余裕で2杯平らげた! 標高2300mで食べられる西穂らーめん(しょうゆ/みそ)。そのお味は・・・

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北アルプス・西穂高岳(2909m)への登山基地として登山者たち見守る西穂山荘は、標高2367mに位置し、北アルプス南部において唯一通年営業を行なう山小屋だ。この山小屋の名物「西穂らーめん」をご存じだろうか?しょうゆ味、みそ味がラインナップされており、多くの人が疲れを癒し、体を温めるためにこのラーメンを注文する。西穂高岳での取材で訪れた編集部員が、西穂らーめんを実食!そのお味はいかに・・・。

文=堀内孝太郎、写真=田渕睦深

まずは実食! 気になる味は・・・

西穂高岳への登山を終えて、西穂山荘まで下山してきた編集部員・ホリウチ。7時間ほど歩いたあとだったのでお腹の状態はベストコンディションだ。食べ盛り(?)の27歳。「2杯くらいは余裕でしょ」ってなわけで、しょうゆ味、みそ味をそれぞれ1杯ずつ注文した。

西穂山荘のラーメン 左がしょうゆ味、右がみそ味
着丼! 左がしょうゆ味、右がみそ味

10分ほど待つと、小屋番さんの「お待たせしました!」という声とともにラーメン2杯が着丼。湯気に乗っていいにおいが漂う。

ゆで卵、チャーシュー、メンマ、ネギ、焼きのりがトッピングされており、ここが2000mを超える山のなかだということを忘れさせる。堂々たる「本格ラーメン」の風格だ。

麺は、高所では芯が残りやすく、ゆでるのが難しいと言われている生麺を使用。西穂らーめんでは、山麓の岐阜県高山市の名物・高山ラーメンと同じ「極細ちぢれ麺」が使われている。これにより、標高が高く、ゆで湯の沸点が低い山小屋の環境下でも、芯が残らず、おいしいラーメンが食べられるわけだ。

とはいえ、百聞は一食に如かず。まずはこの舌で確かめよう。

汗をかいて体が塩っ辛い味を求めていたので、みそ味から実食した。

西穂山荘のラーメン みそ味。香りも強く食欲をそそられる
みそ味。香りも強く食欲をそそられる

まずはスープをズズッと飲む。ガツン!としたみその香りが広がる。スープをよく見てみると、スープにすりつぶされた“なにか”が混ざっているように見える。これは、香味野菜と南蛮エビを、信州みそにブレンドしたオリジナルスープらしい。かなりニンニクのパンチも効いているような。

次に麺をズルズル!

うわさの麺は、やはり芯が残っておらず、かと言ってふやけているわけでもない。スープとうまく絡んでおり、インスタント麺では表現できないクオリティ感じる。

お腹のコンディションがベストなうちに、しょうゆ味も食べてみる。

西穂山荘のラーメン しょうゆ味。具と麺はみそ味と変わらずスープの味の違いだけ
しょうゆ味。具と麺はみそ味と変わらずスープの味の違いだけ

スープをすすってみると、みそ味ガツンとくる味とは違い、まろやかで甘みのあるお味。見た目も、透き通っていて、王道のしょうゆ味ラーメンという印象だ。カツオの旨味もかすかに感じ、やさしい味なだけに麺はもちろん、チャーシューやメンマと合うし、スープもゴクゴク飲んでしまう。

その後もみそとしょうゆを交互にすすり続け、気が付けば麺どころか、スープまで完飲!ごっそれい!(某ラーメンYouTuber風)

西穂山荘のラーメンを完食。シェアするなどしてどっちの味も楽しんでほしい
シェアするなどしてどっちの味も楽しんでほしい。筆者はわんぱくなので2杯をペロリ

個人的には、汗をかいて疲れた体をがっつり覚醒させるようなお味の味噌ラーメンが好み。いわゆる「中華そば」系のラーメンが好みの人はしょうゆ味がベストだろう。

西穂高岳へのピークハントにしろ、西穂、ジャンダルムを通って奥穂高岳へ縦走するにしろ、長時間行動が求められるこのルート上で、おいしいラーメンをすすって英気を養えるのであれば食べない手はないだろう。

この記事に登場する山

長野県 岐阜県 / 飛騨山脈南部

西穂高岳 標高 2,909m

 穂高連峰の南端にあり、さらに南へ続く稜線は焼岳に至る。東側は上高地の谷を隔てて霞沢岳と向かい合い、西側は蒲田川の新穂高温泉を挟んで笠ヶ岳がすばらしい。  標高は3000mを切っているが、岩稜、お花畑、ハイマツと、高山帯の要素がそろっているので、北アルプスの入門コースとして人気がある。  この山から奥穂高岳への岩稜は北アルプスでも最も難しいコースで、初縦走は大正元年(1912)、鵜殿正雄が行っている。同じ年、辻村伊助は『スウイス日記』の中で「神河内ならぬ上高地は不快な所である」とその俗化を嘆いている。とはいえ昭和45年(1970)に新穂高温泉から千石尾根にロープウェイが架かり、登山が容易になった現在の山の賑わいと比べようもあるまい。  昭和42年(1967)には西穂高岳・独標で松本深志高校の生徒11人が落雷遭難を起こしている。低くても登りやすくても、アルプスは危険と紙一重の山なのである。  千石尾根が主稜線に突き上げた森林限界に西穂山荘が建っている。  登山道は上高地から所要6時間30分。新穂高温泉からは、ロープウェイ終点から歩いて西穂山荘、独標経由所要3時間30分。

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