シンプルで軽量なシェルター LOCUS GEAR 「Khufu CTF3 Shelter Black」 | あの人の山道具[5]

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山好きのあの人に、お気に入りの山道具について聞く、連載「あの人の山道具」。第5回はアウトドア関連の書籍デザインを多数手がけ、自身も登山好きのデザイナー尾崎行欧さんに、LOCUS GEARのKhufu CTF3 Shelter Blackについてお聞きします。

ぼくは普段は雑誌や書籍を中心としたグラフィックデザインの仕事をしながら、合間をみて山に出かけている。仕事がら平日になかなか休むことができないため、いつも1~2泊の短い山行だ。限られた時間の中でできるだけ長い距離を快適に歩いて、見たことのない自然の風景をいろいろと見たい、と欲張った思いから装備は軽量なものにしている。

「Khufu CTF3」を購入したのは確か7年前。それまで4種類のテントを使用したが、とにかく軽量でコンパクトになり、かつ快適なテントはないものかずっと探していた。

好きな部分をあげるときりがない。

  • 335gという軽さ
  • シンプルなデザイン
  • 設営、撤収の簡単さ
  • 入り口を全て開放すればタープのような開放感がある
  • 中であぐらをかいて調理ができる
  • 友人と向き合わせて設営するとシェルター内にいながら会話がしやすい
  • 結露や雨で濡れても水を払ったり拭いたりしやすい
  • 虫が入ってきても放っておける
  • タープと違って強い雨風を防げる
  • シャリシャリした音が気持ちいい
  • 見た目がかっこいい

などなど…。

5年前の7月、猿倉から入山し、不帰ノ嶮、唐松岳、八方池の予定で山行に赴いたときのこと。
その日は天狗山荘まで行く予定だったが、ガスと雨がひどくなってきたので、あきらめて白馬岳頂上宿舎のテント場にKhufuを張ってから小屋でビールを飲んでいた。小屋では山と溪谷社のTさんに偶然お会いした。Tさんはお父様といらしていて、素敵な家族だなあと思った。雨風が強いので、小屋泊が羨ましいなとも思った。

シェルターに戻り、夕飯を済ませて寝ようとすると辺りはもう暴風雨。幕がバタバタと鳴っている中、寝そべりながら、小屋に行こうか、風で飛ばされたらどうしよう、でもフロアレスだから自分は地面に残るのか、などと寝ぼけながら考えていたのを覚えている。

朝まで強い雨風は続いたが、Khufuは損傷なく持ち堪えて守ってくれた。風を受け流しやすい形と、シンプルな構造だからなのか。シェルターの外にしっかりと畳んで置いておいた傘は50メートルほど離れたところに飛ばされていた。他の人にぶつからなくて良かった。気をつけないと。
これ以来、信頼と愛着がさらに強まって嬉しくなった。この日は帰宅しなければいけないので、不帰嶮はあきらめて白馬大池を通って栂池に降りたが、良い経験だった。

2年前に息子が生まれ、最近は山行よりも家族でキャンプに行くことが多くなってきている。大きくなったら二人でひとつずつKhufuを持って、縦走に行けたら最高だなと思う。向き合わせて設営してお酒を飲みながら語り合いたい。

LOCUS GEAR/Khufu CTF3 Shelter Black
https://locusgear.com/

プロフィール

尾崎行欧

グラフィックデザイナー。東京都在住。尾崎行欧デザイン事務所にて幅広くデザインを手がける。アウトドア関連の主な仕事は、ヤマケイ新書シリーズ、山のABCシリーズ、「山スキー百山」「フライパンで山ごはん」「丹沢の谷」「萩原編集長の山塾」「メスティンレシピ」「焚き火の本」「簡単シェラカップレシピ」(以上全て山と溪谷社)、「UPASKUMA(川村喜一写真集)」(玄光社)、「水辺の安全ハンドブック」(河川財団)、「マウンテンハードウェアカタログ」など多数。
Web: http://oigds.jp
Instagram: https://www.instagram.com/ozakiikuo/

あの人の山道具

山好きのあの人に、お気に入りの山道具について聞きました。

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