序章 SEA TO SUMMITが俺の登り方|「海から七大陸最高峰に登頂」をめざした理由
今、一人の日本人冒険家がある挑戦を行なっている。プロジェクト名は「SEA TO SEVEN SUMMITS(シー・トゥ・セブン・サミッツ)」。七大陸最高峰を海から頂上まで人力で登頂するという挑戦だ。2018年にオーストラリア大陸最高峰のコジオスコから始まったこのプロジェクトは、2023年に5つ目の頂であるデナリを登り、世界最高峰・エベレスト、南極大陸最高峰・ヴィンソン・マシフの2座を残すのみ。そんな挑戦を続ける冒険家・吉田智輝のSEA TO SEVEN SUMMITSへの旅路をたどる。
文・写真=吉田智輝
目次
海のものとも山のものともつかぬプロジェクト
この連載は「青春を山に賭け」たり、『垂直の記憶』をたどったりするような、偉大な冒険伝記ではない。連載のテーマは至ってシンプル。文字通り「海のものとも山のものつかぬ」得体の知れないSEA TO SEVEN SUMMITSプロジェクトを知ってもらい、楽しんでもらうことだ。
オーストラリア大陸最高峰・コジオスコへのシートゥーサミット挑戦から始まり、これまで5つの大陸で挑んできた遠征の様子を綴る。
しかしそれはなにも、私個人の体験記に留まるわけではない。
圧倒的な自然美と、現地の人々との交流を通じて、一人の青年の感じたことの先に、旅の魅力や登山界で議論されるトピック、あるいは、現代社会で見過ごされがちな問題点が垣間見えるはずだ。
今、本連載の読者は皆、SEA TO SEVEN SUMMITSについてなにも知らない状態だろう。どうかこの「海抜0m地点」から共に歩みを進め、美しい景色、鮮やかな交流を分かち合いながら、共に山頂をめざす過程を楽しんでいただけたなら、この上ない喜びである。
次回は、始まりの山となったオーストラリア大陸最高峰コジオスコ編について記す。
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プロフィール
吉田智輝(よしだ・さとき)
1990年生まれ、埼玉県鴻巣市出身。早稲田大学卒業後、シンガポールの外資系投資銀行に勤務。2018年9月から“海から七大陸最高峰に登る「SEA TO SEVEN SUMMITS」”の挑戦を始める。現在は長野県信濃町で登山ガイドなどを行ないながら生計を立て、残り2座(エベレスト、ヴィンソン・マシフ)の海からの登頂をめざす。
海から七大陸最高峰へ -冒険家・吉田智輝の挑戦-
海から七大陸最高峰の登頂をめざすSEA TO SEVEN SUMMITSに挑戦中の冒険家・吉田智輝さん。現在は七大陸最高峰のうち5座に海から登頂している。彼はなぜ、この登り方に憑りつかれたのか・・・。本人が語る冒険譚をお届けします。
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