椹島から反時計回りで聖巡業(3泊4日山小屋泊の旅)(3日目)
千枚岳、丸山、悪沢岳(東岳)、中岳、前岳、小赤石岳、赤石岳、大沢岳、中盛丸山、小兎岳、兎岳、、聖岳、奥聖岳、小聖岳( 南アルプス)
パーティ: 6人 (Yamakaeru さん 、ほか5名)
千枚岳、丸山、悪沢岳(東岳)、中岳、前岳、小赤石岳、赤石岳、大沢岳、中盛丸山、小兎岳、兎岳、、聖岳、奥聖岳、小聖岳( 南アルプス)
パーティ: 6人 (Yamakaeru さん 、ほか5名)
快晴
マイカー
その他:
畑薙第一ダム夏季臨時駐車場。200台規模。畑薙第一ダムを過ぎた沼平ゲート(沼平駐車場)まで車で侵入可能だが、一般的には臨時駐車場に車を停めてバスで南アルプス南部(赤石岳、悪沢岳、聖岳方面)の拠点となる椹島ロッジまで向かう。畑薙第一ダム夏季臨時駐車場のマップコード(777 517 201*03)。仮設トイレあり。ちなみに椹島ロッジへのバスは、東海フォレストが運営する山小屋の送迎バスの位置づけを兼ねているので、乗車券として3,000円(往復分)を支払うが、山小屋に宿泊すればその料金分が割り引かれる仕組み。
百間洞山の家(04:20)・・・大沢岳(05:44)・・・大沢渡分岐(05:56)・・・中盛丸山(06:20)・・・小兎岳(07:01)・・・兎岳(07:49)・・・兎岳避難小屋(08:19)・・・聖岳(09:58))(休憩)・・・奥聖岳(10:59)・・・聖岳(11:25)(昼食~11:43)・・・小聖岳(12:26)・・・薊畑分岐・・・聖平小屋(13:22)
【3日目】
音を立てないようにそっとザックを抱えて階段を降りる。トイレ脇のスペースで荷物を整えて外に出る。星空が広がっている。良かった。今日も天気が良さそうだ。
一旦、テント場へ折り返したのち、左側の山に向けて登山道を進んでいく。
岩がゴロゴロした登山道だが、10分もすると樹林帯を抜け見晴らしが良くなる。反対側の山を振り返ると、中腹と山頂付近にチラチラと動いている光の点が見える。目を凝らすと遠くの山にも同じような光がある。いろいろな場所で、登山者がそれぞれ日の出を目指して、山頂に向かって登っていると思うと、妙な連帯感が湧き上がってくる。こちらも負けじとスピードを上げていく。いつのまにか大きな岩から小石を敷き詰めたような道に変kしてきた。浮石が多いので、捻挫をしないよう注意して歩く。
再び振り返ると、先ほどまではシルエットだった雲海の中の富士山が、だいぶ明るくはっきりしてきた。雲海の水平線も赤く染まり出している。日の出が近い。しかし、太陽が出るであろう位置には山があって、ロケーション的に今日は日の出の瞬間は難しそうだ。
一気に目の前のピークを目指して登るのかと思っていたら、手前で左へと折れトラバースしながら隣のピークへと道が続いている。そのピークは鋭い矛先のような形をしていて一見して特徴的な山になっている。どうやらそれが目指す大沢岳の様だ。
トラバースを終えて、コルの部分にたどり着く。今まで見えなかった山の裏側の景色が目に飛び込んできた。思わず「うぉーっ」と声が漏れる。山の裏側には、今まさに太陽が昇ってくる赤く染まった空とは正反対のまだほんのり薄暗く静かな空が広がっていた。その空の上には、とても大きな満月が浮かんでいた。幻想的な風景。今いるところがちょうど分水嶺の様に昼と夜を分けている、そんな感じを受けた。
改めて大沢岳を見上げる。もう山頂までは幾ばくもないが、切り立った崖のようでエッジの部分を垂直に登山道が延びている。
登りきると360度の眺望があった。中央アルプスが近い。中央アルプスの奥に存在感のある頂が顔を出している。御嶽山だ。左手の方にはなだらかな山容をした那山も霞の中に見えていた。
