圧巻の富士山と黄金のススキ原! 初冬の鉄砲木ノ頭で楽しむ癒やしの静寂ハイク
読者レポーターより登山レポをお届けします。上町嵩広さんは山中湖畔にたたずむ鉄砲木ノ頭(てっぽうぎのあたま、1291m)へ、日帰りハイクに出かけました。黄金色に輝くススキ原を抜けた先に待っていたのは、息をのむような富士山の大展望。絶景、静寂、そして温泉と、冬の低山の魅力がぎゅっと詰まった山旅のレポートです。
文・写真=上町嵩広
MAP&DATA
劇場の舞台のような「パノラマ台」へ
夏は風邪をこじらせ、秋は仕事に追われ、紅葉シーズンも完全にタイミングを失ってしまいました……。そんなわけで秋の名残を少しでも感じたいと思い、ススキ原がみごとな鉄砲木ノ頭をめざしました。
バスタ新宿から高速バスに乗り込み、終点の山中湖・平野で下車。さっそく富士山の雄姿にご挨拶します。富士山を右手に山中湖沿いに道を歩くと、三国山ハイキングコースの入口です。道標に従って坂道をゆるやかに登っていくと、パノラマ台に到着しました。
広いウッドデッキはまるで劇場の舞台のよう。正面左手に富士山、そして右手に山中湖の湖面が大きく展開しています。「すばらしい!」の一言。パノラマ台は自動車でも来られるので、多くの方が眺望と撮影のためにいらっしゃっていました。
黄金色のススキの森を越え、鉄砲木ノ頭の山頂へ
パノラマ台から奥に延びる鉄砲木ノ頭へ向かう登山道に入ります。この先は山頂までススキ原、というよりも「ススキの森」ともいえる景観の中を登っていきます。ほかではなかなか経験することができない風景ではないでしょうか。
登り続けて小一時間。山頂に到着して振り返れば、ススキ原の向こうに立つ富士山の姿にまた嘆息します。富士山の写真をひたすら撮り続けました。何枚撮影しても飽きることがない、富士山の不思議な魅力の源泉はいったいなんなのでしょうか。
鉄砲木ノ頭。この奇妙な山名の由来は、諸説あるようですが、この地域の木材運搬のために“鉄砲水”という手法を用いており、「水」が「木」の漢字にいつしか置き換わった、ともいわれているそうです。うーむ、なんだか腑に落ちない。謎です。ちなみに別名は「明神山」。
サクサクと鳴る落ち葉の絨毯と、高指山
西面のススキ原から一転、北側は樹林帯です。とはいっても紅葉はすでに過ぎ去り、落ち葉が地面を覆っています。厚く積もった落ち葉を踏みしめていきます。柔らかな足裏の感触とサクサクという音が心地よい。
常緑樹がほとんどないため、すっかり葉を落として幹と梢だけの林が続きます。冷たい風も吹き、一見すると殺風景ですが、その一方で澄んだ青空とひんやりとした空気のせいか、ちょっとすがすがしい気分にもなります。山頂から先の道に期待していなかっただけにうれしかったです。
いったん切通峠まで下りてから高指山(たかざすやま)に向かって登り返すと、ふたたび富士山の姿が見えてきました。空を仰ぎ見て斜面を登り切れば山頂です。高指山もススキ原となっており、視界が大きく広がり、どーん!と富士山の大きな山容を目にすることができます。
下山後は「石割の湯」で冷えた体を温める
さらに富士岬平まで進み下山しました。斜面に切り拓かれた別荘地の間を抜けていくと、国道413号(道志みち)に出て山中湖側へ西に。最後は日帰り温泉「石割の湯」で冷えた体を温めました。山中湖・平野に戻り、高速バスに乗り、富士山に別れを告げて帰京です。
雪が本格的に降り始める前の初冬。森の静かな雰囲気、そして飽きることのない富士山の美しい姿を眺めながらの山歩きを楽しめるショートハイキング。仕事で忙しなくて心にゆとりのない日々が続いていましたが、富士山の雄姿に元気づけられ、清涼な冬の快晴に気分もリフレッシュできました。
(山行日程=2025年12月6日)
関連リンク
この記事に登場する山
プロフィール
上町嵩広(読者レポーター)
登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。好きな山は八ヶ岳の編笠山。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」。
山と溪谷オンライン読者レポーター
全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。
山と溪谷オンライン読者レポート
山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。
こちらの連載もおすすめ
編集部おすすめ記事

- 道具・装備
- はじめての登山装備
【初心者向け】チェーンスパイクの基礎知識。軽アイゼンとの違いは? 雪山にはどこまで使える?

- 道具・装備
「ただのインナーとは違う」圧倒的な温かさと品質! 冬の低山・雪山で大活躍の最強ベースレイヤー13選

- コースガイド
- 下山メシのよろこび
丹沢・シダンゴ山でのんびり低山歩き。昭和レトロな食堂で「ザクッ、じゅわー」な定食を味わう

- コースガイド
- 読者レポート
初冬の高尾山を独り占め。のんびり低山ハイクを楽しむ

- その他
山仲間にグルメを贈ろう! 2025年のおすすめプレゼント&ギフト5選

- その他