「パッキングのコツは?」山のイラストレーター鈴木みきさんに、独自のノウハウが満載の山旅術、そしてグレゴリーの「ジェイド」について聞いた!
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写真=水谷和政、協力=鈴木みき、サムソナイト・ジャパン
山のイラストレーターとして活躍する鈴木みきさん。そんな鈴木みきさんに、普段持ち歩く山の道具、旅の道具や、好きなものについて、そして、グレゴリーの最新のバックパック「JADE(ジェイド)」について聞いた。
カナダの国立公園から、「読者モデル」をステップに、山の世界へ
東京生まれで、山とは無縁、「鍵っ子のインドア派」で、家で絵を描いてるのが好きだったという鈴木みきさんが、山と出会ったのは、24歳の時に1年を過ごしたカナダでのこと。
カナダ人の友人と、バックパックを背負い、1ヶ月半くらいバスで旅をして、カナディアンロッキーの麓の国立公園へ。大自然の景観に圧倒され、トレイルを歩くことの魅力を知ったのだという。日本に帰ってきて、日本でもそういうところを歩いてみようと思ったそうだ。
ところが。日本で自然の景観を求めていくと「山」「登山」「山ヤ」の世界だとわかった。当時のみきさんにとっては、堅く、怖いイメージがあった。「そんなところに一人では入っていけない」と考えながら、山の専門雑誌を見ていたところ、現在の『ワンダーフォーゲル』の前身である登山雑誌『ヤマケイJOY』に、「読者モデル募集」と書いてあった。
読者モデルなら、知識や技術のある専門的な人たちに連れて行ってもらえるかも。「これだ!」と思って応募したところ、しばらくして編集部から連絡が。
初めての山取材は、春の雲取山の2泊山行。編集者とイラストレーターの沢野ひとしさんと同行した。「沢野さんのルポと、私がモデルのノウハウ記事の並行取材だったんだけど、歩いているうちに、沢野さんが、一緒に取材しちゃえばいいじゃん、と言ってくれて、ルポにも出ることになったんです。沢野さんには、イラストを仕事にすることも聞いて、自分にもできそう、というか、やってみたらいいよ、と後押しされたんです」。
「アパレルのショップ店員をやりながら、シフトが少ない冬には、スキー場やホテルの住み込みアルバイトもしてました。夏は八方池山荘の山小屋のアルバイトも。山の近くに住んで、山を近くに見るのが好きでした。住み込みじゃないときは、編集部からも、ちょいちょい呼ばれるようになって。平日も自由に時間が取れるし、重宝されたんだと思います」。
「読者モデル」という立場でいろいろな山に行きながら、人に出会い、山に出会い、山に関わる活動をしてきた。
山梨で8年ほど山の麓の田舎暮らしを経験したあと、最近は、札幌に移住して日本語を教える学校に通い講師の資格を取得した。山に関しては、年に8回ほど、自らプロデュースする国内外の山旅ツアーを企画したり、売上の一部を山を守る寄付に充てるオリジナルアイテムを販売する活動を行ったりしている。
「パッキングのコツは? ウェアの好みは」 鈴木みきさんに聞く山旅のノウハウ
「私、パッキングうまいんですよ」というみきさん。道具選びのポイントや、山、旅に持っていくアイテムについて聞いてみた。
「私が好きなのは、長く使えて、丈夫で、シンプルなもの。服装は派手な色・柄ではなく、山用のウェアでも、シンプルで着回しがきいて、普段使いもできるもの。アースカラーなど地味な色が多いんです。けっこう古いウェアもずっと使っています。登山装備は、ひとつのアイテムについて一揃えしか持たないので、例えば、テントはひとつだけ、シュラフは夏用ひとつ、冬用ひとつ、とか」
「ただ、たくさん持っているのが、ザック。容量の違いがあるっていうのもあるけど、昔からカバン類が好きで。それと靴かな。ギアとしても興味深いので、いろいろ買っています。」
冒頭のパッキングのコツについて聞くと「パッキングはですねぇ。『力づく』です(笑)。これは20年以上、山をやってきて積み上げたノウハウで、『どんな隙間も許さないパッキング』を得意技としています」とのこと。
テント泊をするときは、テントやシュラフは、元々のスタッフバッグではなく、大きな袋に入れかえて、ザックの中でどう形が変わってもいいようにして、その上からギュウギュウに詰めるのがコツ、だそう。
「なので、私のパックは嵩が少なく見えるみたい。ツアーで一緒に歩く人たちに、ザックが小さいって言われるんです。でも、実はぎっちりいろいろ入っていて驚かれます(笑)」。
ほかに、山に旅に必須のアイテムについて聞いてみた。
「最近の必須アイテムは、ズバリ、『ジッパー袋』ですね」。荷物の仕分け、防水にしても、自分用だけでなく、ツアー同行者が必要になったときなど、予備も考えて、サイズを変えて何枚も持っていくという。
それから、折りたたみ傘。風がなく、フードをかぶるほどではない雨には、レインウェアより傘が便利なことも。万が一、外で用を足すようなときの目隠しにもなるそう。山だけではなく、街歩きもするし、折りたたみ傘は必ず忍ばせていく。
薄手で折り畳めるサブバッグも必携だ。山から降りてきてお風呂に行く時、山小屋に荷物を預けて山頂往復する時、下山後の街でお土産が増えてしまった時に。山でも旅でも重宝するという。
「イラストレーターだから『スケッチブック、持っているんでしょう?』とよく聞かれるんですが、持っていくことは少ないです」。
背負い心地が柔らかく、フィット感が良い。グレゴリーの「JADE(ジェイド)」について
