鹿島槍・爺ヶ岳 | 冷池山荘

7/26は午前中の晴天が一転、待望? の夕立ち。久しぶりの雨で木々もお花も人間も登山道も喜んでいます

昨日の夕立ちで緑もより鮮やかに! 今日も朝から絶好の夏日和。鹿島槍吊尾根の残雪も美しい。冷池山荘2階の客室から望む鹿島槍ヶ岳(am 8:00) (2010.07.27 冷池山荘 )
昨日の夕立ちで緑もより鮮やかに! 今日も朝から絶好の夏日和。鹿島槍吊尾根の残雪も美しい。冷池山荘2階の客室から望む鹿島槍ヶ岳(am 8:00) (2010.07.27 冷池山荘 )
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天気・気温

07/27(火) 晴れ、最高22℃前後、最低11℃前後
富山市の天気予報
明日
雨のち晴
17℃
10℃
明後日
26℃
8℃
日本気象協会提供 2024年5月8日 4:00発表
松本市の天気予報
明日
雨のち晴
17℃
6℃
明後日
27℃
4℃
日本気象協会提供 2024年5月8日 4:00発表
※ご利用上の注意

山と周辺の状況

7月もいよいよ一週間を残すのみになってしまいました。びっくりするほど好天が続いています。朝夕は青空が広がり、日中はガスがかかる時間帯もある夏山の典型的なお天気です。
7/26は午前中の晴天が一転、午後2時ごろから1時間以上にわたって待望? の夕立がありました。7/18の梅雨明け後は連日の晴天だったので、恵みの雨となりました。高山植物たちにとっても、小屋の水場にとってもうれしい雨です。
気温もさあっと下がりまさに一服の清涼剤です。雷はこわいけどこれからは時々夕立がほしいのも偽らざる心境です。

主稜線の“お花畑” は、残雪が消えて、どんどんと夏のお花たちが咲きだしています。先陣を切るのはいつも ミヤマキンポウゲ ミヤマキンポウゲ シナノキンバイ シナノキンバイソウ ミヤマキンバイ ミヤマキンバイ などですが、それに続いてハクサンボウフウや ヨツバシオガマ ヨツバシオガマ なども咲きだしています。もう少しすればそこに盛夏の代表 ハクサンフウロ ハクサンフウロ クルマユリ クルマユリ なども加わります。
ひとくちに“お花畑”といってもいろんな地形、地質、気象条件などによっていろいろな種類の“お花畑”があります。 コマクサ コマクサ のように単独でつくる“お花畑”もあれば、いろいろなお花がそれこそ百花繚乱状態の“お花畑”まで千差万別です。何度も岳へ足を運んでいただき、いろんな時期のいろんな“お花畑”を知っていただき、満喫していただきたいものです。

また岳の上は7月、8月になっても残雪があり、秋の訪れも下界には比較にならないくらい早いので、真夏の最盛期でもいわゆる“春の花”から“秋の花”まで一堂に会することもまったくふしぎでありません。今日現在でも雪が消えてしばらくたったところでは、5月の中旬には咲きだす ショウジョウバカマ ショウジョウバカマ がようやく開花しているものもあります。また一方の場所では“秋のお花”の代表でもある、オヤマ トリカブト ヤマトリカブト も咲きだしています。種池山荘前の チングルマ チングルマ も、もう満開の場所もあれば、芽吹きの真最中のもの、これから芽吹きを迎えるもの等いろいろです。

場所によってはそれこそもう花を落とし綿毛状態になっている チングルマ チングルマ もあります。お花の名前ももっともっと覚えたいし、そのお花の個性というものももっと知りたいものですね。またどう探してもその山では見つからない、生えてないお花も何種類もあるものです。いつの日にか、高山植物図鑑でしか見たことのないお花たちにも逢いにあちこちの山へ出かける時間をつくりたいものです。なかなかむずかしいかなあ・・・

