ファミリー登山では、子どもの安全・体調・装備の管理を大切に 島崎三歩の「山岳通信」 第359号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第359号では、ファミリー登山中の子どもの負傷遭難について取り上げ、子どもの安全・体調・装備の管理を慎重に行なうことを促している。
9月19日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第359号では、期間中に起きた13件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
9月10日(火)、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した65歳の男性が、北穂高岳から涸沢岳に向けて縦走中に滑落、負傷した。
9月11日(水)、北アルプスの白馬乗鞍岳で、2人パーティで入山した67歳の女性が、白馬乗鞍岳の天狗原付近を下山中に足をひねって負傷した。
9月12日(木)、北アルプスの燕岳で、5人パーティで入山した68歳の男性が、燕岳・合戦尾根を下山中に転倒、負傷した。
9月12日(木)、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで入山した73歳の男性が、槍ヶ岳東鎌尾根を登山中に滑落、死亡した。
9月12日(木)、北アルプスの槍ヶ岳で、上記の同行者である39歳の男性が、技量不足により行動不能となった。
9月12日(木)、北アルプスの燕岳で、2人パーティで入山した77歳の男性が、燕岳・合戦尾根を下山中に疲労により行動不能となった。
9月13日(金)、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで入山した61歳の女性が、槍ヶ岳から横尾方面に向けて下山中に疲労により行動不能となった。
9月13日(金)、黒姫山で、単独で入山した45歳の女性が、黒姫山から越見尾根を下山中に道に迷い、行動不能となった。
9月14日(土)、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した61歳の男性が、南岳から北穂高岳に向けて縦走中に足を負傷して行動不能となった。
9月14日(土)、木曽郡木曽町開田高原地籍の山林内で、キノコ採りのために単独で入山した79歳の男性が滑落して負傷した。
9月14日(土)、北アルプスの蝶ヶ岳で、2人パーティで入山した59歳の男性が、蝶ヶ岳から三股に向けて下山中に第2ベンチ付近で転倒、負傷した。
9月14日(土)、北アルプスの燕岳で、20人パーティで入山した75歳の女性が、燕岳合戦尾根を下山中に滑落。技量不足により、行動不能となった。
- 9月15日(日)、北アルプスの蝶ヶ岳で、3人パーティで入山した7歳の男児が、蝶ヶ岳から三股に向けて下山中に、第2ベンチ付近で転倒、負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週(9月9日~9月15日)、長野県内では、13件の山岳遭難が発生しました。うち11件は北アルプスでの発生でした。
9月15日に蝶ヶ岳で発生した山岳遭難は、7歳の男児が転倒し、頭部や足を負傷したものです。このシーズンに限らず、お子さん連れの登山はパトロール中によく見かけますが、
- 岩場等のある登山道でヘルメットをかぶっていない
- お子さんと保護者が極端に離れてしまっている
という状況を多く見かけます(今回の蝶ヶ岳の現場ではヘルメット非装着でした)。
お子さんを山に連れていく保護者のみなさんは「楽しい思い出を」と考えているかもしれませんが、ケガなどをしてしまえばその思い出も悲しいものになってしまいます。保護者のみなさんは、
- 登山の知識を学ぶ(山域、摂取すべき水分量や栄養、高山病の特徴など)
- 登山前、登山中の体調をよく確認(高山病の症状が見られたら即下山)
- エネルギー、水分補給の管理(登山前日、直前、行動中など)
- ヘルメットや手袋などでケガの予防(ヘルメット着用推奨山域でなくても必要です)
- 応急処置の装備を必ず携行(お子さんに限らず、セルフレスキューの基本です)
などをしっかりと実践していただき、無理のない日程で秋山登山を楽しみましょう。
令和6年度“秋山情報”を作成しました。#合言葉は無事下山
鮮やかな紅葉に包まれる秋山は、多くの登山者を魅了し、毎年、紅葉シーズンを中心に県内外から多くの登山者が信州の山々に訪れるほか、きのこ採りなど「山の幸」を求めて入山する人も数多く見られます。一方で、この時期、滑落や道迷い、低体温症、準備不足による行動不能などの山岳遭難が多発しています。
秋山は周期的な晴天に恵まれやすく、気候的にも登山に適していますが、日没時刻が早く、天候もひとたび崩れると真冬並みの寒さになるなど、秋山特有のリスクがあります。
“秋山情報”では、過去の遭難事例や秋山登山における注意点などを紹介します。安易な気持ちで登山することなく、最新情報の収集と事前準備を入念に行ない、体調を万全にして入山しましょう!
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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