大沢岳を降っていく途中、珍客の雷鳥が出現。狭い登山道を先導するかのようによちよちと歩いていく。写真を撮ろうとしたが、意外に早くファインダーに入れるのが至難の業だった。
中盛丸山を抜け目の前の大きなピークを目指す。小兎岳。小さい兎でも十分な急登だったが、親兎(兎岳)はいかほどのものか?!と思ったが、期待通り(?)ウサギという可愛らしい名前にはそぐわない実になかなか登りごたえのある山だった。兎岳まで来ると、恵那山がひと際大きく見えるようになってきた。大沢岳からだいぶ歩いてきたということか。
これから進むべき方向へ向き直る。目前には今回の山旅で一番の目的地としている聖岳が聳えている。威風堂々。ラスボスにふさわしい山容だ。
聖岳にはいったん、聖兎のコルまで深く降ったのち、断崖絶壁のような壁を登らなければならない。これがかなり挑戦的な壁で、まるで「さぁ来い!」と聖岳が言っているようだ。
聖兎のコルから聖岳にとりつく。断崖絶壁の周辺だけだったが、褐色の岩稜地帯を登っていく。
登っている最中に、歩いてきた兎岳を振り返る。小兎岳から見たときは、丸みを帯びた優しい感じだったが、聖岳側から見ると結構険しそうな顔をしている。やっぱり急登だっただけのことはある。
垂直の壁を登りきると、山頂が望めるのかと思ったが、手前のピークが邪魔でまだまだ先が見えない。登っても登っても次のピークがある。さすが聖岳だ。簡単には登らせてはくれない。聖岳に挑戦するにはそれなりのレベルが必要ということか。しかし、息が荒くなるものの足の疲労は全くない。一歩一歩、確実に自分の身体を押し上げていく。聖の試練に対し、挫けることなく向き合えていることになんだか嬉しくなる。
幾度かの偽ピークを越えて、ようやくその時がやってきた。広い山頂。登山道のその先にこれまで以上に大きな富士山が真正面に鎮座している。登っている間は少しも姿を見せなかったのに、山頂でご対面とはなんともドラマティックな演出をしてくれるものだ。
早速、聖岳の標識を前に記念撮影をする。標識の向こうには、これも辛かった赤石岳が見えている。山頂から少し降った所に避難小屋。昨日、見た風景の反対側に来ていると思うと感無量だ。赤石岳から視線を左に移すと、昨日から今日にかけて歩いてきた全コースが見渡せる。百閒洞もあんなところにあったんだと思うくらい深い谷間の中に建っていた。
再び、富士山に目を移す。広がったすそ野。その先が霞んでいてよく見えないが、目が慣れてくると、海であることが分かる。海の向こう側に見えているのが伊豆半島。その根元に大きな街が見えている。富士宮市や富士市の周辺だろうか。
赤石岳とは反対側の斜面を見下ろすと、結構切り立った斜面の麓に小さな赤い小屋が見えた。そこが今日の宿泊先、聖平小屋だ。あこそまで降るのか。これはかなり大変そうだ。小屋の先には上河内岳や茶臼岳。そして奥には、これもいつかは行ってみたい光岳が見える。さすが南アルプス。ここに来てもなお光はまだ遠い。
一旦、奥聖まで足を運んでから聖岳の山頂で富士山を愛でながらの昼食とする。フルパワーで歩いてきたのでお腹がペコペコだ。風景を目に焼き付けながらゆっくり食事タイム。
このまま何時間でもいたいくらいだが、名残惜しさを感じつつ去るくらいがちょうどいい。食事を終えて、先ほど見下ろした聖平小屋へと向かう。ザレた急な斜面を九十九折り上に降っていく。小屋は手前に見えていたが、実際の距離は相当あると予想していたが、予想を上回る遠さだった。歩いても歩いても、底(麓)につかない気がした。
ようやく前聖に到着。振り返ると空を覆うかのように聖岳の山頂が見えた。その山頂へ向けて雲が競り上がってきている。どうやら一番良いタイミングで山頂の眺望を見ることができたようだ。
