2024年夏、小岩井大輔が撮った、富士山頂という異世界

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千紫万紅、ご来光

富士登山の目的の1つが「ご来光」。陽光が差し込んが瞬間に歓声が上がり、シャッター音が鳴り響くのは、富士山の風物詩の一つだ。そんなご来光は、その日の天候状況によって大きく変わる。色とりどりのご来光をご覧あれ。

7月22日(月) 、真っ赤なご来光

7月30日(火)ガスの中でのご来光は幻想的な色を放つ

8月7日(水)、ご来光が雲に隠れ、不思議な光芒が現われた

8月26日(月)、ご来光が雲海を真っ赤に染める

 

大迫力の吊るし雲

富士山の山頂付近には、時折、大迫力の不思議な雲「吊るし雲」が現われる。強い風が山にぶつかり、空気の波ができ際に発生する雲で、富士山頂付近に、まるで「天空の城ラピュタ」のように浮かび上がる。その摩訶不思議な姿をご覧あれ。

7月18日(木)に現われた、うずまき状の吊るし雲

7月26日(金)、ポッカリと小さな吊るし雲が浮かび上がる

9月2日(月)、強風の中、雲間から突如現われた吊るし雲

 

山頂でたくましく生きる者

富士山頂で生活するのは、真夏でも非常に厳しい。朝晩の冷え込み、吹き付ける強風、強い日差し・・・。そんな場所に現われるチョウは、上昇気流に乗ってくるという。また荒涼とした富士山頂にも、わずかに草木は根付いている。

ミドリヒョウモン、上昇気流で山頂まで飛ばされてきた

キチョウ。こちらも上昇気流に乗って来た様子

イワツメクサ。以前から岩の間でたくましく育っている高山植物だ

イタドリ(上)とオンタデ(下)。山頂で見かけたのは今年が初めてという

 

漆黒の闇に浮かぶ輝き

富士山頂の夜の闇は非常に深い。そのため、漆黒に中にあるわずかな光は、その輝きを一層引き立ててくれる。眼下の夜景、月、そして星――。その輝きは、闇をさらに際立たせる。

7月21日(日)、満月が山頂を照らす

山頂からの星空観察は、日本一条件がよいかもしれない。ペルセウス座流星群もくっきり

夜明け前、はるか彼方まで宝石を散りばめたように夜景が広がる

浅間大社奥宮の鳥居と月のコントラストが美しい

 

雷鳴轟く

富士山頂で最も恐ろしいものの一つが雷。ご存じの通り、雷は高い場所に落るため、周囲で最も高い場所となる富士山頂に雷雲が近づけば、非常に危険な場所となる。

雷が聞こえれば、発電機を止め、携帯電話やカメラなどの電化製品はすべてオフにして、静かにやり過ごすしかない。

2024年は天候が不安定で、雷雲を多く見ることになった。遠くに見える雷雲は、ただただ壮観だ。

はるか彼方に見える積乱雲が、雷で輝いている

山梨方面に雷雲が発生。慌てて山小屋に戻る

まるで映画の1シーンのように、夜空に稲妻が走る

 

なにが見える、どこまで見える? 日本一から見下ろす景色

富士山が見えるのは、北は福島県、南は八丈島、東は千葉県の銚子、西は京都府、最遠望は和歌山県からだという。一方で、富士山からは、どこまで見えるのだろう。なにが見えるのだろう?

2024年夏、富士山頂から見えた遠望を紹介しよう。

富士山から見る東京都内。スカイツリーを中心に、高層ビル群がくっきり見える

横浜港の向こうに、海ほたる&アクアラインが確認できる

箱根の山々の向こうには、芦ノ湖が水を満たしているのがわかる

相模湾に江の島が浮かぶ姿が見える。手前に流れるのは酒匂川

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プロフィール

小岩井 大輔(こいわい だいすけ)

1973年生まれ。埼玉県在住。写真家。20歳のときに富士山の夜明けに魅せられて写真をはじめる。麓からの優美な山容、頂上からの神秘的な富士山の風景を撮影。
⇒Mt.Fuji3776m―神々の世界―

「今を撮り、今を生きる」小岩井大輔の、富士山頂日記

天空の森羅万象を撮り続ける写真家、小岩井大輔の「ほぼ日刊、山小屋日記」。富士山の神秘的な風景、および富士山頂の異次元の様子を、カメラマンの目を通して案内します。

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