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燕岳 ~満天の星空とイワヒバリ~

燕岳( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 2人 (tams さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

前日27日(土)に20cm程度の積雪あり、28日(日) 晴れ、稜線はやや風あり/29日(月) 曇りのち晴れ

登山口へのアクセス

バス
その他: 毎日あるぺん号(都内深夜発~登山口早朝着のバス)にて
秋葉原⇒中房登山口 7,000円 / 中房登山口⇒新宿 6,000円
燕山荘宿泊と往復割引にて計12,300円(大人)
※中房温泉入浴料500円になる割引券つき

この登山記録の行程

【4月28日】バス到着(5:30ごろ)
中房登山口(6:15) ⇒ 第1ベンチ(7:25) ⇒ 第2ベンチ(7:55) ⇒ 第3ベンチ(8:45) ⇒ 富士見ベンチ(9:45) ⇒ 合戦小屋(10:25) ⇒ 燕山荘(12:20)
燕山荘(14:15) ⇒ 燕岳山頂(15:20) ⇒ 燕山荘(16:25)

【4月29日】
燕山荘(6:30) ⇒ 合戦小屋(7:10) ⇒ 富士見ベンチ(7:35) ⇒ 第3ベンチ(7:55) ⇒ 第2ベンチ(8:30) ⇒ 第1ベンチ(9:00) ⇒ 中房登山口(9:35)

コース

総距離
約9.0km
累積標高差
上り約1,409m
下り約1,409m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

当たるも八卦、当たらぬも八卦、それがGWの登山天気。

前半と後半、どちらかが晴れるのか賭けであったが、
1ヶ月前に、GW前半は燕岳に登ることにし予約をした。

【今回利用した登山バス】※PDF
http://www.enzanso.co.jp/2013mainichialpengou.pdf

27日に白馬雪崩遭難のニュースやら上高地入山規制のニュースがあり、
不安はあったものの天気予報と気圧配置図などを参考に晴れると予想。
結果28日は大当たりとなった。

28日早朝の中房温泉手前にある登山口は非常に寒く、暖かかったバスから
降りた体には非常に染みる気温であった。ここで朝食をとり手洗いを拝借、
装備を整えた。パートナーは インナー+フリース+ダウン+ソフトシェルの
冬山装備。わたしはインナー+R3フリース+フーディで登り始める。

木々はうっすらと雪をかぶり、季節は春だが冬の体を楽しめる登り始めだ。
足元は大きめの石があり木の根がところどころ顔をだす樹林帯、クマザサが
時々頬をかすめる。だんだんと雪が土を覆う道となっていった。

しばらく進むと第一ベンチに到着。ここまで来ると積雪もそこそこあり、
ほとんどのパーティーがアイゼンを装着した。我々もここでアイゼン装着。
第二ベンチ~第三ベンチと進む、樹林の間の山景をゆっくり楽みながら。

第三ベンチ~富士見ベンチの間は、日が当たる箇所の雪がとけ腐っている。
踏み込んだときに思わず滑ることもあり、傾斜があるところでは
アイゼンやキックステップが効きづらかったりもした。

また、前日の宿泊客が下山してきてすれ違うことが多くなるのも
この辺りなのだろう。我々が進む2メートルほど先に、突然、人が
シリセードで木々の間から滑り降りてきた。これには大変驚いた。
見上げると2~3人がシリセードで降りようと間隔を伺っていた。
アイゼンを装着している状態で、また人が続々と登ってきている状態での
シリセード。もしぶつかったりしたらただでは済まないだろう。危険である。
登っていくと、傾斜のきつい箇所につけられていたステップも、シリセード
のせいか消されていた。

登山の楽しみ方は人それぞれだが、
人に迷惑をかけてまでするのはいかがなものだろうか。
するなとは言わない、ただ時と場所を考えて欲しい。

多少もやもやとしたが、思考の海に身をゆだねながら山を登るのもまた
登山の楽しみ、なんて思いながら進むと合戦小屋に到着。たくさんの人が
思い思いに休憩をし、ウエアの色も華やかだ。
小屋の人が元気よく「お疲れ様です」「いってらっしゃい、気をつけて」
と声をかけて迎え、送り出してくれた。

ここからが北アルプス三大急登と地図に記されている場所なのだろうか。
傾斜がある雪の斜面を一歩一歩と踏みしめて登っていると、ふと先を行く
登山客が一様に左を指差してはカメラを構えている。そうだ、『槍』だ。
穂先がチラと顔をだし、進むごとにその特徴的なかたちが姿を現す。
初めてこの目で見る槍に元気付けられ、重かった足取りにも力が篭る。

合戦尾根の上に出ると、
真ん中に今夜の宿泊先である燕山荘の赤茶色の屋根が見え、
左手には大天井岳につづく稜線、そして槍ヶ岳。
右手には燕岳と大きな雪庇が見えた。はじめての北アの荘厳な景色に、
ただただ きれいだとか、格好良いだとか、ありきたりな言葉しか出ない。
早くあの稜線にでて、裏銀座と槍をこの目で見るのだと尾根を登る。
ただし足取りは軽やかとは言えなかったが。
そうして登りきって、初めて目にした冬の北アの景観を見た感想は、
諸先輩方の想像に難くないだろう。推して知るべし。

感動の波も引ききらないうちに、今夜お世話になる燕山荘で受付を済ませる。
小屋開きして3日目となる本日。小屋には水がなく500mlペットボトルの水を
200円購入する形となっていた。ただトイレの前には手洗い用の水がある。
水は貴重だ。大切に使うようにする。

パートナーと談話室で、それぞれ持ってきた缶ビールと菓子で、
無事の到着を労い 長めの休憩をとった。
その後、空身(ピッケルのみ携帯)で燕岳山頂を目指す。
稜線は花崗岩だろうか、白っぽい岩がボロボロと風化で崩れ まるで砂浜のようだ。
青い空、白い砂、そして残った雪が南国の浜辺のようである。
しかしここは標高2,700m、そして体感温度は0度以下だ。

前方に燕岳、左手に裏銀座、右手には安曇野市、そして後ろに槍。
すばらしい景色を眺めながらの気持ちの良い稜線歩きをしていると
心地の良いさえずりが聞こえてくる。イワヒバリだ。
人を天敵として認識していないのだろうか、すぐ近くまで寄っても
逃げるそぶりをみせない。非常にかわいい。かわいい!!!!

