きのこ採りによる死亡遭難が相次いでいます。単独入山や単独行動は控えましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第417号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第417号では、きのこ採りによる死亡遭難が3週連続で発生していることに言及。足場が安定していない急斜面での滑落リスクを伝えるとともに、無理をしないよう呼びかけている。
10月22日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第417号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
10月14日(火)、大町市八坂地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した76歳の男性が滑落、死亡した。
10月15日(水)、下伊那郡泰阜村地籍の山林内で、きのこ採りのために3人パーティで入山した86歳の男性が、別々に行動中に滑落、死亡した。
10月16日(木)、北アルプスの蝶ヶ岳で、単独で入山した81歳の男性が、三股登山口から蝶ヶ岳に向けて登山中に、悪天候により行動不能となった。
10月17日(金)、下伊那郡大鹿村大字大河原地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した83歳の男性が滑落、死亡した。
10月17日(金)、霧ヶ峰の蝶々深山で、3人パーティで入山した63歳の女性が、蝶々深山に向けて登山中に石につまづき転倒、負傷した。
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10月17日(金)、小県郡青木村の夫神岳で、単独で入山した73歳の男性が、夫神岳から下山中に滑落し、疲労により登山道に戻れず行動不能となった。
10月18日(土)、八ヶ岳連峰の中山で、2人パーティで入山した69歳の女性が、白駒池から中山に向けて登山中に石につまづき転倒、負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、長野県内では7件の山岳遭難が発生しました。このうち3件はきのこ採り遭難で、3名の方が亡くなりました。
きのこ採りによる死亡遭難は、3週連続で発生しています。すでに6名の方が亡くなっており、70代以上の高齢の方が遭難しています。きのこ採りは、林道や登山道から外れた山林内に入り、足場が安定していない急斜面に入り込んで行なうことが多いため、滑落のリスクが非常に高いのが特徴です。きのこ採りで入山する際は、絶対に無理をしないでください。
また、ご家族にきのこ採りをする方がいる場合には、以下のことを伝えて下さい。
- 単独入山や単独行動は控えること
- 入山場所と予定を必ず共有すること
- 万が一に備え、携帯電話・ヘッドランプ・防寒着などを必ず携行すること
北アルプス等の山域では、徐々に山小屋の営業が終了しています。事前に山小屋の営業期間を確認するとともに、自分が登るルートや天候等の下調べをしっかりと行ない、入山しましょう。
長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ
「焼岳 登山道」冬期間の通行止め(10月22日~)
松本市アルプスリゾート整備本部によりますと、上高地から焼岳への登山道の中腹に架かるハシゴは、冬期間の凍結と春先の雪崩により、破損の恐れがあるため撤去されます。このため、上高地側の登山口から焼岳小屋の間は完全通行止めとなります。
- 1.通行止め区間:上高地側焼岳登山口~焼岳小屋(迂回路はありません)
- 2.通行止め期間:2025年10月22日(水)~2026年5月中旬(予定)
詳細は松本市アルプスリゾート整備本部までご確認ください。
「白馬大雪渓ルート」通行止め(9月29日~)
白馬村などによりますと、白馬大雪渓ルートは、9月末になって安全なルートを確保することが難しくなってきたため、関係者が現地調査を行なうなどして協議した結果、9月29日(月)から通行止めとすることになりました。白馬岳頂上へは白馬鑓温泉ルート、または栂池ルートを利用することになります。
⇒詳細はこちらから
「徳本峠越え」のクラシックルートの通行止め解除
松本市の島々から徳本峠を通り、上高地の明神に至る登山道(島々明神線歩道)の通行止めが解除されました。大規模な土砂崩落のため、4月9日から通行止めになっていましたが、このほど整備が完了したため、9月30日(火)から通れるようになりました。
- 落石や滑落のリスクがあるうえ、体力と技術を要する難ルートですので充分にご注意ください
- 入山にあたっては、必ず登山計画書を提出してください
北アルプス地域に「ツキノワグマ出没注意報」クマにご用心!
北アルプス地域において、9月14日から20日までの里地でのクマ目撃件数が、前週の1.5倍以上に増加したことから、北アルプス地域に「ツキノワグマ出没注意報」が出されました。
上高地や後立山連峰をはじめ、各山域の登山道周辺でも目撃情報が寄せられています。秋山では、どこでクマと遭遇してもおかしくありません。登山の際は、なによりもクマとの遭遇を避けるための対策を行ないましょう!
<注意点>
- 朝夕は特に注意、複数人で行動する
- クマ鈴、ラジオ、笛などを携帯して存在を知らせる
- クマの存在を意識する
- 子グマを見たらそっと立ち去る
※長野県の関連ウェブサイトをご参照ください。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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