雪崩注意報が発出されている場合は雪山への入山を中止する判断を 島崎三歩の「山岳通信」 第291号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年2月2日に配信された第291号では、相次いだバックカントリーでの事故について言及。入山前に降雪状況、温度の変化、風雪の状況などをを確認し、雪崩注意報が発出されている場合は入山を中止する判断を促している。

 

2月2日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第291号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月23日、北アルプスの唐松岳で、バックカントリースキーのために5人パーティで入山したオーストラリア国籍の49歳の男性が、登山中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会救助隊が出動して男性を救助した。

  • 1月26日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、単独でスキー場をスノーボードで滑走していたニュージーランド国籍の54歳の男性が、誤ってスキー場管理区域外へと迷い込み行方不明となる山岳遭難が発生。飯山警察署員、志賀高原地区遭難防止対策協会野沢温泉班隊員が出動して男性を救助した。

  • 1月28日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、4人パーティで滑走中していた38歳の男性が、スキー場管理外に出てバックカントリーで滑走中に、雪崩に巻き込まれて行方不明となる山岳遭難が発生。翌29日に警察・消防・山岳遭難防止対策協会野沢温泉班員が出動して男性を発見したものの死亡が確認された。

  • 1月28日、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した51歳の男性が、赤岳から県界尾根を美し森へ向けて下山予定のところ、ルートを誤って道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。翌29日に静岡県警ヘリで男性を救助した。

八ヶ岳連峰赤岳での遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)1月31日付

  • 1月29日、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した71歳の男性が、赤岳鉱泉から北沢登山道を下山中に転倒・負傷する山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員、諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及び諏訪広域消防本部消防隊員が出動して男性を救助した。

  • 1月29日、北アルプスの白馬乗鞍岳で、2人パーティおよび3人パーティで、バックカントリーで滑走するためにそれぞれ入山していた30歳・31歳・44歳・29歳の外国籍の男性が、白馬乗鞍岳天狗原周辺のバックカントリーを滑走中、雪崩に巻き込まれる遭難事故が発生。大町警察署山岳遭難救助隊員が出動し、2名を発見・救助した。翌30日、県警山岳遭難救助隊員及び大町警察署山岳遭難救助隊員が残りの2名を救助したものの死亡が確認された。

  • 1月29日、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した31歳の男性が、山小屋に到着後、装備不足などの理由で行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月4週は、7件の遭難が発生し、うち4件がバックカントリー滑走中の遭難でした。

県内では、北信地区の毛無山周辺と北アルプス白馬乗鞍岳天狗原周辺で大規模な雪崩が発生しています。その他の山域でも、雪崩の発生に注意が必要です。雪崩は、降雪や雪質、気温の変化、風等の様々な条件が重なることで発生します。入山を検討されている方は、雪崩対策装備を携行の上、数日前からの降雪状況、温度の変化、風雪の状況等を確認し、雪崩注意報が発出されている場合は入山を中止する判断も大切です。

八ヶ岳連峰では、転倒や道迷い等による遭難が多発しています。八ヶ岳連峰は、朝晩の冷え込みによって、登山道が凍結し、その上に雪が積もっている箇所が多数あるため、非常に滑りやすくなっています。

今後、登山やバックカントリースキー、スノーボードに行かれる際は、常に起こり得るリスクを想定し、事前に天気予報等を確認し、余裕を持った登山計画で入山をお願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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