道迷い遭難を避けるためにも、こまめな休憩＆現在地確認を　島崎三歩の「山岳通信」 第282号

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年10月20日に配信された第282号では、道迷い遭難について言及。こまめに休憩を取って地図で現在位置を確認するなどの対策で、着実にリスクを減らせることを伝えている。

10月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第282号では、期間中に起きた8件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

• 10月11日、中央アルプスの空木岳で、体格やせ型、黒色系長袖Tシャツ、黒色ショートパンツ、黒色トレッキングシューズの男性遺体を民間の捜索救助隊が発見し、12日県警ヘリで収容した。

• 10月12日、北アルプスの涸沢で、4人パーティで入山した49歳の男性が、涸沢からパノラマコースを下山中に岩の間に足を挟んで負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

• 10月12日、北アルプスの前穂高岳で、4人パーティで入山した72歳の女性が、重太郎新道を下山中に足を踏み外して滑落し、負傷する山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して救助活動を行い、13日に県警ヘリで女性を救助した。

• 10月14日、北アルプスの唐松岳で、2人パーティで入山した55歳の男性が、登山中に倒れて行動不能となる山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊員及び北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して救助したものの死亡が確認された。

• 10月15日、鬼面山で、2人パーティで入山した77歳の男性および70歳の女性が、山頂から地蔵峠登山口に向けて下山中に道に迷って行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して2人を救助した。

• 10月15日、北アルプスの涸沢で、2人パーティで入山した63歳の男性と62歳の女性が、涸沢から上高地に向けてパノラマコースを下山中、道に迷い、行動不能（うち女性は下山中足首を捻挫し負傷）となる山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊が出動して2人を救助した。

• 10月16日、八ヶ岳連峰の赤岳で、11人パーティで入山した15歳の女性が赤岳に向けて登山中、体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して女性を救助した。

• 10月16日、下伊那郡大鹿村地籍の大西山で、9人パーティで入山した61歳の男性が下山途中に滑落する山岳遭難が発生。飯田警察署山岳高原パトロール隊、山岳安全対策課及び飯田広域消防署員が出動して17日に救助したものの死亡が確認された。

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月3週は、死亡遭難3件を含む、8件の遭難が発生しました。
道迷いによる遭難も2件発生し、2件とも下山中に発生しています。特に下山中は、疲労等により注意力が散漫となり、道標を見落としてしまったり、方向を誤ってしまうことがあります。
道迷いは、こまめに休憩を取り、地図等で現在位置を確認することで防ぐことができます。また、視界の効かない日没後に行動することのないよう、早出・早着を心掛けた行動をお願いします。
また、持病や足腰等の不調がある場合は、登山を中止することも重要な判断です。
標高の高い山域では、降雪や朝露により、登山道が凍結する箇所もあり、スリップによる滑落や転倒に注意が必要です。
アクシデントに遭遇し、行動不能になった場合、その場で一晩を過ごせるだけの最低限のツエルト、防寒着、非常食等の装備を携行するようにしましょう。
今週から徐々に冷え込みが厳しくなりますので、登山を計画されている方は、事前準備と下調べを十分に行い、自分の体力や力量に見合った登山計画を立て、安全登山を心掛けましょう。