行程・コース
天候
晴れ、風なし、あたたか。
登山口へのアクセス
その他:
行き_
栃本に前泊
帰り_
おそらく林平バス停から乗車(市営バスせせらぎ号)17:48~18:24三峰口駅18:30~18:53御花畑駅~徒歩~西武秩父駅19:24(ラビュー)~20:46池袋駅
この登山記録の行程
(丸ガッコ内は地理院地図の表記、coは標高)
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04:30~栃本の宿をスタート
05:17~滝川渓谷休憩所付近で休憩~05:30
06:17~豆焼橋を渡り終え雁坂峠黒岩コースの車道に入る
06:36~車道終点広場
06:57~滝川への下降地点~07:15
07:35~滝川林道(廃道)に降り等高線沿いに進む
07:44~赤い看板の尾根を滝川へ向かう
08:22~滝川に降り渡渉する~08:40
08:52~対岸の窪を登り、釣り師の踏み跡=水平道をたどる
09:15~踏み跡を離れ尾根に向かう登り
09:40~八百尾根に上がる
10:05~(co1290付近)休憩~10:24
11:00~(1504.7三角点)
12:05~八百平で稜線に上がり八百尾根を歩き終える~12:09
12:45~和名倉山頂
12:55~二瀬分岐からヒルメシ尾根に入る
14:16~(P1762)休憩後、久度の沢左岸尾根の下降開始~14:23
14:55~(1558.7三角点)
15:21~(P1326)
15:35~(co1125付近)久度の沢へ向かう尾根に進路を振る
16:11~(co870付近)久度の沢への下降開始
16:28~久度の沢に降り渡渉する~16:32
16:42~滝川にかかる丸太橋を渡る
16:55~国道に上がる
17:18~栃本関所跡フィニッシュ
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
広大な山域をもつ和名倉山を地図で眺めていると、西面に三角点をもつ尾根がふたつある。どちらも登山記録は見つからず、ヤマレコ「みんなの足跡」でもドットが付かない。ふたつの尾根を繋げて歩けないかと思いついたのがきっかけだった。
登路に選んだ八百〈ハッピャク〉尾根へのアプローチにあたる、黒岩コースの登山道から金山沢の出あいに降りられるか・対岸を登るルートが見つかるか、からはじまって不確定要素の多い手探りのハイキングだったが、なんとか無事に周回することができた。
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○ 最初のプランニング
周回ルートを、金山沢左岸の尾根を上り・久度の沢の左岸尾根を下る、反時計回りとした。雁坂峠黒岩コースから滝川に下降し、滝川を渡り尾根に取付けるかがポイントになるはずで、逆向きに周回していい時間に「滝川に降りられません!対岸に取付けません!」だと遭難山行が一丁できあがってしまう。冷えこむ山中でオカン(※1)なんて御免被りたい。
まずはこれだけ決め、距離と時間の感覚を把握するために偵察ハイキングを試みた。
※前週、11月28日の記録。参考になりませんから閲覧の必要はありません。
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=236494
※1~【今使うとドン引き必死】使われなくなった古い登山用語
https://nebukurou.com/dead-word/
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○ 問題点と再度のプランニング
予想されたことだが、偵察の結果は「ぜんぜん時間も情報も足りない」。もういっぺんプランを作り直せ、というものだった。
計画の真ん中部分は"08時に滝川を渡る~12時には和名倉ピーク~16時すぎに川又"で、おそらく大幅に前後することはないだろう。08時に滝川を渡渉するとなれば、逆算して"スタート地点の確保"と"滝川に下降し・対岸の尾根に取付くための信頼度の高い情報"が必要だ。
スタート地点については、滝川への下降と対岸尾根の取付きにどのくらいの時間がかかるかまだ不明だが、スムースに行ったとしても、川又スタートなら05時になる。川又か栃本で泊まれる場所を探す必要がある。滝川への下降と対岸尾根(八百尾根)への取付きについては本腰を入れてあれこれサーチをかけた。
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○ 栃本の宿
廃業しているのを承知のうえで電話をかけた宿に、どこか泊まれるところはありませんかとたずねると「栃本ふるさとプロジェクト(※2)」に連絡してみなさい、という。写真3から7に記したが、古い民宿を改装した古民家の宿は素晴らしいロケーションにあり素敵な人たちが運営している。ひと晩お世話になっただけだから多くは伝えられないが、「栃本に宿を見つけた」だけで終わらない場所との出あいに感謝しています。
