積雪が非常に多い今年の冬山、対応した装備の携行を 島崎三歩の「山岳通信」 第381号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第381号では、県内では積雪が非常に多い状況を説明、雪に埋まったり、雪崩に巻き込まれたりするリスクを認識した装備の携行を促している。


2月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第381号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月9日(日)、単独で戸隠山周辺に登山に出掛けた72歳の男性が行方不明のままになっている。

  • 2月10日(月)、戸隠連峰の佐渡山で、バックカントリー滑走のために単独で入山した41歳の男性が道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生した。

  • 2月10日(月)、根子岳で、バックカントリー滑走のために単独で入山した51歳の男性が、滑走中に雪崩に巻き込まれてスキー板を紛失して行動不能となった。

  • 2月10日(月)、八ヶ岳連峰の赤岳で、2人パーティで入山した65歳の男性が、滞在中の山小屋の階段で転倒、負傷した。

  • 2月10日(月)、毛無山で、スキー場の管理区域外を滑走していた50歳の男性と37歳の女性が、道に迷い負傷、無事に救出された。

  • 2月11日(火)、単独で八ヶ岳連峰の横岳の杣添尾根を下山中の51歳の男性が道に迷い、行動不能となった。

  • 2月14日(金)、野沢温泉村地籍の山林内で、2人パーティでスキー場の管理区域外を滑走していた39歳と31歳の男性が、道に迷い行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、7件の山岳遭難があり、1件は行方不明遭難(先々週に発生)です。 

今シーズンは、北部を中心に積雪が非常に多い状況です。そのため、バックカントリーや登山、トレッキングでルートを誤ると、スキーやスノーシューなしでは胸まで雪に埋まってしまう場所もあります。また、ふかふかのパウダースノーに行く手を阻まれ、クライミングスキンやスノーシューがあっても、登り返しが困難な場合もあります。自身が入山する山域の積雪状況を調べるとともに、悪天候時は、ホワイトアウトとなり、進行方向がわからなくなる場合もあるため、慎重な計画をお願いします。

《雪崩に警戒》

大量の降雪後は、「表層雪崩」が発生しやすくなり、自身や仲間が雪崩を誘発して巻き込まれるリスクが高まります。雪崩遭難では、現場における初期対応が極めて重要(生存救助のポイント)です。雪崩対応装備(ビーコン・プローブ・ショベル)を持っていますか?

ビーコンやプローブがなければ、自身や仲間が埋没した際に、探してもらうことも、探すこともできません。雪崩の雪は重いため、手で掘ることは困難です。ショベルがなければ、迅速に掘り起こすことはできません。緊急時に、使いこなせる訓練をしましょう。

~雪崩対応装備はお守りではありません。持っているから雪崩に遭わないわけでもありません~

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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