鎌倉でのんびり歴史ウォーキング。隠れ家のような店で湘南の海の幸を味わう

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鎌倉七口のひとつ、朝夷奈切通。風情あふれる古道を散策したあと、鎌倉市街に戻り、心地よい「ご飯屋さん」を訪ねた。

写真・文=西野淑子

朝夷奈切通(あさいなきりどうし)、磨崖仏(まがいぶつ)が道行く人を見守る

鎌倉七口のひとつ、朝夷奈切通を歩いた。

山を切り開いて造られた道「切通」。鎌倉は切通が多く残り、今はハイキングコースとして整備されているところもある。鎌倉の切通の代表的なものが「鎌倉七口」と呼ばれているが、朝夷奈切通はそのなかでも往時の趣を残す道として、国指定の史跡にもなっている。

鎌倉の社寺を散策したあと、朝夷奈切通に足を延ばした。道の両側、時折現れる岩や土の高い壁に、山を切り開くことの困難さを感じる。濡れて足元の悪い道を慎重に進み、磨崖仏のある岩を過ぎると下り斜面。途中の熊野神社にも立ち寄って、朝比奈バス停をめざした。

モデルコース:

コースタイム:十二所神社バス停(15分)三郎の滝(25分)熊野神社(25分)朝比奈バス停  計1時間5分

⇒ヤマタイムで地図を見る

しらすもマグロも味わえる、ぜいたくな「合わせ丼」

散策を終え、バスに乗って鎌倉駅に戻ってきた。

鎌倉駅周辺は、下山メシには少し居心地の悪い場所だと常々思っている。観光客が多くて落ち着かないし、低山とはいえ山歩き後の少しくたびれた姿で立ち寄るには少し敷居が高い気もする。店を探しながら歩くものの、ピンとくる店に出合えないまま駅にたどり着き、じゃあ帰ろうか…となることが多かった。

鶴岡八幡宮で途中下車してお参りを済ませ、若宮大路を歩いて鎌倉駅に向かう。「鎌倉お昼ごはん」という看板が、ふと目についた。道の脇に置かれたメニューの看板。まぐろ丼やしらす丼、定食の写真が麗しい。手書きの文字もいい感じだ。今日はこの店でお昼にしよう。階段を上り、店に入る。

階段を上り、お店の入り口へ

お昼ご飯には少し遅かったせいか、並ぶこともなく店内に案内してもらえた。あらためてメニューを見る。「湘南しらす」「三崎まぐろ」「相模湾産アジフライ」、地元の食材推しなんだねえ。やっぱり鎌倉に来たらしらすだろうか、でもまぐろも食べたい。さてどうしようと思ったら「しらすとまぐろの合わせ丼」なるメニューがある。はい、決まり。

店内はガラス張りで明るい。窓際の席が気持ちよさそう

店内はカフェのようなモダンな雰囲気。2階にあり、明るいガラス窓から外が眺められる。店内に人が多くて騒々しかったり、店の外で待っているようなお客さんがたくさんいると落ち着かないけど、ちょうどいい混み具合(言い方・・・)。ぼーっとしながら待っていると、料理が登場した。

上品な盛りつけの丼。真っ白いしらすと、ぱらぱらっとゴマが振ってある赤身のまぐろ、わけぎの緑が美しいなあ・・・。小鉢はほうれん草の和え物ときんぴらごぼう。

小鉢のほうれん草ときんぴらごぼうを一口。ああ、やさしい。丁寧に作られた家庭料理を思わせる味だ。どちらも野菜の歯触りと風味がいい。食べながらニヤニヤしてしまう。小鉢がいい店は、「当たり」だ。小鉢がおいしければ、メインがおいしくないわけがないのだ。

しらすとまぐろの合わせ丼。まぐろもしらすも裏切らない味

さっと醤油をかけて、しらすとご飯を一口。口いっぱいに「海」が広がる感じ。生しらすのプリプリ、ツルツルした感じもいいけれど、釜揚げしらすのうまみがぎゅっと詰まった感じが好き。続いてまぐろとご飯。まぐろはやっぱり力強いな。しっかりした質感で凝縮された味わいの赤身。しらすもまぐろも食べたいと欲張って、今日は正解。うふふふ。

いい感じにお腹いっぱい。ごちそうさまでした。

お店を出て、あらためて入り口の看板を見る。

ああそうか、「鎌倉お昼ごはん」というのはキャッチコピーではなくて「店名」だったのか。おもしろいな。ランチタイムに鎌倉に立ち寄る機会があったら、また来よう。山や街歩きの余韻を楽しみながら、ゆっくりと料理を味わいたい。

店名:鎌倉お昼ごはん
若宮大路沿いの食事どころ。三崎のまぐろや湘南の釜揚げしらすなど、地元の食材を使った定食や丼ものが味わえる。
電話:0467-50-0325
住所:神奈川県鎌倉市雪の下1-9-24 小池ビル2F
アクセス:JR横須賀線鎌倉駅から徒歩8分

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

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