山頂は人が多かったが記念の写真を撮り、
すぐに引き返しイワヒバリを見つけその姿をためつすがめつ眺めていた。
全体的に茶色だが胸の部分が赤っぽい。小首をかしげるようなしぐさを
しながら砂の中の何かを食んでいるようだ。歌うように鳴きながら。
ちなみにパートナーは寒いと言って早々に小屋に引き返している。

小屋へ戻ると早々に夕飯、17:00の回であった。メインメニューはハンバーグ。
食べ終わるころにオーナーが、そろそろ年なもんで…と謙遜されつつも、
アルプホルンの演奏を聞かせてくれた。ここちの良い音だった。
山の話は、燕のおとなり大天井岳。燕山荘グループで大天荘を営業していた
ようだが、滑落や遭難が相次ぎ危険なため冬の営業をとりやめたとのこと。
大天井岳まで夏のコースを歩くと危険なので大天井を直登するように話していた。
また、オーナーもガイドのため今日ふもとから登ってきたようだが、
オーナーもシリセードの下山者に遭ったようで、アイゼンを装着した状態で
樹林帯の中を安易にシリセードすることについての危険性を語っていた。

夕食を終えた後、カメラと三脚を手に脱兎のごとく小屋を飛び出し日の入りを
撮影。裏銀座にゆっくりゆっくりと日が落ち、山々がオレンジ色に照らされて
素敵な雰囲気であった。20:00ごろに再び外へ出て、色とりどりに光る幕営地を
背景に、うっすらと浮かぶ燕岳や、星空と槍を撮影したり楽しんだ。
消灯は21:00。布団のようなシュラフ+毛布。わたしたちには寒く、靴下用のカイロ
と張るカイロを装備。わたしはその上、腰に断熱素材の座布団を敷いて寝た。

山ヤの朝は早い。午前3:00ごろからガサガサ音がしていたが、我々は4:00に起床。
顔をぬぐい身支度をして、4:30には外に出て今か今かと日の出を待つ。
ゆっくりと夜の藍色に朱がまじる。この瞬間が一番好きだ。
4:55、一筋の赤い光が見えたかと思うとあっという間に日がのぼる。
シャッターを切っていた手が止まり、おもわず両手を合わせて何かに祈らずには
いられなかった。それほど美しい光景だった。涙が出たのはみんなには秘密だ。

5:00に朝食をいただく。シャケやたまご、ハムや漬物。少量ずつ色々なおかずが
出て朝っぱらから食がすすむ。下山に備えてエネルギーを摂取。部屋に戻り
パッキングを整え、お世話になった燕山荘と、そして燕岳に別れを告げる。
昨日とは異なり、山々の上には黒い雲が速い速度で流れており、所々切れ間から
光の柱がおりていてなんとも荘厳な景観が広がっていた。
6時~の合戦尾根は、解けた雪の表面が凍っているようで歩きやすかったが、
尾根の切れ端から合戦小屋に降りる斜面の途中から腐り始めていた。

見えていた槍や燕に別れを告げ、合戦小屋の方からもお気をつけてと送り出され
樹林帯に入る。天気もあまり良くない様で木々の間から冷たい風が入り込み
汗ばんだ体を冷やす。途中で グエェー やら ゲエェー というような鳴き声が
聞こえた。ライチョウだろうか。こんな樹林帯まで彼らは降りてくるのか。
少し不安を増長させられたが、富士見~第三と軽快に下山。雪は腐ってきている。

第二ベンチに近づくころには雪がとけ、そう、大根おろし状の部分が多く、
また雪上のトレースにも土が混じってくる。第二ベンチを過ぎたあとには
すでに雪が溶け土がむき出しになっている部分も多くなった。
風の方向も変わり、ふもとから熱風のように暖かい風も吹いてきた。
第一ベンチ手前でアイゼンをはずしたあとは、滑らないよう注意した。
きれいだった登山靴がすてきな土色になる、田んぼ下山となった。

中房温泉で汗を流し、冬から春、そして初夏まで駆け抜けてきた体を労い
ワインとチーズを飲みながら帰りのバスを待った。

すばらしい天気に恵まれ、荘厳な景色と
可愛らしいイワヒバリも見れた、良い山行だった。

ここまで感想を読んでくださった方に感謝を。
無事の登山と、素敵な景色との出会いがありますように。

tams x

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 登山靴
バックパック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ タオル 帽子
グローブ サングラス 地図 コンパス ノート・筆記用具 カメラ
登山計画書(控え) ナイフ 健康保険証 ホイッスル 医療品 ロールペーパー
非常食 行動食 トレッキングポール アウターウェア オーバーパンツ バラクラバ
雪山用登山靴 アイゼン ピッケル スノーシュー ゴーグル ロープ
カラビナ 安全環付きカラビナ スリング

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登った山

燕岳

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2,763m

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