「フラッと意識が遠のき、崖下へ転落・・・」登山者の遭難・ヒヤリハット体験 転倒・滑落編

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山と溪谷オンラインで実施したアンケートで集めた、遭難・ヒヤリハット体験の中から、転倒・滑落に関する体験談を紹介。

構成=山と溪谷オンライン、イラスト=KITO

体調不良から・・・

■白馬大池から蓮華温泉への下り、天狗の庭を過ぎたところで、暑さと眠気での集中力低下状態に。普段はしないのに道の縁にある大岩に体重をかけて、その岩が崩れて滑落。一回転しても止まらないため5m程落ちたところで周りの草木をつかんで停止。その際、眼鏡を紛失。(よしやん さん/男性/50代)
【その後の対策】眠気防止の対策、予備眼鏡を持つようになった

■宮城・山形県境の船形山の宮城県大和町からのコースで下山中、トラバースになっている登山道で、疲れで立ち止まり、フラッと意識が遠のいた瞬間に片足を崖側に踏み出してしまい一回転しながら落ちました。クマザサにつかまったおかげで登山道直下にぶら下がり、下までの滑落は免れました。10mくらい下に岩があり底になっていました。今振り返って思うと初めてのソロ山行で緊張し、休憩、食事もよくとらず下山を急いだため、ハンガーノックになったのではないかと思います。(まこはは さん/女性/50代)
【その後の対策】休憩や食事は身体に聞かず、頭で考えて休憩は後回しにせぬよう心がけています。

巻き込まれて滑落

■鎖場の下りを降りていたところ、上から人が落ちてきた。落ちて来た人に巻き込まれ、私自身も滑落した。二人とも大事には至らなかったが、血だらけとなって下山した。落ちた人に聞いたところ、三点支持をせずに鎖場にあった木の根に足をかけたところ、木の根が滑って、バランスを崩し、そのまま落下したとのこと。(オコジョ さん/50代)
【その後の対策】下りでは後ろに人を歩かせない。完全なるトラウマです。

運よく大事故回避

■下りの岩稜帯を抜けた急カーブにて。視線がカーブ先を追ったため、地面にわずかに張り出した根っ子に気が付かない。カーブを曲がろうとした瞬間、後ろ足が根っ子に引っ掛かりつまずく。すでに体勢が崩れていたため、カーブ外の崖の方へ飛ばされる。幸い崖間際にある樹木に抱き着き、ことなきを得た。(loonloon さん/男性/60代)
【その後の対策】下りの急なカーブや巻き道が交差するような視線が左右にブレやすい所では、選択コース内の障害物の有無の確認と4から7ステップ先のコースイメージを記憶するようにしている。

■空木岳池山尾根で、一人で下山中のことでした。小地獄の少し上あたりで、壊れている階段をまたごうとして足を滑らせ、30度くらいの斜面に体ごと投げ出されました。幸い、握っていた木の根をかろうじて離さなかったので落ちずにすみましたが、斜面は10mほど先で鋭く切れ落ちており、この時蹴とばした石が転がり落ちていく音を聞いて崖の高さが想像でき、しばらく動けずに呆然としておりました。木の根がつかめていなかったら、あのまま転落死していたと思います。(to-lucky さん/男性/50代)
【その後の対策】とにかく三点確保につきます。急な傾斜では面倒でもポールはしまい、両手が使えるようにしておくことです。

装備に鏡が必要な理由

■地元の越前岳下山中、木の根が飛び出た大きな段差を降りるときに足を滑らせて2mほど転落。顔面を打ち付け、数か所を裂傷し同時に鼻からも大量の出血。単独だったため手ぬぐいで顔を覆うもどこを拭いても血液が付着し、どこをケガしているのかも分からなかった。取りあえず、落ち着ける場所まで移動してスマホで顔を撮影。水で洗い、出血を止めてガーゼや伸縮テープなどで対応したが、鏡がないことでとても苦労した。(EVA-T さん/男性/50代)
【その後の対策】救急装備に鏡を追加した。

まとめ

以上、転倒・滑落編でした。転倒・滑落での遭難・ヒヤリハット体験はアンケートの回答でも2番目に多い102件でした。

転倒の原因は、凍結した登山道や木道、木の根で滑って、強風にあおられて、集中力の低下・・・などさまざまですが、どれも特別なわけではなく、誰にでも起こり得ることです。

チェーンスパイクを外した直後にまた凍結した道が現われて、面倒だなと再装着をためらう・・・ということは、これからの時期には特に要注意です。

また、転倒時に負傷して、痛いと思ったら骨折していた、ということは多いようです。違和感があれば下山して病院へ。

アンケート結果基本データ

実施期間:2023年10月30日(月)~11月12日(日)
有効回答数:284

年代

登山頻度

登山歴

登山での遭難・ヒヤリハット体験はありますか?

体験した内容(複数回答可)

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登山者アンケート

山と溪谷オンラインで実施した登山者へのさまざまなテーマのアンケートの結果をご紹介。

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