雪山登山入門・ステップアップは八ヶ岳がおすすめ! 初級から上級まで7コース

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八ヶ岳はさまざまなレベルのルートがあり、晴天率がよいことからも、雪山登山に人気の山域だ。そんな八ヶ岳のレベル別おすすめルートを紹介する。

目次

カバー写真=けんけんさんの登山記録より厳冬の天狗岳の稜線

 

八ヶ岳は雪山初心者からベテランまで楽しめる!

無雪期の登山で充分に技術と体力を養ったら、雪山の世界にもトライしたい。雪山は、夏山では体験できない魅力が詰まっている。美しい雪の季節は、夏に登ったことのある山でも、まったく違う表情を見せてくれる。美しさに加えて神秘的な姿がそこにはある。

凍結して雪原となった白駒池( 写真=シニアキャンパーおやじさんの登山記録より)

そうした魅力の一方で、夏山と比較すると格段に危険度は高い。寒さや道迷い、天候急変や滑落、雪崩などのリスクに対して、的確な判断力が必要になる。

本格的な雪山の技術を磨いていくのに、八ヶ岳はおすすめの山域と言えるだろう。雪は降るものの、「豪雪地帯」というほどは降らない。冬季の晴天率は高く、安定した天候が期待できる。首都圏からのアクセスもよい。

初級者から上級者まで、バラエティに富んだ雪山登山を楽しめるのも魅力だ。スノーハイキング程度で楽しめる場所もあれば、中級者がチャレンジできる場所、そして本格的な雪山登山が楽しめる場所と、さまざまなレベルのルートがある。

雪化粧の赤岳(写真=masa46さんの登山記録より)

さらに、年間を通して営業している山小屋が多数あるので、安全管理の面でも魅力的だ。ただし、土日のみの営業などもあるので、事前に要確認。訪れる登山者が多いので、トレースが付いている可能性も高く、安心感がある。

そんな魅力的な八ヶ岳の雪山モデルコースを、レベル順に7コース紹介する。ここでは、大まかに以下の基準でレベルを分けている。

初級・・・ピッケルが不要
中級・・・短い区間でピッケルが必要
上級・・・ピッケル・アイゼンを駆使して登る

なお、紹介しているコースタイムは目安で、積雪の状況などによって大きく変わる。夏のコースタイムより余裕のあるコースタイムを掲載しているが、自分のレベルと状況を確認して、無理のない登山を楽しんでほしい。

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【初級】北横岳 雪山初心者の登竜門

雪山を初めて歩いた場所として、多くの人が挙げるのがここ、北横岳周辺だ。北八ヶ岳ロープウェイで標高2237mまで登り、山頂駅からスタート。坪庭では、広い雪原歩きが楽しめる。雪化粧の原生林も美しく、高山らしい景色が広がっていて雪山の魅力を存分に堪能できる。

雪に包まれた坪庭周辺の様子(写真=twingoldさんの登山記録より)

坪庭周辺をスノーハイキングするだけであれば、スキー場でスノーシューを借りて歩いたり、現地のガイドツアーに参加したりもできるので、雪山の世界を体験するのは条件が整った場所だ。もっと雪山を堪能するなら、北横岳に登ろう。

北横岳ヒュッテと縞枯山荘、2つの山小屋が冬季でも営業していて(営業日時は注意が必要)、安心感も高い。

北横岳ヒュッテに宿泊するコースを紹介するプランを紹介しているが、北横岳の往復なら日帰りでも可能だ。

北横岳山頂より南八ヶ岳(写真=twingoldさんの登山記録より)

関連リンク

 

行程・コース

最適日数:1泊2日 2時間50分
総歩行距離:4,541m /上り標高: 302m 下り標高: 302m
行程:【1日目】
山頂駅(08:00)・・・北横岳ヒュッテ(09:00)

【2日目】
北横岳ヒュッテ(07:00)・・・北横岳(07:25)・・・北横岳ヒュッテ(07:45)・・・縞枯山荘(08:35)・・・山頂駅(08:50)
高低図
コースの詳細を見る

