スキー場の管理区域外へ出ることは大きなリスクを背負うことになる認識を 島崎三歩の「山岳通信」 第380号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第380号では、期間中に起きた遭難事故がすべてバックカントリーでの遭難となっている状況に、スキー場の管理区域外へ出るリスクをあらためて説明している。
2月13日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第380号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
2月5日(水)、下高井郡山ノ内町大字平穏地籍の山林内で、バックカントリー滑走のため単独で入山した53歳の男性が道に迷い、行動不能となった。
2月7日(金)、北アルプスの岩蕈(いわたけ)山で、スキー場内のコースを滑走していた19歳の男性2人が、なんらかの原因で管理区域外に逸脱し、行動不能となった。
2月9日(日)、北アルプスの地蔵の頭で、バックカントリ―滑走のため単独で入山した43歳の男性が、発病により行動不能となった。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、長野県内では、3件の山岳遭難があり、すべてバックカントリー遭難です。
①バックカントリーは、スキー場の延長線ではありません!
「ふかふかのパウダースノーを求めて」「新雪の浮遊感がたまらない」「ファーストトラックを滑りたい」「誰も滑走していない場所にシュプールを描く」などと、最高の雪質に誘われてスキー場の管理区域外へ出てみれば、そこは大きなリスクを伴う、冬山そのものです。
②安易な気持ちで、スキー場の境界線(ロープ)を越えていませんか?
「このまま滑って行けば、いずれゲレンデや道路に出るだろう」「ゲレンデに沿って、滑っているから大丈夫」「誰かのシュプールがあるから大丈夫」「下に街が見えているから大丈夫」「SNSで情報を見た」「みんな滑っているから雪崩は大丈夫」・・・しかし、ロープの向こう側は管理されたゲレンデとは違い、すぐに救助が向かえる場所ではありません。
③その境界線の先には、危険(リスク)がいっぱいです!
- 滑走に適した斜面は、雪崩斜面
- 胸までの新雪で、滑ることも登ることもできない
- 自分がどこにいるのかわからず、携帯電話も圏外で救助も呼べない
- 転倒したら新雪に埋まって窒息
- 崖や滝、沢に気がつかず、転落
- 立木や岩に衝突し、骨折
遭難者の中には、ビバーク装備を含め、装備品が不十分な方が多くいます。 ゲレンデの延長線で、着の身着のまま管理区域外(バックカントリー)を滑走する行為は、致命的な遭難に直結します。
ゲレンデのルールや利用規約を確認し、マナーを守って安全にスキー・スノーボードを楽しみましょう。また、バックカントリーに出る場合には、必ず天候やルートを確認し、雪崩対策装備やビバーク装備を携行しましょう。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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