現在は シナノキンバイ シナノキンバイソウ ミヤマキンポウゲ ミヤマキンポウゲ ミヤマキンバイ ミヤマキンバイ 、アオノ ツガザクラ ツガザクラ 、コケモモ 、 チングルマ チングルマ 、ハクサンボウフウ、エゾシオガマ、 ヨツバシオガマ ヨツバシオガマ 、ニガナ、モミジカラマツ、 ハクサンチドリ ハクサンチドリ ハクサンフウロ ハクサンフウロ などが、どんどん咲きだしています。
一方では早咲きのミヤマコウゾリナ、ミヤマ アキノキリンソウ アキノキリンソウ 、ミヤマコゴメグサ、 ヤマハハコ ヤマハハコ 、ミヤマ トリカブト ヤマトリカブト といった秋系の花もちらほら咲きだしています。
種池山荘前の残雪もなくなり、早く雪の消えたところから チングルマ チングルマ やアオノ ツガザクラ ツガザクラ が咲きだしています。またみなさんお楽しみの コバイケイソウ コバイケイソウ は一部で開花しましたが、今年はどうやらちょっとだけ花をつけておしまいのようです。

登山道の状況

久しぶりの雨で木々もお花も、人間同様にのどを潤したようです。おしめりは生き物だけでなく登山道にとっても好影響です。埃っぽく、小石がざらざらして、路面の石も浮き加減になってしまっていましたが、この雨で文字通り『雨降って地固まる』状態になって、とても歩きやすくなりました。雨が降れば、登山道が壊れるようなイメージの方が大半かと思いますが、適度な雨は登山道の保守や安全、登山者の滑落防止にもつながる大切なものです。

柏原新道は上部のアザミ沢とガラバに残雪がありますが、問題はありません。落石や滑落に注意してガラバはサッと通過しましょう。

赤岩尾根の最上部の“馬の背”付近と主稜線に出るトラバースは転滑落に注意してください。また落石にもご注意ください。赤岩尾根はやや急登ですので、下り時は一歩一歩ゆっくりと下りてください。

鹿島槍ヶ岳周辺は主稜線の登山道上の雪も消えて安心して通行できます。五竜岳方面も海の日3連休中も皆さん支障なく縦走されています。
鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は、鹿島槍南峰を越えると、岩場が多くなり高度感も格段の違いです。アップダウンも多いので健脚者、経験者向けです。

新越山荘方面はところどころに残雪がありますが、問題はありません。残雪から夏山登山道に移るところが凍っているので気をつけましょう。

針の木大雪渓は最上部針ノ木小屋直下の夏山登山道が約400m現れて、安心して通行できるようになりました。それより下部は残雪がまだ 1kmぐらいに渡ってたっぷりあり、夏山の大雪渓歩きを堪能できます。心配な方は軽アイゼン、ストックなどを用意してください。 針ノ木小屋で軽アイゼンを借りて大沢小屋で返却することもできます。下り時は転ばぬようご注意ください。
針ノ木小屋から針ノ木岳のあいだの残雪はなくなりました。

雨による登山道被害報告等ははありませんが、この時期はまだまだ浮石や落石等へ十分に注意をはらってください。 また大雨が降ってもすぐに登山道の全線の状況を把握することは不可能です。登山道に被害等があったときには引き返して小屋や警察署等にご連絡くださるようお願い申し上げます。

登山装備

いかなる山行でも(ツアーであっても)、各自で装備はしっかりと用意しましょう。またコースや計画の概要は各自がしっかりと理解しておきましょう。自分がどこを通ってどこへ下山するのか、どのくらいの時間がかかるのかもわかってない“連れられ登山”の方が見受けられます。インターネットなどだけでなく、専門家が監修したガイドブックや山岳地図等でしっかりと情報収集をしてください。
またインターネットなどに発表される個人の山行記録はあくまで個人の記録ですので、山行時間や行程はガイドブックや山岳地図等の平均的な無理のないものを参考にしてください。

日中の暑さ等に対する備えもしっかりとお願いします。 日焼け止め、サングラス、帽子、水分補給等にご注意ください。

注意点

早出早着を心がけていただき山小屋にはできるだけ早くに、何とか14:00ごろまでには到着するようにしていただきたいものです。
“雷三日”の格言のとおり、雷は数日続く可能性があります。登山中はいつでも雲の動き、空の色、遠くで聞こえる雷の音等に常に心研ぎ澄まして注意して、とにかく午後の早い段階に 山小屋へ到着するようにすることを心がけましょう。

