3月撮影、天城山からの富士山! 低山フォトグラファーの富士山絶景写真、撮影エピソード第2弾

空気が澄んで遠望が利く冬。「山の上から富士山を見る」というのは、関東周辺の山での楽しみのひとつです。 『富士山絶景 撮影登山ガイド』の渡邉明博さんに、富士山絶景写真と撮影のエピソードについて伺う連載2回目は、3月上旬に撮影したという、伊豆半島・天城山の万二郎岳からの一枚について。どんな苦労があったのでしょうか?
伊豆半島の主峰とも言える天城山は、日本百名山のひとつで、万三郎岳(標高1406m)と、万二郎岳(標高1299m)の2つのピークがあります。
一般的にはアマギシャクナゲの群落が見られることでその名が知られていて、開花期(5月ごろ)には多くの登山者で賑わいますが、反対に、富士山が良く見えない山域とされているのも事実です。
伊豆半島から駿河湾越しの富士山の姿を撮りたい。それも他の人が撮ったことのない場所から…。 そう願っていた私にとって、天城山は、今回の『富士山絶景撮影ガイド』のために初めてチャレンジする山でしたので、まずは撮影地情報を集めました。調べてみると、富士山の撮影ポイントが、万二郎岳付近にあることが判り、ここを目標に登ることにしました。
1回目(3月2日)の撮影は、初めてであることを考慮して、登山口を早めに出発。暗い中を登って行きました。しかし、この日はあまり星が見えませんでした。
不安を抱きながらも薄暗い万二郎岳の山頂に着きました。撮影ポイントは、ここから万三郎岳方面に5分ほど下った所にある、通称「富士見岩」。少し判りづらいので見落とさない様に注意して進みました。

日の出前に撮影ポイントに着いたのですが、残念なことに富士山は厚い雲の中。
晴れると踏んでいたのに、厳しい結果になりました。お湯を沸かし、軽食を食べながら、日の出を待ってみましたが、回復の兆しはありませんでした。
こんな時もあるさと、再訪を誓いました。
そして、6日後の3月8日、再び、満を持して万二郎岳へ。
2度目のチャレンジも、前回同様、暗い中を登って行きました。途中、樹々の間から富士山が覗いています。
「今日は良さそうだ」。胸の高鳴りを抑えきれません。そして日の出前に撮影ポイントに到着。すぐに三脚を構え、日の出を待ちました。
期待した朝焼けは無かったのですが、まずまずの条件に安堵しました。やや霞んでいたものの、かえってそれが神秘的な空気感になりました。
ただし難点が1つ。この撮影ポイントは、足場の悪い所に、三脚を立てなくてはならないのです。しかも長いレンズを使うので、不安定を補いながらの撮影になりました。
こうして仕留めた作品が、掲載した「目覚めの時間」なのです。

恐らく万二郎岳からの富士山を撮影する写真家は、そうはいないでしょう。伊豆半島のほぼ中央に位置しながら、この迫力を出せて、納得いく作品になりました。
なお、今回の撮影の結果、「万二郎岳からの朝焼けの富士を撮る」、という宿題を残す結果となりましたので、また撮りに行く山のひとつに加わったのでした。
山データ
天城山(万三郎岳・万二郎岳)
静岡県
標高1,299m
撮影した3月は登山道がぬかるんでいることも。シャクナゲの季節は駐車場が満車になる
⇒山の概要やコースタイムなどはこちらでチェック!
渡邉明博さんの写真展開催!
渡邉明博さんの富士山絶景作品を集めた写真展「絶景の富士山に逢いたくて」は、1月6日から20日まで東京で、3月25日から4月6日までは大阪で、開催されます。大きく引き伸ばされた富士山の絶景写真を、ぜひ写真展で生で見て、体感してください。34作品すべてが「全倍」以上、大きいもので2~3mに引き伸ばし、迫力の作品たちです。
<東京>
会期:2020年1月6日(月)~20日(月) ※終了
会場:リコーイメージングスクエア新宿 ギャラリーⅠ&Ⅱ
東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービルMB(中地下1階)
時間:10:30~18:30(最終日は16:00まで)
<大阪>
会期:2020年3月25日(水)~4月6日(月) ※火曜休館
会場:リコーイメージングスクエア大阪 ギャラリー
大阪市中央区大手町1-7-31 OMMビル1階
時間:10:30~18:30(最終日は16:00まで)
※入場無料
渡邉明博さんの著書『富士山絶景 撮影登山ガイド』発売中!
渡邊さんが徹底的に調査し、絶景の瞬間を予測。ダイヤモンド富士、パール富士だけじゃない、低山からとらえた富士山絶景で「こんな山でこんな富士山が見えるのか!」と、ページをめくるたびに圧倒される51の富士山絶景作品と、撮影した51山の紹介を掲載した『富士山絶景 撮影登山ガイド』が発売中です。アプリやウェブサイトを使った事前調査の仕方、絶景作品の撮り方、撮影データなども掲載しています。
著者:渡邉明博
発売日:2019年06月17日
価格:本体価格1,800円(税別)
体裁:A5判224ページ
ISBNコード:9784635530699
詳細URL: http://www.yamakei.co.jp/products/2819530690.html
プロフィール
渡邉 明博
1957年生まれ。富士山撮影をライフワークとし、最近では中央線沿線の山をはじめ、低山の四季折々の風景を撮り続けている。『すばらしい富士に出逢える!富士山絶景撮影登山ガイド』(山と溪谷社)をはじめ、富士山関連の著書を多数執筆。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)
山の上から富士山の絶景を楽しむ! 富士山絶景撮影エピソード
関東や東海地方の登山者にとっては「山の上から富士山を見る」というのも、登山のテーマのひとつです。『富士山絶景 撮影登山ガイド』を上梓した低山フォトグラファーの渡邉明博さんが、撮影のエピソードについて紹介。
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