※2
HP~https://www.tochifusa.com/
FB~https://www.facebook.com/%E6%A0%83%E6%9C%AC%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88-104014744279864/
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○ 樵路巡遊〈ショウロジュンユウ〉の8年前の記録
それまで"金山沢左岸尾根"としていた尾根に"八百〈ハッピャク〉尾根"の名称があるのは、この記録に出会ってはじめて知った。それにしてもまたもや樵路巡遊で、このサイトや"花のひかり"にはお世話になりっぱなしだ。
2013年5月に歩かれた記録(※3)を要約すると、
「黒岩コースからは滝川と金山沢の二又に降りる尾根ではなく、いっぽん南の尾根を下降する。崖の上のような舌状地形に降り立つが、岩のバンドを利用して滝川に降りることができる。渡渉後は、まず窪を登り、次に釣り師の踏み跡にしたがい八百尾根の下部を半周トラバースする。金山沢に降りてゆこうとする踏み跡から離れ、尾根に上がる踏み跡をたどる」
とある。
大きな懸念材料は8年前の踏み跡がたどれる程度に健在かどうかで、歩かれなければわずかな「部分」しか残らないのが山中の径路の常だ。それに季節的な材料、日照時間の短さと落ち葉の影響が加わるが、それは好きで歩くこっちが引き受けるべきハナシだ。落ち葉対策の装備としてアイスバイルとテントペグ、チェーンスパイクを準備して臨んだ。
※3~樵路巡遊の八百尾根道 【仕事径】
http://medi-terra.net/yama/shigoto/hahhyakuone.html
おなじく、概略地図
http://medi-terra.net/yama/map04.html?500&500
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○ 八百尾根と久度の沢左岸尾根を歩く
当日の様子は写真のキャプションに文字多めに記入したので参照ください。
八百尾根取付きは樵路巡遊の記録をたどり、釣り師の踏み跡を探しながら歩いた。観察した範囲では、尾根末端を半周せずまっすぐ登ることも可能な斜度と地形だったと記憶している。尾根半周の踏み跡はあったが、それが8年前とおなじものかはわからない。釣り師の踏み跡を離れ急斜面を南に上がる部分は、ときどき「ここに道があったかも」程度、ただしフリースタイルで登ることができる。尾根に上がってしまえば踏み跡あり、問題はない。
久度の沢左岸尾根は幅の広いところもある。踏み跡をたどれば問題はないかもしれないが、山行を確実にするためにGPS利用は必須だと記録者は考える。樵路巡遊にあるが、最後に滝川を渡る丸太橋はクセもので、小柄な人は苦労しそうだ。
丸太橋を渡り終えて~https://youtu.be/NUHMDEGEvjo
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すっかり葉の落ちた冬枯れの尾根を、落ち葉をガサゴソいわせ・枯れたスズタケをパリンポリンと踏みながら歩くのはとても愉快で、終盤は陽の傾きに追われ焦りを感じるはずのハイキングも満ち足りた気分で終えることができた。忘れてならないのが釣り師の踏み跡だ。「サカナのいるところに降りてやる」情熱が歩かせてくれたような一日だった。
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(了)
フォトギャラリー:85枚
1.
前日の4日土曜日、西武秩父駅に着く。アウター不要の暖かな陽射し、明日も好天の予報。
2.
西武バスの急行三峯神社行き~大滝温泉遊湯館で市営バスせせらぎ号に乗り換え~栃本に降りる。正面にどーんと和名倉山が出迎えてくれる。
帰りのバスで中津川からの西武バスに乗れる保証がないため秩父漫遊きっぷは購入せず、金券ショップの株主優待券で池袋~西武秩父間だけ節約した。交通費トータルはほとんど変わらず。
3.
お世話になる「栃本ふるさとプロジェクト」の宿。市営バスが通る国道に「栃ふさかふぇ」があり、その脇から九十九に降りる。古い民宿を改装している。
4.
正面にまわって外観、奥にお風呂。
5.
6.
こちらは別棟。一棟貸しの宿泊施設として営業許可を申請中とのこと。
7.
給湯設備も薪によるカーボンフリー。夜中のトイレで温水が出るのにびっくり。
8.
周辺の木を伐採中のところを見学させてもらう。切り倒す方向をわずかに違えてケヤキにひっかかり「さて、どうしよう」皆さんで相談中。
9.
案内された部屋の窓からも、
10.
和名倉山を眺めることができた。
ここまでが前日4日。
11.
当日。ぐっすり眠れたのでめずらしく予定どおりのスタート。
12.
豆焼橋。
13.
