悪天候が予想される場合、登山計画そのものを中止する決断を 島崎三歩の「山岳通信」 第342号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第342号では槍ヶ岳で起きた遭難事故について取り上げ、悪天候が予想される場合は、登山の中止や延期の決断を促している。

5月23日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第342号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月9日、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで入山した22歳と30歳の男性が、槍ヶ岳に向け登山中になんらかの原因により行動不能となる山岳遭難が発生。30歳の男性は無事救出されたものの、22歳の男性は死亡が確認された。

  • 5月17日、松本市岡田伊深地籍の山林内で、山菜採りのために2人パーティで入山した72歳の女性が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。女性は無事に救出された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

5月13日の週は、長野県内で2件の山岳遭難が発生しました。

北アルプス槍ヶ岳で発生した山岳遭難は、2人パーティで登山中、標高2800m付近で行動不能となり、救助要請しています。
遭難前日から寒気を伴った低気圧が通過した影響もあり、標高の高いところでは吹雪となることが予想されており、遭難現場一帯では新雪が積もり風も強い状況でした。
入山前の準備として天候確認は非常に重要です。特に悪天候が予想される場合は、登山の中止や延期を検討するほか、入山する場合は積雪や降雨に対応できる装備を携行しましょう。
北アルプスなどの標高の高い山域では、残雪がありますのでアイゼンやピッケルを携行してください。

春の山菜採りのシーズンとなりますが、例年、

  • 山菜採り中に仲間とはぐれてしまう遭難
  • 家族が山菜採りに出かけて帰宅しない遭難
  • 急な斜面を滑落する遭難 

など山菜採り中の遭難が発生しています。

山菜採りで入山される際は、必ず行き先を家族に連絡してください。また、できるだけ複数で入山し、お互いに場所を確認し合いながら山菜採りを楽しみましょう。
救助要請後、場合によってはビバーク(その場で野宿)を指示する場合があります。もしもの場合に備えて、携帯電話や食料、雨具、ヘッドランプなどの装備は携行してください。楽しい山菜採りとなるよう、着の身着のままで出かけるのではなく、山菜採りも計画と準備が必要です。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事