| 山の鼻ビジターセンター
2023.10.31
山の鼻ビジターセンターは10/31で閉館。尾瀬内の全ての山小屋は営業終了しています。
緑に広がる草原に、ところどころに水を満たした池塘が輝き、ミズバショウやニッコキスゲが咲き乱れる。湿原と聞くと、そんな風景を思い浮かべるだろう。
湿原とは文字通り、湿った地面に広がる草原地帯のことだ。尾瀬の尾瀬ヶ原が代表例で、日本各地さまざまな場所に湿原は広がっている。
ちなみに、学術的な言葉の定義で言うと、ただ湿った土地に広がる草原は「湿地」で、長い期間を経て成立した湿地を湿原という。
また、「高層湿原・低層湿原」という言葉をよく聞くが、これは標高の高さ・低さとは関係なく、枯死した植物が腐らずに残る泥炭の堆積具合の違いだそうだ。高層湿原とは、ものすごく簡単に説明すると「泥炭が蓄積して中央部が周囲より凸状に高くなり、地下水ではなく雨水などで水が供給されている湿原」という定義となる。
「腐らず泥炭化」する条件といえば寒く標高の高い場所。湿原の多くは標高の高い場所でに広がり、その特異な環境から、貴重な植生が育つ場所として知られる。
雪に包まれていた湿原も、夏の訪れとともに雪の下から顔を出し、豊かな自然を見せてくれる。梅雨入りすると、雪解け水と共に水が満たされ、そこは湿生植物と生き物たちの宝庫となる。
今回は山上に広がる湿原を持つ山をピックアップする。
東西6km、幅2kmにも及ぶ本州最大の高層湿原・尾瀬ヶ原を中心に、大小さまざまな湿原が広がる尾瀬。尾瀬ヶ原の他にも、アヤメ平、大江湿原ほか尾瀬沼周辺に広がる湿原、燧ヶ岳の山腹に広がる広沢田代や御池田代など、さまざまな湿原に出会うことが出来る。
尾瀬の代名詞の1つのミズバショウは5月下旬からで、例年では6月初旬~中旬がベストだ。なお、ミズバショウの時期は、まだ時期としては寒く、尾瀬は多くの雪が残っていることが多い。雪に対する装備が必要となることが多い。湿原やその周辺で、雪の心配がなくなるのは6月中旬頃が一般的だ。
至仏山や燧ヶ岳への登山が一般的となるのは7月に入ってからとなる(至仏山は、7月以前の残雪期は登山禁止)。
高低図
| 山の鼻ビジターセンター
2023.10.31
山の鼻ビジターセンターは10/31で閉館。尾瀬内の全ての山小屋は営業終了しています。
| 尾瀬沼ビジターセンター
2023.10.31
尾瀬沼ビジターセンターは10/31で今シーズンの営業を終了しました。
月山の北側八合目に広がる湿原・弥陀ヶ原は、台地状に広がる湿原で、抜群の展望を誇る場所として知られている。広い湿原からは東北の山々の展望はもちろん、晴れ渡れば日本海まで望むことができ、まさに天空の楽園となる。
弥陀ヶ原へは、8合目駐車場から徒歩数分で行けるので、ファミリーでも安全に楽しめる。弥陀ヶ原から月山山頂まで登る場合も、登山道はよく整備されいて安全だ。なお、山頂への往復は4時間弱となっている。
一方、南山麓の姥沢から月山を目指すと、そこは夏スキーのメッカ。雪に対する装備は、夏でも必要となる。
なお、弥陀ヶ原は7月に入ってからがベストシーズンで、7月初旬から中旬の湿原はたくさんの高山植物が咲き誇る。
高低図
白川郷からほど近く、「飛騨の匠の伝説」によって生まれたとされる、岐阜県・籾糠山および天生(あもう)湿原。天生県立自然公園として整備されていて、雄大な自然が広がっている。
登山口から30分程度で湿原を楽しめ、籾糠山までも往復4時間程度と手頃な登山&湿原歩きを楽しめる。
国道360号線が開通する、6月に入ってからが天生湿原のシーズンの始まり。ミズバショウやニッコウキスゲなどの、湿原の植生を存分に楽しめる。
高低図
石川県と福井県の県境に、愛らしい名前と山容を持つ赤兎山。この山頂付近には、赤兎平と呼ばれる高層湿原が広がる。
登山口から山頂までは2時間程度と手頃で、稜線から白山や荒島岳の展望も美しい。湿原の規模は小さいものの、魅力がぐっと詰まっていて、人気の高い山となっている。
雪が消える6月初旬~中旬からがベストシーズンで、春にはリュウキンカ、初夏にはニッコウキスゲが広がる。
高低図
日本一の高所にある湿原と言われる(諸説あり)のが鬼怒沼湿原だ。尾瀬ヶ原よりも600mは高い、標高2000m付近に広がっていて、訪れるのも尾瀬よりずっとたいへんだ。
女夫淵温泉から鬼怒沼湿原までは、片道で4時間程度、鬼怒沼山頂まで行って往復するとなると一般的なコースタイムでは9時間以上要する。慌てて日帰りではなく登山口に点在する奥鬼怒温泉郷の宿泊と併せて楽しみたいところだ。
標高が高いぶん残雪が遅くまで残るり、6月中旬くらいから湿原が雪の下から顔を出し、7月に入ってからがベストシーズンだ。
高低図
岩手県と秋田県の県境の南部に位置する焼石岳は、標高こそ1600mに満たないものの、さまざまな自然が凝縮されている。山頂一帯のお花畑や、点在する湖沼、湖沼周辺に広がる湿原やお花畑、原生林の新緑と、見どころが多い。
岩手県側、秋田県側、どちらから登っても魅力がある。湿原やお花畑が花と緑に包まれる6~7月もいいが、夏も秋も魅力がたっぷりの山だ。
高低図
秋田県と岩手県の県境、十和田八幡平国立公園(八幡平地域)は、八幡平を筆頭に多くの湿原が点在している。八幡平から秋田駒ヶ岳方面への縦走路一帯は、多くの高層湿原が続き、雲上の楽園となる。
その縦走路の途中にあるのが大白森で、山頂付近は広大な高層湿原が広がっている。
登山口となるのは秘湯・乳頭温泉からが一般的。ゆっくり温泉を楽しみながら登山したい。
高低図
初夏の湿原は美しく、多くの人が訪れる場所だが、静かにひっそりとした湿原を楽しみたいなら小松原湿原はおすすめだ。苗場山の北側の麓に広がる湿原は、2km四方ほどの大きさがあり、「小尾瀬」と呼ばれるほど、豊かな自然が広がっている。
長い林道歩きが強いられるので、湿原までの道のりは遠いが、下の代、中の代、上の代の3段に分かれた湿原は風情がある。
高低図
高層湿原は、寒く標高の高い場所に広がるが、暖かい四国にも大きな湿原がある。それが黒沢(くろぞう)湿原だ。標高500m前後の場所に26.7ヘクタールの大きさを誇り、四国の尾瀬とも称される。
四国の尾瀬という言葉にふさわしい美しい湿原が広がる(写真:マローズ さんの登山記録より)
オオミズゴケ・サギソウ・イシモチソウ・キセルアザミ・ヒツジグサなどの希少などの水生植物が繁茂し、四季を通じて楽しめるのも特徴だ。
高低図