横谷渓谷で涼を求めて！ 日帰り3時間、滝巡りハイキング

酷暑の暑さを避ける方法に標高を上げるという方法がある。今日は標高を上げて滝巡りで涼んでみよう。横谷渓谷を流れる渋川は、諏訪湖にそそぐ数ある川の一つで、上川水系の源流部にあたる。今回は乙女滝から大瀧神社を経由して王滝展望台までを歩いた。

ナビを「乙女滝駐車場」にセットしてメルヘン街道ルート299へ向かう。車でサクッと標高1200mの駐車場まで来た。工事業者用の仮設トイレがあり誰でも使えるようであった。観光センターもそばにありトイレには困らない。

車から降りると涼しいとは言えないがさほど暑くもない。ほどよい。ノコギリソウを愛でながら5分ほど車道を歩いて行くと乙女滝に下りる階段がある。すでに滝のゴーという音が聞こえていて水量の豊富さが感じ取れた。階段を下ると数人の観光客でにぎわっていた。

この乙女滝は落差15mで、江戸時代に農業用水路として造られた人工の滝とのこと。近くから見上げることができ、水しぶきが気持ちのよい場所である。誰も気に留めないようだがヒヨドリバナが咲いていた。

乙女滝から先は樹林帯で遊歩道は所々ぬかるんでいた。できれば登山靴の方がいいだろう。一応、熊鈴も持った。

川の音に癒されながら10分ほど歩くと横谷温泉旅館に着く。正面玄関前を通らせていただき看板に従ってゆくと再び川沿いに出る。すぐに霜降の滝があった。落差5mの小さな滝だ。魚がいそうな深みだなと思ったが、後で調べてみるとこの渋川は酸性が強いため、魚はおろか植物も生きられないそうだ。なるほど、きれいな川ならどこにでもいる訳じゃないのか、と思った。

霜降の滝のお隣には大岩の祠というパワーストーンがあり、脇には流行りのサウナ小屋があった。サウナで汗かいて川へ入って・・・それはもうしっかり“整う”でしょう。

苔むした岩やヌスビトハギなどを観察しながらだんだんと高度を上げて行くと、鷲岩、屏風岩、一枚岩、などがありぜひ秋冬にも訪れてみたいと思った。

このまま王滝に行くこともできるが、分岐点を登って横谷観音と大瀧神社へ立ち寄ることにした。

ここからは急登で、階段をもくもくと登って行くとソバナが顔を出していた。ひと休み、と言われてるようで心が和んだ。

横谷観音展望台に到着。今日は少し霞んでいたが、茅野市街、南アルプス、御嶽山（おんたけさん）はなんとなく見えた。看板には北アルプスの表示もあったが見えなかった。

山の同定を楽しみ、次は大瀧神社へ向かった。これがまた急登で階段の参道が長い。やっとの思いで着いてみると、社殿の四隅に御柱が建てられており、黒曜石の御神体が祀られた珍しい神社だった。昭和16年に黒曜石を祀った、との説明書きがある。しかし神社がいつからあったのかなどは不明なようだ。

さて、最終目的地の王滝へ行ってみよう。正しくは展望東屋から王滝を望む。昔は王滝まで遊歩道があったようだが今は廃道になっていて近くまで行くことはできない。

わたしも同行した2人ももうクタクタという感じだったが、東屋に着いて王滝を見た時「来てよかった」と感じた。落差21mで横にも広く迫力がある。茶色い岩肌が緑で包まれている様がすばらしかった。木々の隙間をよく見ると2段になっているのがわずかに確認できる。晩秋なら全貌が現われるのかもしれない。

ここまで来るともう軽い登山。人は少なく、東屋でゆっくりできた。

さらにこの先、20分ほど歩くとおしどり隠しの滝がある。そこで橋を渡り御射鹿池（みしゃかいけ）へ行けるのだが、大雨で橋が破損していて渡れないようなのでここで引き返した。

今回のルートは標高差400m、往復約6.1km、休憩含め約3時間だった。大岩やコケの森など、北八ヶ岳の一部であることを感じさせる遊歩道であった。涼めたかどうかは微妙だけどマイナスイオンをたっぷり浴びながらいい汗をかくことができた。

後日、観光センターに確認すると、おしどり隠しの滝に架かる橋が通れるようになったとのこと。8月18日現在、御射鹿池駐車場側からも王滝へ通り抜けできるようになっている。おしどり隠しの滝には酸性を好むチャツボミゴケが自生してるらしいので一度見てみたい。

（山行日程＝2024年8月10日）

立ち寄り情報
「ランドリーカフェFIELD’S」＆「ジェラテリアピッコ」

下山後、メルヘン街道沿いに隣接するランドリーカフェFIELD’Sのコーヒーとジェラテリアピッコのアイスクリームでしばし休憩。テラスから蓼科山を眺めながら風に吹かれてまったり。下山後のスイーツは最高であります。

今井良子（読者レポーター）

長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。