南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く② 歩き遍路の計画と装備など

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弘法大師空海が修行した地・四国と、ゆかりの八十八寺をお参りする巡礼・四国遍路。南アルプス南部を主なフィールドとして長らく山歩きに傾注してきた筆者が、数カ月に渡って通い続け、歩き遍路を結願(けちがん、すべての霊場を回り終えること)した。その記録とともに、登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスをつづっていく。

文・写真=岸田 明、カバー写真=室戸岬の直前にある純白の修行大師像。遠くから確認でき、あたかも遍路に対する灯台のようだ

装備について

装備についてだが、通常装備のなかで最も重要なのが靴と靴下だ。なにしろ1200km歩くので、新品を購入し履きならして出発してほしい。靴のタイプは靴底の柔軟なミドルカットの軽登山靴か、トレランシューズがよい。筆者は普段山を歩くので、履き慣れている軽登山靴タイプで臨んだ。山道での足首のサポート、降雨時の防水面でも安心である。また高性能のインソールを用意しておくことをおすすめする。

靴下は、薄手と中厚の2枚履くとよい。この「2枚履く」ことが結構重要で、薄手の靴下は足に密着して絆創膏のような役割を果たし、靴擦れを予防してくれる。また履く靴下を決めてから靴を選ぶ順序がよい。

そして歩き始めて30分程度経ったら、一度足回りを確認してほしい。少しでも緩んでいると感じたら、血行がわるくならない範囲で靴ひもを締め直そう。

装備全般については以下の表をご覧頂きたい。この中で筆者が「三種の神器」と呼んでいる金剛杖、白衣(はくえ)、菅(すげ)笠はぜひ着装してほしいと思う。筆者は遍路を始めるに際し白衣を着ることには抵抗感があったが、そもそも遍路は解脱のために歩くのであって、その装束である白衣は必須であると思いなおした。実際に着てみれば気持ちが引き締まり、次第に身になじむようになった。合わせて金剛杖や菅笠も、着装していればそれだけで地元の人々から暖かくご対応いただける、遍路の身分証明書のようなものでもあると思う。

〉装備表
〉歩き遍路を始めたころの、まだ遍路装束が板についていない筆者。第一番霊山寺にて
歩き遍路を始めたころの、まだ遍路装束が板についていない筆者。第一番霊山寺にて

費用について

最後に、費用について簡単に触れておこう。筆者の場合、かかった費用は行き帰りの交通費を除いて約60万円だった。費用計算は単純に考えると、まずは往復の交通費×区切り回数。そして遍路宿の宿泊料金は二食込みで、およそ6,000円~7,000円強(2023年時点)。ほか納経帳に御朱印をいただくのに300円(2024年からは500円)と浄財(お賽銭)代。また装束や参拝用品で1~2万円かかる。最も費用がかかるのは宿泊代で、それゆえ歩き遍路は贅沢遍路ともいわれている。もちろん、お住まいの場所によっては、往復の交通費もそれなりになる。

以上、計画と装備などについて触れてきたが、参考になれば幸いだ。次回は、歩ききるのが特に大変な区間について述べたいと思う。

参考資料:『空海の史跡を尋ねて 四国遍路ひとり歩き同行二人(一般社団法人 へんろみち保存協会編)』

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プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

歩き遍路旅の魅力と計画アドバイス

登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスと、その記録

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