関連する登山記録

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この記事に登場する山

長野県 / 霧ヶ峰

横岳 標高 2,480m

 天祥寺原を挟んで蓼科山と対峙する北八ヶ岳の横岳は、主脈の横岳と区別するために「北横岳」と呼ばれている。長野県茅野市と同南佐久郡佐久町(現・佐久穂町)の境に位置し、根張りのある堂々とした山容をもっている。山頂は二峰に分かれ、2480mの北峰には脩那羅大天武(しよならだいてんむ)が祭られ、南峰には2473mの三等三角点がある。  眺望は南峰が優れており、八ヶ岳主脈の山々が直線的に重なり合い、諏訪側に長く引いた裾野の広がりも見事である。はるかに北アルプスの連山も望見できる。  山頂部にはハイマツ、シャクナゲ、シラビソなどが多く、東面にある三ツ岳への岩海のルートには、シャクナゲをはじめコケモモやシラタマノキなどが見られる。  坪庭から1時間強、親湯から亀甲池経由4時間30分、大河原峠から双子池を経て3時間30分の行程である。

長野県 / 八ヶ岳

天狗岳 標高 2,646m

 天狗岳は東西二峰からなり、東天狗岳にある天狗岩と呼ぶ岩塔を天狗の鼻に見立てた山名と考えられる。東天狗岳は、長野県茅野市と同南佐久郡小海町の境に位置している。縦走路上にある東天狗岳は男性的にそびえ立っているが、縦走路から外れた西天狗岳は2646mの二等三角点をもつものの、その山容はずんぐりとしており、西尾根が唐沢鉱泉へと下っている。また、北側の黒百合平との間にある天狗ノ奥庭は、摺鉢池をはじめ点在するいくつかの小池とハイマツやコケモモ、ミネズオウなどに彩られた別天地である。  佐久側に東壁と呼ばれる大断崖をもつ東天狗岳の展望は、硫黄岳の火口壁、北アルプスをはじめ北八ヶ岳の山と森のうねりを、太古の眠りそのままに望見することができる。また、周囲には根石岳、箕冠山、稲子岳がある。東天狗岳と根石岳の鞍部は、白い砂に緑のハイマツが映える広々とした所で、南東に「白砂新道」が本沢温泉へ延びている。  渋ノ湯から4時間弱、唐沢鉱泉からも4時間弱、稲子湯から4時間強、本沢温泉から白砂新道を経て4時間の行程。東西二峰の往復は各20分である。

長野県 山梨県 / 八ヶ岳

赤岳 標高 2,899m

 赤岳は八ヶ岳連峰の最高峰で、長野県茅野市、南佐久郡南牧村、山梨北巨摩郡大泉村(現・北杜市)との境に位置している。山頂は赤岳頂上山荘のある北峰と、一等三角点がある南峰とに、わずかな距離をおいて分かれている。北峰からは県界尾根が、南峰の南にある竜頭峰からは真教寺尾根が、ともに山梨県側へ延び、縦走路は南方はキレットを経て権現岳へ、北方は横岳へと連続し、西方は中岳を経て阿弥陀岳へのルートも通じている。  その山容は南麓の長坂方面から仰ぐと、ヨーロッパ・アルプスのアイガーに似て、勇壮そのものである。  近代登山の始まりについては別項で触れたが、それ以前の記録としては、明治26年(1893)に陸地測量部の館潔彦が一等三角点を赤岳に選点し、同28年には山崎直方が火山調査のために赤岳に登り、その成果は震災予防調査会報告として発表されている。  赤岳という山名は、酸化鉄による赤い岩肌からきたもので、早朝や夕映えの輝きはひときわ美しいものがある。  山梨側は山頂直下まで緑のハイマツ帯が迫り、諏訪側はイワツバメが舞う、赤岳西壁と呼ばれる岩場となっている。また、南峰から竜頭峰にかけては、鎖場のある鋭い岩稜が続く。  ひとたびその山頂に立てば展望は360度、本邦中央部の山岳をほとんど手中にできる。権現岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、天狗岳、蓼科山などの近景をはじめ、南・中央・北の各アルプスから上信越の山々、浅間山、奥秩父、富士山と、大パノラマが展開する。  赤岳は、かつて赤岳大神とも呼ばれて人々の信仰を集めていた。柳川南沢の源頭にあたる行者小屋は、昔、赤岳神社の社務所だった所で、夏期には行者が居住していたという。祭神は大山祗命(おおやまずみのみこと)とその娘、岩長姫命(いわながひめのみこと)である。  一般的な登路としては、諏訪側の美濃戸口から柳川南沢を登り行者小屋から地蔵尾根ルート5時間、同じく行者小屋から中岳経由5時間、清里から県界尾根ルート6時間30分、同真教寺尾根ルート6時間弱、縦走路は権現岳からキレットを経て2時間30分、硫黄岳から横岳を経て3時間強の行程である。また、中岳を経て阿弥陀岳への所要時間は1時間強である。美ノ森山との標高差は1356m、幕営指定地のある行者小屋とは550m、キレットとは440mの標高差がある。

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