秋の鳥海山麓ミニハイキング。豊かな清流と森に包まれた高瀬峡の大滝へ
鳥海山南麓・長坂道の起点となる山の神付近は、鳥海火山溶岩流の末端部にあたり、複雑で繊細な地形一帯に湧水が見られます。湧水を巡りながら、鳥海山南麓最深部に位置する大滝をめざします。
写真・文=斎藤政広、トップ写真=婆々沢橋から見下ろす清流
湧水あふれる豊かな森
駐車スペースのある山の神からスタート。ここは長坂道を経て笙ヶ岳(しょうがだけ)に向かう登山口でもあります。歩き出してまもなく湧水があるので、湧水に触れて喉を潤していくのもいいでしょう。
登山道に戻り、分岐で長坂道を右に見て直進します。檜ノ沢(ひのそ)渓流の水音が聞こえる広葉樹の森を過ぎて、左手に屏風岩のある一つ目の吊橋・渡戸(わたど)橋を渡ります。杉林の道になると、やがて二ツ沢の水音が聞こえてきます。
植林された杉林の道に湧水が現われ、やわらかな水音を楽しみながら、コケに覆われた二ツ沢の湧水沿いに進んでいきます。蔭ノ滝(かげのたき)への分岐を過ぎ、気持ちのよい山道が続きます。
下り道になって、バンバ沢にかかる二つ目の吊橋・婆々沢(ばばさわ)橋を渡って登ると尾根分岐に出ます。ここを左手に進み、眺めのよい根堀(ねほり)峠でひと息入れます。
ここから下り道になり、カラ沢に出て、渓流沿いに進みます。サワグルミの巨木の脇を抜け、大滝の手前で沢を渡ります。板を渡してありますが、横に置いてあるときもあります。場合によっては石飛び、あるいは素足で、ほんの短い徒渉ですが慎重に渡ります。
やがて目の前に大滝が近づきます。ここで、しばし森の時間を楽しみましょう。
豊かな森の時間を堪能した後、往路を戻りますが、帰路に蔭ノ滝往復も入れてみることをおすすめします。滑らかな岩盤を縫うように流れる蔭ノ滝は、大滝とはまた違った趣きがあります。
プロフィール
斎藤政広(さいとう・まさひろ)
横浜市生まれ、山形県酒田市在住。東北のブナの森や山々をフィールドに歩き、山麓での多彩な自然との出会いを楽しんでいる。おもな著書に『鳥海山・ブナの森の物語』『鳥海山・花と生きものたちの森』『鳥海山・花図鑑』(無明舎出版)、『森のいのち』(メディア・パブリッシング)、『山と高原地図 鳥海山・月山』(昭文社)などがある。
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