橋を渡り終え、トンネル手前を雁坂峠黒岩コースに入る。道標あり。
ここを歩くハイカーのほとんどは近くの「出会いの丘」に車を停めて向かう様子。
14.
途中まで車道幅、その先は登山道。
15.
前週の山行で目安をつけておいた地点に到着、装備を整える。
16.
が、モンベルのチェーンスパイクの付け方を忘れてオタオタする。20分近く立ち止まっているが、しょっぱなからだいじょうぶかあんた。
17.
いちめん落ち葉の斜面をソロソロと降るとピンテあり、滝川林道(廃道)が斜面を横切っている。薄い踏み跡に乗り目的の小尾根までトラバースに利用させてもらう。
18.
道中。
19.
おなじく。
20.
GPSで位置をとり、小尾根までやってきたのを確認する。鳥獣保護区の赤い看板があった。
21.
小尾根を滝川に向かい下降をはじめてすぐ、ピンテ・赤テの連打。写っている範囲で5ヶ所。
22.
上等な、フランネルみたいな生地のサインがこの尾根の特徴。
23.
サインの連打で滝川に降りるのは楽勝かと思われたが、
24.
それはあんたの勘違いだ。
(たしか)co1000m付近でサインが消えてしまう。同時に尾根がヤセてゆく。
あの目印はどこに続いていったのだろう。しばらく目を凝らして周囲を観察したが見つけられなかった。
25.
サインのない尾根はますます細くなり、心中おだやかでない。
26.
下調べでは尾根の左から滝川に降りるはず。co930mあたりで左の傾斜がゆるんだので適当に進路を変え、滝川本流を見下ろすところまで来た。
27.
「真上から真下」の構図。ロープなしで降りられるのか。
28.
ところが意外なことにスルスルと降りてしまう。
チェーンスパイク・シューズと靴下・アイスバイルなどを対岸に放り投げる。
29.
厳寒期でなくて助かった。水に浸かったのは10秒たらずだと思うが、強い水勢でビンビンに冷やされた。石の暖かさにほっこりする。
30.
身支度を整え対岸を振り返る。
尾根の舌状先端から問題なく川筋に降りられたのは、この絶妙の地形があったから。横向きに、片手を山側につきながら階段みたいに降りた。
31.
さて、八百尾根に上がるとっかかりを探すために周囲を偵察する。
平らな地形は不自然で、かつて小屋でもあったのだろうか。
32.
上流方向。
33.
下流方向。残置のワイヤーあり、周辺はなんらかの林業の施設があったのでは。
34.
結局、渡渉した地点のぴったり反対側がこの地形で、S字に上がることにする。下調べの「窪を上がる」の記録とも一致する。
35.
八百尾根末端に取り付き、トラバースしながら金山沢寄りにまわりこもうとしている。
このあたり踏み跡を見つけられず苦労する。もう少し標高を上げるべきだったかも。
36.
たしかここで踏み跡を見つけた。ちょうど尾根末端を金山沢側に乗り越すあたり。
37.
撮影時刻とGPSの位置を照合すると、はるか下方に見えるのはまだ滝川本流。
38.
踏み跡をたどり前の写真から9分後。こんどは間違いなく金山沢を見下ろす。
39.
金山沢にむかいゆるく下降してゆく踏み跡に別れを告げ、斜面を適当に登りはじめて10分後。「あ、むかしの道型だな」と思い撮ったのだが。いま眺めてもなにがなんだか。
40.
尾根に上がる直前、下方を振り返る。
41.
八百尾根に上がった。おなじみの林業遺物に出会いほっとする。
42.
目的の尾根に上がることができたし・天気は良いしではしゃぎたくなるのもわかるが、まだ先が長いことを忘れてないだろうな?
43.
八百尾根歩き始め。
44.
どんな尾根でも、上がってしまえば踏み跡はある。
45.
co1290付近で、この日はじめての休憩らしい休憩。倒木に腰かけてコッペパンふたつとトレイルミックスの朝ごはん。暖かなので、アウターをしまい長袖シャツ一枚になる。
46.
同地点、振り返って眺める山容は雁坂嶺なんだろうか。
47.
道中。
48.
樵路巡遊の8年前の記録どおり「ケーブルクレーンの索道跡(=スキーリフトの木材運搬版)」らしい直線の切り開きがけっこうな距離で続く。co1360m付近。
49.
co1410m付近。
しかし今回はミッションがある。プランのきっかけになった1504.7三角点を逃すわけにはいかないので、GPSで位置を取り尾根のてっぺんに上がる。
50.
