登山では天候は非常に重要な判断材料のひとつ。入山前や行動中に的確な判断を 島崎三歩の「山岳通信」 第374号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第374号では、年末に北アルプス・爺ヶ岳で起きた遭難事故について言及。事前および行動中の天候の確認と的確な判断の大切さを説明している。


1月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第374号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 12月28日(土)、戸隠山麓の鏡池で、単独で入山した30歳の男性が戸隠神社奥社から下山中に道に迷い、行動不能となった。

  • 12月30日(月)、野沢温泉村の毛無山で、50歳の男性が2人パーティでバックカントリーを滑走中に雪の割れ目に転落、雪に埋もれて死亡した。

  • 12月30日(月)、戸隠山麓の鏡池で、単独で入山した26歳の男性が、戸隠神社奥社から下山中に道に迷い、行動不能となった。

  • 12月31日(火)、北アルプスの爺ヶ岳で、3人パーティで入山した東京の大学生(23歳の男性・21歳の男性・20歳の女性)が、爺ヶ岳東尾根で幕営中に強風でテントが破損、行動不能に。雪洞でビバーク後、翌日、県警ヘリが3人を発見して無事救出した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

昨年の12月23日から12月31日の間、県内では4件の山岳遭難が発生しました。
 
爺ヶ岳東尾根で発生した山岳遭難は、爺ヶ岳東尾根で幕営中、強風によりテントが破損、行動不能になったものです。通報時、3人のうち1人には低体温症の兆候が見られていましたが、雪洞を掘って風雪をしのぎ、翌日、無事に県警ヘリコプターで救助されました。

みなさんも、「テントが使えない」「仲間や自分がケガをした」など、トラブルが発生したときに対処できるよう、入山前に確認・トレーニングをお願いします。

また、冬山に限りませんが、登山において、天候は非常に重要な判断材料のひとつです。入山前や行動中に天候をよく確認し、「入山自体を中止する」「行き先を変更する」「登頂を断念して下山する」など、その都度、的確な判断をお願いします。

 

登山Safety Book~冬山山岳情報、完成

今年度の『登山Safety Book~冬山山岳情報』が完成しました。北アルプスや八ヶ岳連峰をはじめ、長野県内の各山域ごとに、積雪の状況、雪崩の危険箇所、迷いやすい場所、交通情報などをまとめており、冬山登山の最新情報や注意事項が満載です。長野県警察本部の「山岳情報」のサイトに掲出されていますので、ご確認ください。 

雪山に登るための“3つのチェック”

  • 山の天気予報の確認 ⇒ こんなキーワードには警戒しましょう!  ・・・・・・冬型の気圧配置、強い寒気、強い風
  • 雪山装備の確認 ⇒ 雪山のリスクに対応した装備を携行しましょう! ・・・・・・低体温症・凍傷、転倒・滑落、雪崩・ホワイトアウト 
  • 登山計画書の提出 ⇒ 登山計画書には大切な意味があります! ・・・・・・事前のシミュレーション、捜索・救助の手がかり

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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