北アルプスはまだ残雪のあるコースが多め。確実な事前確認を 島崎三歩の「山岳通信」 第302号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年6月14日に配信された第302号では、北アルプスではまだ残雪が多く残っているコースが多いことを説明し、残雪状況を確実に確認してから入山することを促している。

 

6月14日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第302号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月5日、飯縄山で、10人パーティで入山した75歳の男性が、飯縄山頂から下山中に足を滑らせて滑落する山岳遭難が発生。長野中央警察署員、長野市消防局中央消防署員が出動して男性を救助した。

  • 6月7日、上高井郡の笠ヶ岳で、山菜採りのために単独で入山した75歳の男性が、帰宅せず行方不明になる遭難が発生。8日に道に迷い行動不能となっていた男性を捜索隊が発見し救助した。

笠ヶ岳での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月12日付
  • 6月9日、北アルプスの大天井岳で、4人パーティで入山した47歳の女性および14歳と10歳の男性が、大天井岳から上高地に向けて下山中に装備の不備により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで3人を救助した。

北アルプス・大天井岳での遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月12日付
  • 6月10日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、単独で入山した66歳の男性が、唐沢鉱泉から渋の湯に向けて下山中にルートを誤って道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員が出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月2週は、4件の遭難が発生しました。
大天井岳の遭難では、北アルプスを縦走する計画で入山した遭難者らが、アイゼンやピッケルなど残雪に対応できる装備を携行していなかったため雪渓を通過することができず、遭難に至っています。
登山を計画する際は、事前に歩行するルートやその周辺の残雪状況を確実に確認し、標高の高い山域に登山する場合には、アイゼンとピッケルの携行も検討しましょう。

また、山菜採り中の道迷い遭難が発生しています。特にネマガリダケ採りは、背丈の高い笹やぶの中で行動するため、少し行動しただけで自分の居場所を見失ってしまう危険があります。山菜採りに行かれる際は、夢中になり過ぎて現在地を見失わないよう、特に注意しましょう。

県内は、梅雨前線の影響により局地的に大雨となった地域があります。
降雨後は、沢の水が増水しやすいので、行動中は沢に近づくことのないようにし、徒渉のあるルートは避けることも大切です。登山を計画されている方は、事前の天気予報を必ず確認するとともに、悪天候の場合は中止や延期を検討しましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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