神戸の街と海を眺める名ルートへ! 須磨アルプスを日帰り縦走

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読者レポーターより連休の登山レポをお届けします。naobonさんはGWの帰省ついでに六甲(ろっこう)山系・須磨(すま)アルプスに行ってきたそうです。

文・写真=naobon


今年のゴールデンウィークは、地元・関西に帰省して山へ。この日は午後から雨の予報でしたが、せっかくなので家から近く、短時間でも楽しめそうな、須磨アルプスに初挑戦しました。

須磨アルプスのいちばんメジャーなスタート地点は山陽電鉄須磨浦公園駅ですが、今回は加藤文太郎の足跡をたどって旧道から登ろうと、JR塩屋駅から出発することとしました。塩屋駅から旗振山(はたふりやま)登山口までは住宅街の急坂を上がります。海沿いの駅から一気に標高を上げ、神戸独特の地形を体感しました。

旗振山登山口からは木が生い茂る道が続きます。朝8時過ぎにも関わらず、下山してくる人々と頻繁にすれ違うので不思議に思い、なぜこんなに下山が早いのか聞いたところ、ご近所にお住まいの方々でした。時間があれば歩いているとか。神戸の六甲山系の山々には「毎日登山」の文化がありますが、あらためて、地元に愛されている山だなと実感しました。

旗振山で須磨浦公園駅からの登山道と合流します。旗振山(253m)山頂には須磨浦山上遊園(すまうらさんじょうゆうえん)があり、レトロな遊具に懐かしさを覚えました。旗振山から稜線を歩き、鉄拐山(てっかいさん、234m)に到着。ここからは、神戸の海の景色が開けます。神戸のいちばんの特徴は海と山が近いこと。この風景を見ると神戸に帰ってきたことを実感します。

六甲山系・須磨アルプス 鉄拐山頂
鉄拐山頂。神戸の港の風景が広がります

小休憩後、一気に階段を下り、高倉(たかくら)の住宅地に入ります。山から里へ下り、団地内の小さな商店街を抜け、陸橋を渡ると、再び山道に入ります。少し歩くと、運動部のトレーニングで使われそうな、通称「天国への階段」がそびえています。下りたぶん、登り返しがあるのはご当地アルプスらしいところで、一筋縄ではいきません。途中の踊り場にあるベンチで呼吸を整えながら、一歩ずつ踏みしめて、約400段の階段を登りきると、山道を少し進めば、栂尾山(とがのおやま、274m)の山頂です。栂尾山の山頂には展望台があり、登ると階段の「谷」と団地の向こうに、これまで歩いてきた山々が見えました。

六甲山系・須磨アルプス 栂尾山頂
栂尾山頂より。山と山の間に住宅地が広がるのもこのコースの特徴

栂尾山からは尾根道を行き、横尾山(よこおさん、312m)を過ぎたあたりから、山の様相は花崗岩むき出しの岩山風景へと一変。このルートでいちばんの山場の「馬の背エリア」です! 岩場を慎重に下り、鞍部に到着。切れ落ちたところがありますが、足場はしっかりしているので、ゆっくりと歩を進めていきました。ここだけ切り取ると、まさに日本アルプスの岩場の1シーンのようです。この日は幸い無風で曇天でしたが、風が吹けばさえぎるものがなさそうで、夏場は照り返しもきつそうな印象です。この日のコンディションがよく、快適に歩くことができました。

六甲山系・須磨アルプス「馬の背エリア」
いよいよ馬の背に突入。緊張感が高まります

馬の背を越えると、ほどなく東山(ひがしやま、253m)山頂。ここで小休憩をとり、馬の背の緊張をほぐしました。ここでは馬の背をふり返れるポイントがあります。アップダウンが厳しく、岩肌が露出した山道を見ると、あらためてこの山のルートの変化の多さにおもしろみを感じました。行き交う人々も、散歩している地元の方、トレイルランナー、登山家、親子ハイカーなどさまざまです。休憩地で交わされる関西弁のテンポ良い会話が心地よく、故郷の山に帰ってきた気持ちを盛り上げてくれます。東山は、全山縦走ルートに続く妙法寺(みょうほうじ)方面と、板宿(いたやど)方面の分岐点にもなっています。この日は雨予報の通り雲も厚くなってきたので、板宿方面に向かいました。あとは下り基調です。分岐には、地元の方が作られた、手書きの道標もちらほら。国際都市神戸だけあって、多言語対応です。

六甲山系・須磨アルプス 東山から板宿への下山時の手作りの道標
東山から板宿への下山時の手作りの道標。温かみを感じます

下山口の板宿八幡神社(いたやどはちまんじんじゃ)では、今日の山行を無事終了できたことのお礼を伝えました。神社からは、迷路のような住宅街を経て、にぎやかな板宿商店街に出ます。この日は時間も早かったので、地下鉄板宿駅から電車と徒歩で、湊山(みなとやま)温泉に向かいました。湊山温泉は、源泉かけ流しの温泉で、地元民に愛される温泉です。早朝からオープン、冷泉と温泉の交互浴、山行の疲れも、馬の背の緊張も一気にほぐれました。この日はGWフェアで湯上りビール1杯300円。最高の休日でした。(山行日程=2024年4月29日)

湊山温泉での生ビール
〆は湊山温泉で生ビール。おつかれ山でした!

MAP&DATA

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コース

JR塩屋駅〜旗振山〜栂尾山〜横尾山〜車山〜板宿八幡神社〜山陽電鉄板宿駅(参考コースタイム:2時間50分)

naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

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