日帰り・山小屋泊・高山・低山を問わず、ビバーク装備は必ず携行を 島崎三歩の「山岳通信」 第358号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第358号では、「装備がないのでビバークができない」という遭難者が今週は複数人いたことについて言及。山行形態や山域にかかわらず、最低限のビバーク装備を携行するよう促している。


9月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第358号では、期間中に起きた11件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 9月5日(木)、中央アルプスの越百山で、単独で入山した57歳の男性が越百山から空木岳に向けて登山中に滑落、負傷した。

  • 9月5日(木)、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、単独で入山した52歳の女性が、宿泊していた硫黄岳付近の山小屋周辺を散策中に転倒、負傷した。

  • 9月6日(金)、八ヶ岳連峰の赤岳で、16人パーティで入山した79歳の女性が、赤岳山頂付近を登山中に転倒、負傷した。

  • 9月6日(金)、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した64歳の男性が、南岳から北穂高岳に向けて大キレットを縦走中に滑落、負傷した。

  • 9月7日(土)、北アルプスの槍ヶ岳・北鎌尾根で、単独で入山した48歳の男性が北鎌尾根を登山中に疲労により行動不能となった。

  • 9月7日(土)、雨飾山で、単独で入山した61歳の男性が、雨飾山頂から下山中に転倒、負傷した。

  • 9月7日(土)、御嶽山で、2人パーティで入山した42歳の男性が、御嶽山の王滝頂上へ向けて登山中に転倒、負傷した。

  • 9月8日(日)、北アルプスの奥穂高岳で、2人パーティで入山した47歳の男性が、奥穂高岳方面からザイテングラートを下山中に滑落、負傷した。

  • 9月8日(日)、戸隠連峰の高妻山で、2人パーティで入山した50歳の女性が、高妻山の弥勒尾根を下山中に転倒、負傷した。

  • 9月8日(日)、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、7人パーティで入山した56歳の男性が、硫黄岳から赤岳鉱泉に向けて下山中に転倒、負傷した。

  • 9月8日(日)、北アルプスの奥穂高岳で、2人パーティで入山した50歳の男性が、ジャンダルム付近を登山中に滑落、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週(9月2日の週)、長野県内では、11件の山岳遭難が発生しました。

県内各地で転倒や滑落が原因の山岳遭難が相次いで発生しています。11件の山岳遭難のうち「装備がないのでビバークができない」という遭難者が複数人いました。いずれも天候や現場の条件が整い、幸い当日中に救助されていますが、通報できない状態や電波が通じないなど最悪の場合は、数時間~数日の間、現場で救助を待たなければなりません。

日帰り・山小屋泊を問わず、また、高山、低山を問わず、

  • 1.ヘッドランプ
  • 2.雨具
  • 3.予備バッテリー
  • 4.ツエルト
  • 5.防寒具
  • 6.非常食

は必ず携行してください(ビバーク経験のない方は、講習などで訓練すると必要な物がよくわかります)。

もし、これらの必要装備を携行することが体力的に厳しいという方は、山のレベルを少し下げましょう。【信州山のグレーディング】を参考にして、行動時間が短いルート、標高差の小さい山域を選んで、秋山を楽しみましょう!

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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