日帰りで訪ねる秩父の奥深き山・熊倉山トレッキング
読者レポーターによる登山レポをお届け。上町嵩広さんは秩父の熊倉山(くまくらやま)へ。駅起点で日帰り登山が楽しめるルートです。
文・写真=上町嵩広
2024年ゴールデンウィークに登った山のなかで印象的だった埼玉県・熊倉山(1427m)についてレポートいたします。
熊倉山はこんな方におすすめです。静かな森と山歩きを楽しみたい、ガッツリと登り応えのある山に登りたい、そして、秩父の山が好きな方。
秩父鉄道・白久(しろく)駅を起点に城山(しろやま)コース(小幡[おばた]尾根)から熊倉山頂上に至り、日野(ひの)コースを下山して秩父鉄道・武州日野(ぶしゅうひの)駅に帰着します。
白久駅からスタートして小一時間ほどは舗装道路の坂道を登山口まで上がっていきます。途中でキジに出くわして少し心躍りました。
いよいよ登山口から本格的に登山開始です。初っ端は針葉樹中心の斜面を、左右に折れ曲がりながら上がっていきます。折り返し点が不明瞭なところもたまにあるのでお気を付けください。
いったん稜線に出ると今度は石尾根の道を上がっていくゾーンとなります。ちょっとしたヤセ尾根もあります。今回はアセビの花が最盛期だったようです。近づくと独特の甘い香りが漂います。登山道の途中にある道標はナンバリングされており参考になります。とはいえ、これもありがちですが、道標は等間隔に設置されているわけではありません。
やがて登山コースも終盤に差しかかると広葉樹も増えて明るい林相となってきます。ここからが踏ん張りどころ。山頂までは直登気味の道が連続し、ふくらはぎに負担がかかります。下山路に使う日野コースの分岐点までくればもう山頂直下です。最後に壁のような斜面を登り上げれば熊倉山頂上です。
山頂は樹林で囲まれており、さほどの眺望はありませんが、ここまでのしんどかった道のりを踏破して大きく息をついて感慨に浸ります。登頂までお会いした登山者の数は両手の指に満たないほど。秩父の山と森歩きを静かに満喫できます。またもうひとつの魅力である、断続する急登の歩きごたえは充分です。山頂は広めなのでゆったりと休憩をとることができます。
下山は山頂から日野コースで秩父鉄道・武州日野駅に向けて下りていきます。登ってきた際に通過した分岐点まで戻り、日野コースに入ります。城山コースと同様に道標も要所に設置されているので、迷うことはあまりないかと思います。笹平のあたりはコバイケイソウがたくさん広がっていました。途中にロープが張ってある岩場もありますが、難易度は高くありません。沢に出ると何度か徒渉を繰り返します。徒渉点はそのときの水量などにもよるので、周囲を見回して適切なポイントを見つける必要があります。左手に林道へ出るポイントまでくれば登山道も終わりです。
このあとは道なりに林道を進むことになります。集落に入って如意輪観音堂へのルートをとり武州日野駅に到着します。今回はここがゴールです。武州日野駅から徒歩15分くらいのところに道の駅があり、農産物直売所や食堂が入っているので、立ち寄るのもよさそうです。
熊倉山は、秩父山地で日帰り登山ができ、かつ秩父の深い山と森の雰囲気を感じられる貴重な山という感想です。秩父・奥秩父は山の奥にまた山があるという、とても奥深い山の印象があります。その様相は“深山”(みやま)という言葉ぴったりだと思います。ニホンオオカミがまだ生息しているのではという噂があるのもうなずけます。
(山行日程=2024年4月28日)
今回購入したお土産紹介
「ちちぶ餅」

「ふわふわ」と形容されることも多いと思うのですが、個人的にはむしろ「とろんとろん」という感想でしょうか(ふわふわ感も大いにありますが)。とにかくすごく柔らかい。餅の中のつぶあんも甘さ控えめで餅の味と食感が損なわれないので、どちらかというと餅が主役のように思えます。水戸屋本店は西武秩父駅から徒歩10分足らずの近い距離にありますが、西武秩父駅併設の土産物のモール「ちちぶみやげ市」でも販売されています。
MAP&DATA
コース
白久駅~熊倉山~笹平~武州日野駅(参考コースタイム:7時間25分)
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上町嵩広(読者レポーター)
登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。好きな山は八ヶ岳の編笠山。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」。
プロフィール
山と溪谷オンライン読者レポーター
全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。
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