大町から扇沢駅までの大町アルペンラインは大雨等の際には、事前に通行規制が行われ車両の通行ができなくなる場合があります。1時間に30ミリの豪雨が降った場合や、雨が止むことなく降り続き130ミリに達した場合が該当します。  ※こういった事前規制は北アルプス各所の登山口への車道でもあります。

NHKテレビの天気予報を見る際、北アルプス北部のお天気の目安としては、『長野』のお天気より『新潟』のお天気のほうが類似していますので、そちらを参考にしてください。 さらに『金沢』も参考にすればよいでしょう。この3箇所が晴れマークなら、北アルプス北部も大体晴れるでしょう。

お知らせ

7/31(土)は冷池山荘と種池山荘で定員に達しそうです。その後も週末にかけて混みあいそうです。新越山荘は予約少なめです。
8/7(土)の週末も混み合いそうです。なお例年、お盆の時期は意外と込み合いませんので穴場です。

長野県下恒例の中学校の集団登山の日程ですが、100人以上の中学校の宿泊日は種池山荘が7/27(火)、冷池山荘が7/27(火)です。いずれもやや混みあいますので他の日をおすすめいたします。

残雪と青空と緑の山と沸き立つ雲、そして足元には可憐なお花の数々、北アルプスのもっとも輝く季節はまだ始まったばかりです。

お客様に少しでもゆっくりと休んでいただくためにも、ご予約をお願いいたします。

長野県下恒例の中学校の集団登山の日程は、種池山荘が8/31(火)、冷池山荘が7/27(火)です。いずれもやや混みあいますので他の日をおすすめいたします

昨年の今頃の様子は?

2023年GW営業はありません(冷池山荘、種池山荘、新越山荘)。夏山営業7/1~(5/15から予約受付)2023.04.27

冷池山荘と種池山荘は営業7/1~、新越山荘は7/15~。7月泊の予約受付は5/15~(テント6/1~)2023.05.10

営業は冷池山荘と種池山荘7/1~、新越山荘7/15~。柏原新道通行不能(上部に残雪、未整備)2023.06.08

冷池山荘周辺の過去の様子

  • 爺ヶ岳も鹿島槍ヶ岳も主稜線の雪庇の張り出しも気持ち小さい感じがします。
  • 鹿島槍ヶ岳。手前の里山の雪ももうじき無くなってしまいそうです
  • 鹿島槍ヶ岳の頂上稜線では30cm近い積雪でしょうか。吹き溜まりは場所によっては1mあっても不思議でありません。
  • 鹿島槍ヶ岳も全容を現してくれました。頂上付近に雪が残っているのが見えます
  • 日当たりの少ない針ノ木岳や蓮華岳の北側斜面には雪が残っているのがわかります
  • 昨日そして今日の雨で小屋前の雪もほぼ消え去りました。種池山荘前
  • 前日の雪も上がって好天下、爺ヶ岳を皆さん目指します。爺ヶ岳南峰まででしたら主稜線も危険なところはほぼありません。
  • 15時 冷池横の黄葉の木々が白く染まりました
  • 種池山荘前も白の世界へ
  • 前線通過の雨に洗われて、いちだんと紅葉は輝きを増しました。
  • いい感じでにぎわった、種池山荘前庭。
  • 今年も「初氷娘」の登場する季節到来! 初氷で鹿島槍ヶ岳に乾杯(種池山荘)