前聖を過ぎると、残りは里山を縦走するような感じ。樹林帯をアップダウンしながら進む。湿原のような場所に出ると、もうゴールも同然。真っすぐ茶臼岳へと向かう登山道を横目に左へと折れる。湿原に延びる木道を進むと林の奥に聖平小屋が見えてきた。テント場が小屋の目の前にあって、ここならばテント泊も快適そうだ。
さっそく受付を済ませると、待ちにまったあるものが出てきた。これだけのために聖岳から降ってきたといっても過言ではない。聖平小屋名物「フルーツポンチ」の振舞いだ。
誰かが食べ放題と言っていたがそんなうまい話はなく、白い紙コップを渡されて一人一杯ずつ。用意された鍋には一列の長蛇ができ、あっという間にフルーツポンチが消費されていった。気持ち遠慮気味に掬ったが、後ろを振り返ると、「満杯にしたよ」と破顔の先輩。しまった。先輩の後に並べばよかった。
外のテーブルに座って、フルーツポンチを一口。疲れた身体に程よい甘さ。美味し!!
仲間とわいわい盛り上がっていたところに、(異常に)真っ黒に日焼けした人がやってきた。「先輩!」と声をかけると向こうも気がついたようで固い握手で再会を祝う。TJAR最年長選手。日頃、ニックネームで「岳蔵さん」と呼んでいる先輩だ。実は、TJARの前回レースでお世話になった山小屋をこの休みに巡ると言っていたので、落ち合えたら「ここ聖平で会いましょう!」と約束していた。山深い南アルプスで、まるで家の近所で落ち合うかのようなアバウトな約束で、何の調整もなしにふらりとやってきて出会えるとは、さすがは先輩だ。聖平小屋に挨拶をしてフルーツポンチをかっ食らった後、「んじゃ、明日、畑薙第一ダム夏季臨時駐車場で落ち合おう」と時間も何も決めず相変わらずアバウトな一言だけ残して、忙しなく武蔵茶臼岳へと旅立っていった。既に15時。今から茶臼に向かうのも凄い。南アルプスは自分の庭と言わんばかりに、そもそも寝る場所も気にしない。さすがはTJAR選手。
さて、山小屋の楽しみその1。明るいうちから飲む。とにかく飲む。ということでビールを買いに行く。お金を払おうとしてびっくり。「300円です」。なんと350mlが3000円。「ここは下界か?」ともう一度びっくり。なんでも古くなったからという事で格安で放出しているとか。「そんなに慌てなくてもなくなりませんよ」という山小屋スタッフの声も届かず、どっと人が詰め寄ってくる。とりあえず人数分を購入してテーブルへと戻る。宴会のスタートだ。先輩の一人が持ってきたウイスキーも今日が宿泊最終日という事で、綺麗に飲み干す。さほど飲んだわけではないが、疲れがたまっていたのか、はたまた高山の影響か、たった数杯で意識が吹っ飛んでしまった。
「ご飯の順番になったよ。」との声で目が覚める。山小屋の楽しみその2だ。
食堂に行くと、既に各テーブルが一杯になっていた。シンプルながら一品一品が美味しい。「お替り!」の声に、スタッフの女性が愛想よく答えてくれる。普通と言ったのに山盛りの2杯目に、一瞬たじろぐもガツガツと箸を進める。完食。大満足だ。
部屋に戻って明日の準備をしたのち就寝。隣に寝る予定だった人がキャンセルになったのか、その分、隙間が出来て昨日の百閒洞に比べたらかなり寝やすかった。
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バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | 予備電池 | タオル |
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