名前のイメージは悪いが、梅雨の散歩を彩る花、ドクダミ。
危機的状況は去ったものの、まだ積極的な外出を控えている人も多いと思う。それでも自宅の周囲を歩いて、なまった身体を動かしてほしい。そして街の草木に目を向けると、今の時期はドクダミの花の姿が目立つ。今回はドクダミの花の話だ。

新型コロナ後の時代に向けて動き始めているものの、まだ、自由に山に行くような環境には残念ながらなっていない。不安があり、公共交通機関を使って山に行かずに、トレーニングとして街なかの散歩をしている方も多いかと思う。
街中を歩いていると、春よりは花が少なくなったとはいえ、まだまだ花はたくさん咲いている。梅雨に入った今、一番目立つのはドクダミだ。ドクダミは名前のイメージは悪いが、とてもきれいな花だ。


ドクダミといえば、あの独特なにおいを思い出す方も多いだろう。しかし、以前から民間薬として使われてきた有用な植物で、花もとても美しい植物だ。群落になるとさらに美しい。でも私が一番好きなのは、苞が開いた瞬間。
さらにドクダミでおもしろいのは花の構造だ。花びらのような白いものは、花を包んでいた「総苞片」と呼ばれる葉が変化したものだ。これは4つあるのが基本だが、3枚しかないものもある。
その中の黄色い芯のような部分が花だ。基本的に黄色いのは雄しべで、たくさんの数がある。その下に白く見えるのが雌しべで、雌しべの先端は3つに分かれる。雌しべがひとつに雄しべが3つあってひと組になるのがドクダミの花だ。においがあっても美しい。これがドクダミの本当の姿である。


プロフィール
髙橋 修
自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。
髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」
山には美しい花が咲き、珍しい植物がたくさん生息しています。植物写真家の髙橋修さんが、気になった山の植物たちを、楽しいエピソードと共に紹介していきます。
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