冷池山荘

電話番号:
0261-22-1263
連絡先住所:
長野県大町市平5328

地図で見る
http://www.kasimayari.jp/

施設の詳細を見る

関連する山

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

鹿島槍ヶ岳 標高 2,889m

 この山は、後立山連峰の中央部に位置し、名実ともに後立山の盟主という存在である。  端麗と表現される南北2つの峰と、それを結ぶ吊尾根がつくるこの山の姿は、どこから眺めても美しい。この山に魅せられた岳人たちは、同時にこの山が内懐に秘める荒々しさのとりこにもなったのである。それは山麓からではうかがい知れない、北壁や荒沢奥壁などのバリエーション・ルートである。これらのルートの開拓は大正末期から昭和の初期に、学校山岳部を中心に華々しく行われ、それは日本におけるアルピニズムの歴史に、貴重な一頁を記しているのである。  鹿島槍ヶ岳への登路は、縦走路のほかには、東面・信州側から短くて急峻な赤岩尾根1本のみである(鹿島から所要9時間)。この尾根の途中の高千穂平は、鹿島槍ヶ岳のよき展望台ともなっているが、そこから眺める大冷(おおつべた)沢の源頭には、残雪期に獅子やツルの雪形が現れる。そこから昔は、山名をシシ岳とかツル岳、あるいは双耳峰からの連想で背比べ岳などとも呼ばれていた。現在の鹿島槍ヶ岳の山名は鹿島集落の背後にある槍ヶ岳といった意味である。山体は信州側は急崖、西面・越中側はなだらかな非対称山稜の典型である。  西面には、支稜の牛首尾根を挟んで東谷と棒小屋(ぼうごや)沢が、西面の水を集めて黒部川に注いでいる。この棒小屋沢と、剱岳東面を流下する剱沢とが、黒部峡谷に対して対向から合流する、有名な黒部の十字峡を形成している。  東面を落ちる白岳、大冷の各沢は、源頭部にバリエーション・ルートを提供している。その1つ、カクネ里はU字谷をなし、平家の落武者が隠れ住んだという(隠(かく)れ里(さと))伝説をもつ、ロマンを秘めた圏谷である。もちろんここに人が隠れ住むというのは不可能だが……。  南峰から主稜を南へ下ると、肩といった存在の布引岳(残雪が布を敷いたように見えるのでこの名がある)で、付近には船窪地形が散見される。その南の小平地には冷(つべた)池があり、冷池山荘が建っている。また吊尾根の雪田付近から北峰を巻いて北へ下ると、両側の谷からの浸食によって、主稜線に深いⅤ字形の切れ込みの入った八峰(はちみね)のキレットに出る。その北側にキレット小屋がある。  登山口の鹿島集落は昔から戸数11戸しかなく、集落の人々は平家の落武者の子孫といわれている。ここで民宿を営んでいる狩野氏宅には、近代登山以降の鹿島槍ヶ岳の登高記念帳が保存され、それがそのまま鹿島槍ヶ岳の登山史ともなっている。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

爺ヶ岳 標高 2,670m

 後立山連峰の南部にあり、3つのピークからなる。北から一直線に南下してきた後立山の主稜線は、この爺ヶ岳で西方へ大きく湾曲し、越中側にすり鉢を半分に切ったような、ハイマツの見事な大斜面をつくっている。一方、東面には大きな白沢天狗尾根を張り出している。この天狗尾根や扇沢にはかつて登山道があったが、現在は廃道となり、種池山荘の柏原正泰氏が拓いた柏原新道がある。新道は扇沢出合から爺ヶ岳南稜をたどって種池に登るもの(扇沢出合から所要3時間30分)で、2つの廃道の欠点を取り除いた、後立山連峰の主稜線へ登るものとしては、最も容易なコースである。  爺ヶ岳の山名は、南峰と中央峰との間、白沢の上部に、残雪期に種子蒔き爺さんの雪形が現れることから付けられたもので、爺さんが蒔く種を漬ける種池だ、というおまけまでついている。種池は主稜上の池塘で、そばには種池山荘があり、幕営地にもなっている。この西方にも棒小屋沢乗越の池がある。種池から南峰にかけて、またその南斜面も広大なお花畑である。  積雪期の爺ヶ岳東面は、ヒマラヤひだが発達して壮観で、いくつかのバリエーション・ルートが拓かれている。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

岩小屋沢岳 標高 2,630m

飛騨山脈北部、富山県と長野県の県境にそびえる山。西側には種池小屋、東側には新越乗越山荘がある。

ユーザーの登山記録から

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