春の気象の特徴を理解して、安全登山の徹底を 島崎三歩の「山岳通信」 第386号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第385号では、長野県の山岳地帯の気象の特徴ついて説明し、悪天候が予想される場合は登山の中止も検討することを促している。
3月26日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第386号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
3月19日(水)、八ヶ岳連峰の茶臼山で、2人パーティで入山した68歳の男性が、麦草峠から北横岳方面に向けて登山中に肉離れにより行動不能となった。
3月20日(木)、野沢温泉村の毛無山で、4人パーティでスキー場管理区域外(バックカントリー)を滑走中していた36歳の男性が、氷塊に接触して転倒、負傷した。
3月21日(金)、中央アルプスの檜尾岳で、単独で入山した38歳の男性が行方不明となっている。
3月21日(金)、北アルプスの西穂高岳で、単独で入山した58歳の男性が西穂高岳に登頂後に新穂高温泉に向けて下山中、独標付近で滑落、死亡した。
3月22日(土)、北アルプスの白馬乗鞍岳で、7人パーティで入山した31歳の男性が、白馬乗鞍岳の天狗原でバックカントリーを滑走中に、立ち木に衝突して転倒、負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、長野県内では、5件の山岳遭難が発生しました。このうち1件は行方不明者の出る遭難でした。
春は短期間で周期的に天気が変わります。都市部では暖かい日が続き、桜の開花など、春を感じるようになりましたが、天気予報で「爆弾低気圧」「急速に発達した低気圧」「南岸低気圧」「春の嵐」などのワードがあった場合、山の上は暴風雪で大荒れになります。
また、登山口は雨でも、稜線は猛吹雪の可能性もあります。長野県内の標高が高い山域では、天候が崩れれば、一瞬で真冬に逆戻りします。過去には、この時期の天候悪化により、ホワイトアウト→道迷い→低体温症→行動不能となる「気象遭難(死亡遭難)」が発生しています。
この時期は天気を見誤ると、致命的な遭難に至る場合があります。今一度、事前にルート状況や天候を必ず確認し、天候不良の場合は、登山を中止しましょう。
登山SafetyBook(春山情報) を作成しました!
長野県警察では『登山SafetyBook(春山情報・PDF)』を作成しました。県内各山域の登山ルート上の危険情報(滑落・雪崩)などが記載されています。春山登山をされる方は、ぜひご一読ください。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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