西日本の名山が錦繍に染まる。中国・四国エリアの紅葉名山【紅葉コースガイド2025】

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日本海からの冷たく湿った風が豪雪を降らせる影響で中国山地では低緯度のわりにブナをはじめとした紅葉する木々が生い茂り山々を染める。四国の紅葉名山といえば、西日本最高峰の石鎚山。雄々しい岩稜が色とりどりに色づくのは圧巻の一言だ。

文・写真=梶山正(西赤石山・東赤石山、白髪岳・松尾山、石鎚山、三瓶山、扇ノ山)、加藤芳樹(大山)

目次

紅葉と岩稜の赤石山二座をつなぐ 西赤石山(にしあかいしやま)・東赤石山(ひがしあかいしやま)

愛媛県/1626m、1710m
 10月中旬〜10月下旬

西明石山より、これから縦走する赤石山系の稜線
西明石山より、これから縦走する赤石山系の稜線。右の台形の八巻山の奥に東赤石山の頭だけが見える。物住頭(ものずみのあたま、左)と前赤石山(中)

日本二百名山の東赤石山は、石鎚(いしづち)山地東に位置する法皇山脈(ほうおうさんみゃく)の最高峰である。露出するカンラン岩の岩場が、赤く見えるのが山名の由来だ。古くは赤太郎尾とも呼ばれた。東赤石山の魅力は岩だと思うが、西赤石山のアケボノツツジ群生地とカラマツ植林地の紅葉が美しい。1泊2日で二山を縦走しよう。途中にある別子銅山の古跡を見るのも楽しい。

西明石山北面を赤く染める、アケボノツツジの紅葉
西明石山北面を赤く染める、アケボノツツジの紅葉

まず下山地の筏津(いかだづ)に駐車して、登山口の日浦まで県道を歩く。峠の銅山越まで別子銅山の古跡が続く。日本三大銅山のひとつであり、1690年から約三百年の銅採掘の歴史がある。初日はこぢんまりした銅山峰(どうざんみね)ヒュッテに泊まろう。翌朝、銅山越から西明石山への稜線を歩く。東側の山腹ではカラマツ林の黄葉、そして西明石山頂上北面では赤く染まったアケボノツツジの紅葉が見られる。八巻山(はちまきやま)付近から東赤石山まで、アルプスのような景観になる。左は瀬戸内海の展望が広がるが、目の前は険しい岩稜の縦走が続く。東赤石山の山頂に立ったら、南面に建つ赤石山荘を経て、美しい瀬場谷(せばたに)沿いに下って筏津抗駐車場に戻ろう。バスは便数がかなり少ないので、マイカーやタクシー利用が一般的である。

物住頭より西明石山東面(右)を振り返る
物住頭より西明石山東面(右)を振り返る。山腹に広がる唐松林の黄葉。笹ヶ峰(左奥)や遠くに石鎚山(中奥)が見える

MAP&DATA

高低図
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最適日数:1泊2日
コースタイム: 【1日目】3時間15分
【2日目】7時間40分
行程:【1日目】
筏津抗駐車場・・・日浦登山口・・・銅山越・・・銅山峰ヒュッテ
【2日目】
銅山峰ヒュッテ・・・銅山越・・・西明石山・・・物住頭・・・東赤石山岐・・・赤石山荘・・・筏津抗駐車場
総歩行距離:約20,300m
累積標高差:上り 約1,934m 下り 約1,936m
コース定数:45
アドバイス:登山口には筏津抗駐車場(約20台)と日浦登山口駐車場(約10台)がある。銅山峰ヒュッテの宿泊は予約が必要(090-2782-9340)。テント泊も可能(約10張り)。東赤石山は岩場が多いので、しっかりした登山靴で行こう。
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プロフィール

梶山 正(かじやま・ただし)

写真家、フォトライター。著書に「ポケット図鑑日本アルプスの高山植物(家の光協会)」『山と高原地図「京都北山」』(昭文社)、『ベニシアの「おいしい」が聴きたくて』(山と溪谷社)、『ベニシアと正3京都大原・二人の愛と夢の記録』(風土社)など。

加藤芳樹(かとう・よしき)

関西の山に精通する編集者。現在は『岳人』の編集に携わる。著書に『県別登山ガイド 兵庫県の山』『関西周辺週末の山登りベストコース123』(山と溪谷社)など、編・共著多数。日本山岳会会員、環境省自然公園指導員。

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