GW中の「低気圧の通過・前線の通過」は荒天の可能性があることを念頭に入れた計画を 島崎三歩の「山岳通信」 第260号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年4月28日に配信された第260号では、大型連休に向けての登山計画について言及。この時期、低気圧と前線の影響を受けると行動ができないほどの荒天となるため、最新の天気予報の確認と登山の中止や撤退を含めた判断を促している。

 

4月28日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第260号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月18日、奉納山で、単独で入山した43歳の男性が、奉納山から下山途中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 4月24日、八ヶ岳連峰の地蔵の頭で、2人パーティで美濃戸登山口から入山した23歳の女性が、赤岳に向けて登山中に八ヶ岳連峰地蔵の頭付近で雪面に足を滑らせて負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月4週は2件の山岳遭難が発生し、いずれも残雪上でのスリップによる遭難でした。残雪期は、雪や岩が混在しており、非常に歩きにくい状態となっていますので、注意が必要です。

今週末から大型連休に入りますが、連休中の天気は、予報によると低気圧と前線の影響を受け天気が崩れる日があるようです。事前の天気予報で、「低気圧の通過」「前線の通過」等のフレーズがあった場合、春先の標高の高い山域は、行動ができないほどの荒天になりますので、登山を計画されている方は、最新の天気予報を確認するとともに、状況によっては登山の中止や撤退を含めた判断をしましょう。

各山域では、気温が上昇し暖かい日が続いたことによって、融雪が非常に早く進んでいるため、登山道や積雪状況等を事前に付近の山小屋等に確認するとともに、アイゼン・ピッケル等の装備品を携行しましょう。また、標高の低い里山では山菜採りシーズンとなりますが、入山する際は、家族に行き先を告げる、携帯電話を携行する、単独での入山を避ける等、アクシデントに対する備えをしてから入山するようにしてください。

 

山岳レスキュー最前線 春山特有の遭難

長野県警察 山岳情報では『山岳レスキュー最前線「春山特有の遭難」滑落・雪崩・吹雪 春山特有のリスク』の動画を紹介しています。滑落・雪崩・天候の急変・・・、春山のリスクを実際の遭難事例に基づいて紹介。これから春山登山を予定されいている方は必見です!

春山登山の注意点として

  • 降雪後の表層雪崩
  • アイスバーンでの滑落
  • アイゼンの引っ掛け
  • 天候の急変で真冬に逆戻り
  • 冬道と夏道のミックスによる道迷い

を挙げています。そして、もっとも大切なこととして、「無事に家へ帰ること」としています。ぜひ、ご覧ください。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(4月27日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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