々としていたあじあい山。聞いたところによると、この時はまだ三分咲き
まだ青々としていたあじあい山。聞いたところによると、この時はまだ三分咲き

例年ここでは「あじさいまつり」が開催され、2025年は6月7日から7月6日まで。訪れた時は、開花の遅れからまだまつりは始まっていなかったが、まつり開催期間中は入山料の支払いが必要だ。ちなみに、あじさい山の開花した様子が別の記事で紹介されているので、以下参考にしてほしい。

関連記事

南沢あじさい山を後に、車道を武蔵五日市駅方面に下る。道路脇に、ちらほらアジサイの花が咲いているのが印象的であった。途中から脇道にそれて三内川(さんないがわ)を越えて橋をくぐり、高台の集落に出た。

〉高台の集落に広がるのどかな風景
高台の集落に広がるのどかな風景
NEXT 熟達者向けの尾根で、道を間違える
1 2 3

目次

この記事に登場する山

東京都 /

金比羅山(あきる野) 標高 468m

武蔵五日市駅の北東側にそびえるのが金比羅山で、山頂付近にある金比羅公園展望台からは、五日市の街並みを見下ろすことができる。 古くは山岳信仰の対象とされていて、山頂の南側、約300mの場所には琴平神社が立ち、奥には「金比羅山の天狗岩」と呼ばれる大岩が鎮座している。

東京都 /

勝峰山 標高 454m

奥多摩前衛、日の出町にある低山。石灰岩が隆起した山で、山麓にはセメント工場がある。地元のボランティア団体によって整備されている。血の池、鈴石、カルストの小径などの見所もあり、平将門伝説が残る。巨樹が立ち並ぶ山頂や展望台からは周囲の眺めがよい。

都市近郊の自然探索ハイキング

都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ

編集部おすすめ記事