疲労により集中力が低下して起きる事故に対して危機意識を持って行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第267号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年7月1日に配信された第267号では、疲労による遭難事故の誘発について言及。計画段階から危機意識を持ち、無事に下山するまで気を抜くことのないように安全登山を心掛けることを促している。
7月1日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第267号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
6月22日、下高井郡山ノ内町地籍の山林内で、山菜(タケノコ)採りのために単独で入山した55歳の男性が、道に迷って行動不能となる山岳遭難が発生。志賀高原地区山岳遭難防止対策協会山岳遭難救助隊員、中野警察署員が捜索を行い、男性を救助した。
6月22日、下水内郡栄村地籍の山林内で、山菜(タケノコ)採りのために家族と2人で入山した87歳の女性が、別々に行動していたために待ち合わせ場所に戻らず行方不明となっており、捜索を行っている。
6月25日、長野市松代町地籍の鞍骨山で、単独で入山した55歳の男性が下山中に道に迷い、行動不能になる遭難が発生。長野南警察署員が出動して男性を発見し、同行下山した。
6月26日、北アルプスの針ノ木岳で、単独で入山した73歳の男性が、下山せず行方不明となる山岳遭難が発生し、大町警察署山岳遭難救助隊が捜索している。
※6/28に針ノ木岳北東側斜面で発見されたが死亡を確認。何らかの原因で滑落した模様。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
6月4週は、行方不明を含む、4件の遭難が発生しました。いずれも、単独行動中に道に迷ったり、何らかのアクシデントにより行方不明となっています。
先々週に続き、山菜採りによる遭難も発生しています。山菜採りに行かれる方は、単独入山と単独行動は控え、山菜ばかりに気を取られることなく、急斜面には入り込まない、自分の居場所と同行者の位置をこまめに確認するなど、遭難のリスクを減らす行動を心掛けましょう。
遭難は、誰にでも起こり得ます。「急な天候不良で視界不良になる」、「木の根や石につまずく」、「急斜面で滑落する」、「疲労により集中力が低下し道を誤る」等のリスクを予測することが、万が一の際に自分自身の身を守ることにつながります。「自分も遭難するかもしれない」との危機意識を持ち、計画段階から無事に下山するまで気を抜くことのないように安全登山を心掛けましょう。
県内各地では、気温が高い日が続いています。晴れていても急な天候の変化により、集中豪雨や雷雨になる場合があります。行動中はこまめに水分・塩分を補給し、熱中症予防をするとともに、日帰り登山や山菜採りであっても、雨具、防寒着、非常食・飲料、携帯電話予備バッテリーは必ず携行しましょう。
長野県内入山注意報発表中
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(5月24日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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