無人小屋の怪奇。あの声、足音の正体は・・・
別の山で亡くなった学生たちが・・・
小屋でそのまま宿泊し、朝に下山を開始する。前日からの降雪のために腰くらいの高さまで新雪が積もっていたものの、支障なくゲートまで下りてくることができた。
声のパーティが気になっていたOさんは、ゲート前で停められていた車の数を数えてみた。
「それが、昨日登頂したときに確認した数と一致しているんです」
いったいどういうことなんだろうか――。釈然とせず首をひねるOさんの脳裏に、1つのヒントが思い浮かんだ。
「小屋にいたとき、冬季縦走するための某大学の食料のデポ缶が部屋の隅に置いてあったのを見ていました。それが気になったんです」
Oさんは帰宅後、その大学の山行記録を確認してみた。
雪崩に遭い、死傷者が出たとのことだった。
Oさんが登る少し前の事故だという。
「その事故と、今回の不思議な現象に関係があるかはわかりません。場所も、まったく違う山域だったと記憶しています」
亡くなった学生たちは事故に遭った山を離れ、その後登るはずだった山へ仲間たちと楽しく登っていたのかもしれない。
山の心霊体験・不思議な体験に関するアンケート
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プロフィール
成瀬魚交(なるせ・うこう)
1990年生まれ。東海大学探検会OB。学生時代はスリランカ密林遺跡踏査、秋田県民間信仰調査などの活動を行なった。現在は編集者・ライターとして各地の渓谷や不思議スポットを訪れたり、聞き書きなどで実話怪談を手がける。
登山者たちの怪異体験
太古の時代から、山は人ならざるものが息づく異界だった。そうした空間へ踏み込んでいく登山では、ときとして不可思議な体験をすることがある。そんな怪異体験を紹介しよう。
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