赤城山はツツジの季節。ツツジの仲間は見分けるのが難しい、というが・・・

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5月から6月にかけて、赤城山の山肌を彩るツツジの花。赤城山には、さまざまな種類のツツジが自生しているが、その見分け方をアドバイスする。

ヤマツツジ咲く、赤城山・鍋割山の稜線


2012年。今年はツツジの開花が早い年だと予想していたが、どうやらそうでもないようだ。

5月の末に赤城山の鍋割山に登った。赤城山はツツジの名所でもある。鍋割山は、赤城山の山々の中でもそれほど標高が高くはないが、赤城山の南西側に突き出るように伸びるピークのため、関東平野だけでなく、富士山、浅間山、苗場山、武尊山まで広大な展望が楽しめる。鍋割山の山頂付近は、安定した森林が発達しておらず、低木が多い。中でもツツジやズミなど、花が美しい木が多い山である。

赤城山のツツジの開花は、中腹のアカヤシオから始まり、トウゴクミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジ、レンゲツツジと続く。今年、アカヤシオの開花は例年よりも早かったが、その後は寒い日もあったためか、ツツジ類の開花は例年よりも少し遅れている。鍋割山は5月末の状態で、シロヤシオがピークをちょっと過ぎ、ヤマツツジは満開、レンゲツツジはちらほら咲き、トウゴクミツバツツジはもうほぼ終盤と言った状況だ。

これから、ツツジの花は赤城山のより標高の高い部分に向けて、どんどん花開いていく。長七郎山のシロヤシオはそろそろピークになり、白樺牧場は赤く埋め尽くすレンゲツツジとヤマツツジもこれからだ。まだまだ赤城山のツツジはしばらく楽しめるだろう。

赤城山のツツジ類の見分け方は簡単だ。花色が濃ピンク色ならアカヤシオ、紅紫色ならトウゴクミツバツツジ、白色ならシロヤシオ、赤~朱色ならヤマツツジ、オレンジ色ならレンゲツツジだ。

鍋割山のレンゲツツジ、後ろはヤマツツジ


ツツジの仲間は見分けるのが難しい、と思われることも多いが、見分けるポイントだけでも知っていれば、見分けは難しくない。しかし、ツツジの中でも3枚の葉を持つミツバツツジ類は見分けるのが難しい。関東近辺の山には主にミツバツツジとトウゴクミツバツツジ、ユキグニミツバツツジがあるが、それ以外にもキヨスミミツバツツジやダイセンミツバツツジが生えていてややこしい。

鍋割山のサラサドウダンツツジ

鍋割山のシロヤシオ、別名ゴヨウツツジ


続けて言うと念仏を唱えているようだ。関西や、四国、九州の山々はミツバツツジ類の分布の中心であり、さらに多くのミツバツツジが生えておりややこしいことこの上ない。見分けるポイントは雄しべと雌しべ、雌しべの付け根の子房。

ミツバツツジを見分けるには、図鑑があったほうがよい。まずおすすめは山溪ハンディ図鑑5『樹に咲く花』だ。ミツバツツジ類の比較写真があってわかりやすい。もうひとつのおすすめは文一総合出版の『ツツジ・シャクナゲハンドブック』である。著者が写真を担当している。これも小さな図鑑ながら、見分けるポイントと、分布域がわかり、難しいミツバツツジを見分ける手助けとなるだろう。

プロフィール

髙橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒髙橋修さんのブログ『サラノキの森』

髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」

山には美しい花が咲き、珍しい植物がたくさん生息しています。植物写真家の髙橋修さんが、気になった山の植物たちを、楽しいエピソードと共に紹介していきます。

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