それがずいぶん探すことになった。いちど通り過ぎ、ザックを下ろして戻りつつ探し回る。
この状態では。通り過ぎるはずだ。
51.
国土地理院さんが早く手当てしてくれると良いね。
52.
引き続きの登り。
53.
だんだん明瞭になる踏み跡。
54.
結局、八百尾根ではサインを見かけなかった。
55.
和名倉山~東仙波の稜線に上がる。八百平の名称が付されている地図もある。
56.
わずかに北に移動するとサイン多数。八百尾根の入口だろうが、道中のノーサインと較べるととてもアンバランスだった。
57.
同じ場所で角度を変えて。ハッキリした踏み跡あり。
58.
稜線を移動し、まずは川又分岐。
59.
二瀬分岐。右にたどり、
60.
和名倉山頂。
12時45分着は計画より45分遅い。「滝川渡渉予定が08時=じっさいに渡渉を終えたのは08時40分」の遅れをそのまま引きずっている。
61.
あいまいな踏み跡やときどき林業サイン、を拾いながらヒルメシ尾根を歩く。
62.
久度の沢左岸尾根の下降地点となる、P1762まであと少しの地点。
63.
久度の沢左岸尾根を降り始めて数分後。はじめ雑然とした雰囲気だったが、
64.
その後はなかなか。傾く陽を浴びながらの漫遊、といった雰囲気。
65.
枯れたスズタケをパリンポリンと踏みながらゆく。踏み跡あり、サインは基本なし。
66.
例外なので撮った。こうしたサインは尾根をまっすぐ降る案内ではないはず。尾根をはずれて下降する=曲沢か久度の沢方向か、むかし道の入口かな、などと想像してみる。
67.
道中。
68.
おなじく。
69.
1558.7三角点はすんなり見つかる。これで本日のミッション完了、あとは陽のあるうちに下山するのみ。ピッチを上げないと。
70.
co1250m付近、多く歩かれて凹んだ地形あり。振り返って。
71.
co1125m付近で久度の沢へ向かう尾根に進路を振る。間違えてはいけない地点。傾斜が強くなる。
72.
co1060m付近、厳しい急斜面を手を使い降り終えて振り返る。ここを上り下りしたはずはないだろうと周囲を探ったが、巻き道を見つけられなかった。
73.
co870mでサインあり、右に折り返して久度の沢へ降りはじめる。
74.
このあたりは現役の道になっている。ごく小さな「国道へ」の手製道標も見かけた。
75.
久度の沢。水量が多い。
76.
沢に降りた。右岸に渡るはずで、案内があるかと思い下流に移動するが、結局サインはなし。フリースタイルでの渡渉になる。
77.
右岸沿いに降る。深いところではヒザ下までの落ち葉。「ここ2週間、誰も歩いてません」といった様子だから狭く急な場所では慎重に足を下ろす。
78.
振り返って。
79.
堰堤と階段。山行も終わりに近づく。
80.
81.
これだけ整備されてるならスンナリ滝川を渡るんだろうと考えていたが、甘かった。
82.
ワイヤーで吊り下げられて宙ぶらりんの丸太橋。よじ登り、てっぺんのワイヤーにつかまりながら渡る仕組みらしい。
83.
こちらには登攀用具みたいなロープのハシゴあり、向こう側は大岩の上に飛び降りた。
84.
軌道跡を歩く頃には闇の中。ゴミの斜面を国道に這い上がる。
宿に戻り、預けた荷物を回収してハイキング終了。
85.
甘じょっぱいもので一杯やりたい、今日の反省会はそんな気分。
装備・携行品
【その他】
ラ・スポルティーバのアキラ2足目。起毛タイツにモンベルのショートパンツ。モンベルのメリノウール厚手(エクスペディション)に綿入りアウター、バラクルバ、ペツルのヘルメット、モンベルの綿入りグローブ→テムレス→ブラックダイヤモンドのフルフィンガーグローブ。今回の装備として《サレワのアイスバイル、テントペグ2本、モンベルのチェーンスパイク、パラコード20m》。ザックはロウアルパインの25リッターにモンベルのギアホルダーを外付け、ココヘリ発信機・ヘッドランプ・スマホ(カメラ+GPS)・バッテリー充電器と予備電池・雨具上下・ロールペーパー・など。キャメルバックのハイドレーションに水2.0L(下山後残量ゼロ)・コッペパンよっつ・トレイルミックス・非常食。スタート時重量8.0kg。 下山後の着替え一式とサンダルは宿泊先に預けた。 |
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