バックカントリーでは総合的な登山技術に加え基本的な滑走技術も必須。 島崎三歩の「山岳通信」 第105号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年3月5日に配信された第105号では、期間中に起きたバックカントリースキー滑走中の事故などについて触れている。
3月5日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第105号では、2月17日~25日に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
2月17日、八ヶ岳連峰阿弥陀岳で、44歳の男性が阿弥陀岳から下山中に滑落し左足を負傷する山岳遭難が発生。翌18日に県警ヘリにより救助された。
2月20日、八ヶ岳連峰高見石付近で、25歳の女性が宿泊中の山小屋で体調不良となり行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。
2月24日、北安曇郡小谷村の大渚山で、60歳の男性がバックカントリースキー中、立ち木に衝突して頸椎骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。大町署員などにより救助された。
2月25日、北アルプス白馬乗鞍岳で、48歳の女性が白馬乗鞍岳・親沢をバックカントリースキー中、バランスを崩し転倒して左足下腿部骨折の重傷を負う山岳遭難が発生した。
山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
2月3週は、週末に八ヶ岳で単独の男性登山者が滑落により遭難しました。遭難者は自ら携帯電話で救助要請を行い、地上から駆けつけた救助隊により救助されましたが、単独行は遭難時に、怪我や現場の状況によっては自ら助けを呼べない場合もあります。このように単独登山は非常にリスクが高いことを認識し、慎重な行動に努めてください。
2月4週はバックカントリースキー中の遭難が2件発生しました。バックカントリースキー・スノーボード遭難は本年に入り既に9件発生しています。遭難の内容を見ると、立ち木への衝突(3件)転倒(2件)など、遭難者の技量不足や不注意によるものが散見されます。
バックカントリースキー・スノーボードは整備されたスキー場ゲレンデと違い、立ち木や岩場などの様々な障がい物や、不安定なスノーブリッジ、雪崩等の危険要素を的確に回避しながら滑走する技量が求められます。日ごろから総合的な登山の知識、技術の習得に加え、基本的な滑走技術の向上にも努めましょう。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。