現在「グレゴリークルー」としても活動する鈴木みきさんに、グレゴリーの女性用バックパック「JADE(ジェイド)」について、紹介してもらった。
以前から好んで使っていたグレゴリー、以前のイメージは「ヘビーデューティー」だったそうだが、「最近はどんどんアップデートされて、軽くて扱いやすくなっていると思います。自分が小柄なので、ザックはやっぱり女性モデルがいいですね。ほかには、UL系の大型ザックを使っていますが、海外の空港や長距離バスで雑に扱われたときが不安。海外トレッキングでは、ザックを馬とか牛が運ぶこともあって、タフな方がいいと思いました。グレゴリーはその点で安心できます。大型だと「DEVA(ディバ)70」も使っています。」
ジェイドについては「私が以前使っていたのは、雨蓋が付いている28リットル、33リットルのモデルでした。今日持っている38リットルのサイズは、汎用性が高くてとても使いやすいサイズだと思います。」
メッシュ地のフロントポケットには、薄いウインドブレーカーと帽子を入れ、ヒップベルトポケットには虫よけクリーム、日焼け止めなどの小物を入れる。サイドのポケットには、1リットル容量のボトルと、折り畳み傘というのが定番だそう。
「水分補給はボトル派です。雨蓋には、堅いケースに入れたサングラス、手袋、行動食、それからスマートフォン用のバッテリーを入れています。」
最新の「JADE(ジェイド)」については、新しくなった背面が、アタリが柔らかく、フィット感が良いのがすばらしい、とのこと。
「以前のモデルは、ショルダーハーネスが厚くて肌が擦れて痛くなることもあったのですが、最新モデルは薄くなったうえにとても柔らかくて。背中から、腰、ヒップベルトまで、なめらかにつながっているメッシュが身体に吸いつくようでとても良いと思います。全体に軽くなったのか、あるいは軽く感じるのか、とても背負い心地が良いです。」
みきさんらしい使い方、というのはあるのだろうか?
「レインカバーの収納部分が雨蓋裏にあるんですが、ここにはサブザックを入れています。さっきも言った、山旅に欠かせないサブバッグです。薄くて軽い、グレゴリーの「フラッシュディLT」はお気に入りで、トートとしてもザックとしても使えるのがポイントです。」
では、レインカバーはどこに収納するのかというと、雨具のズボンと、背面側にあるハイドレーションのポケットに入れることが多いという。
「雨具の上は防寒のためにも羽織ることがあるけど、レインカバーと雨具のズボンって、だいたい同じタイミングで使うでしょう? なので一緒に入れておくと出すときにラクなんです。」
また、「パッキングは力づく」だが、小分けをしないわけではない。大きめのオーガナイザーには、テーピング2巻をはじめとするファーストエイドキット、カイロ、予備の日焼け止めやリップクリーム、大小様々なジッパー袋が、小さめのオーガナイザーには、トイレットペーパー、除菌シート、薬類が、それぞれきちんと収納されていた。
チューブの薬や日焼け止めなどは、使いかけて容量の少なくなったものを予備として使うそうだ。
サイズの大きいスマートフォンは、落下防止のコードを付けて、カメラケースに収納。ショルダーベルトに付けている。
サコッシュも、グレゴリー製の薄く軽い生地のものを愛用。財布、飛行機や鉄道のチケット、手ぬぐい、筆記用具、地図などを入れて歩く。
スイスで買ってきた「ミューレン」のワッペンを縫い付けてアレンジしていた。あえて上を縫わずにポケット状に。聞いてみると、「切符とか入れるのにいいでしょ?」と笑った。
グレゴリー ジェイド38 GREGORY JADE38
グレゴリーのテクニカルバックパックの中でも最も汎用性の高いモデル。背面システムが改良され、通気性とフィット感が最大化された。
女性用モデルは「JADE(ジェイド)」、男性用モデルは「ZULU(ズール)」。
- 価格
- 24,000円(税別)
- サイズ
- 2サイズ XS/SM、SM/MD
- カラー
- 2色
※ジェイドには容量違いで、ほかに28、33、53のモデルがある
鈴木みきさんプロデュース「勝手に山のこと」
「勝手に山のこと」は、文字通り、鈴木みきさんが山に対する思いを勝手に商品にして販売し、売上の3%を勝手にその山の環境保全に関連する団体に寄付しているもの。これまで、早池峰山の携帯トイレ、妙高・火打山のライチョウ保護のためのトートバッグなどをプロデュースし、販売金額の3%を寄付してきた。
グッズは、イベント等の出店時、および、趣旨に賛同して協力している好日山荘のウェブストアで販売されている(ウェブストア限定)。
プロフィール
鈴木みき
カナダで山に出会ったのをきっかけに山にはまる。帰国後は山小屋のバイトや登山雑誌の取材同行モデルなどを経て、イラストレーターに。
自身の登山経験を描いたコミックエッセイや登山ツアー企画同行、講演などを通じて登山初心者を応援している。
「悩んだときは山に行け!」(平凡社)、 「山小屋で、会いましょう!」(講談社)、「山の足あと」(山と溪谷社)、 「山登り語辞典」(誠文堂新光社)、「富士登山ご案内」(イースト・プレス)など、著書多数。
鈴木みき同行の山旅ツアー「山っていい友!」を年数回プロデュース(アルパインツアーサービス主催)
Yamakei Online Special Contents
特別インタビューやルポタージュなど、山と溪谷社からの特別コンテンツです。