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ウィズコロナで「天気優先」型山登りをするための前夜泊日帰り登山のススメ

山の天気を知って安全に登山を楽しもう!
基礎知識 2020年08月01日

新型コロナウィルスに対する人々の不安や経済への懸念は簡単に解消しそうにない中、「コロナと共存する、ウィズコロナ」という考え方の必要性が広がっています。この状況下で、登山を楽しむための提案を考えてみました。

 

山梨県の山好きにとって、この夏は一層辛いシーズンになってしまいました。かねてから登山禁止とされていた富士山に続き、今月23日以降は北岳・間ノ岳も登山が禁止されています。山梨県が日本に誇る標高ベスト3の山岳全てに今シーズンは立ち入れません。

登山が禁止されていない山もたくさんありますが、なんとなく山に行きづらい雰囲気が漂っていると感じます。ウィズコロナの状況下で登山を楽しむにはどうしたらいいのでしょうか。私なりの考え方をまとめました。

 

ウィズコロナ中の登山 「天気優先」か「日程優先」か

営業を断念した山小屋が多い中、入念な感染症対策をとった上で今夏も登山客を迎え入れてくれる山小屋の存在は、私たち登る側にとっては大変ありがたいものです。ただし、営業している山小屋やテントサイトでも三密の状態を避けるために完全予約制をとり、宿泊できる人数を制限しています。

去年まではテント泊なら予約不要という考え方が一般的だったかもしれませんが、今年は現地に行ってから何とかなるだろうという考えは通用しません。今年の登山は必ず宿泊先の予約を取ることが前提となっているようです。

そこでポイントとなってくるのが山の選び方です。以前なら天気マニアの私のような人であれば、数日前、もしくは前日の天気予報を見てから確実に晴れそうな山のエリアを選んで移動手段と宿泊先の予約をとることが多かったと思います。これを「天気優先」型の山選びと呼ぶことにしましょう。

「天気優先」型の山選びは、バスや山小屋の予約がすでに埋まっていて歯がゆい思いをすることもある反面、天気で失敗する確率は大きく減らすことができるので個人的にはおすすめです。ただ、今年は山小屋の予約が大変厳しい状況です。日本アルプスなど人気の山域を小屋・テント泊で楽しむためには、天気がわかるずっと前に予約をとっておくのが現実的でしょう。こちらは「日程優先」型の山選びと呼ぶことにします。

 


「日程優先」型でも、当日はもちろん天気予報を入念に確認していただきたいですが、気象予報士の立場としては、やはり今年も「天気優先」型の山選びを続けたいと考えています。

そこでおすすめなのが前夜泊日帰り登山です。山小屋の予約はとれなくても、麓の街の宿泊施設の予約が取れるケースが多いです。直前に天気予報を見て晴れる山域を見極めた後、前日に山の麓まで移動して、翌早朝に登山開始。「天気優先」型を維持しつつ、日帰りで山を楽しむことが私なりに考えたウィズコロナの登山スタイルです。

 

登山グッズに「アマビエ」をプラス

山に持っていく持ち物は基本的にこれまでと変える必要はないと思いますが、衛生に関するグッズは念入りに準備しておけば山小屋やテント場、交通機関などで役立つことが多いかもしれません。持っておきたい衛生グッズのラインナップを、疫病をはらうことで話題になったアマビエという妖怪にちなんで紹介します。


 
(ア)アルコール消毒液
日常生活で使うスプレータイプは容器がかさんでしまうので、トラベル用の小さなものや、ウェットティッシュタイプを常備しておくと良いかもしれません。

(マ)マスク
登山道で密になることはありませんが、山小屋やテント場で過ごす際にはマスクを着用するのがエチケットです。マスクを着けたまま行動すると熱中症になりやすいので注意。

(ビ)ビニール手袋
山小屋ではビニール手袋があればより安心して過ごせそうです。

(エ)衛生用品
包帯、テーピングテープ、携帯トイレ、携帯ウォシュレットなど、コロナ前の登山でも持っていた衛生グッズは忘れずに持っておきましょう。

「アマビエ」は災害からの避難所で役立つ衛星グッズの語呂合わせとして広まったものです。登山用品は避難生活で役立つものが多いとされていますが、逆もまた然り。「アマビエ」が登山をはじめとするアウトドアでも役立つシーンは多いでしょう。

教えてくれた人

宮田雄一朗

日本気象協会所属の気象予報士。山梨県で気象キャスターをしています。天気予報をきちんと伝えられるように奮闘中。日々の天気の話題の中で、登山にちょっと役立つ知識もお届けします。

日本気象協会

日本の気象コンサルティングサービスのパイオニアとして1950年に創立。以来、気象・環境・防災などに関わる調査解析や情報提供を行っている。
近年ではAIやIoT、気象ビッグデータの活用を通じ気象の調査解析、情報提供の精度を向上させ、気候変動への適応など持続可能な世界を実現する活動を支援している。
 ⇒tenki.jp

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