みかん狩りは登山⁉ 食欲の秋、家族で小田原みかん狩り体験

ハイカーにとって秋といえば紅葉シーズンですが、山の中では紅葉のほかにも楽しめるイベントが盛りだくさん。「食欲の秋」というように、旬の味覚狩りをテーマにして山を訪ねるのもおもしろいですよ。

たとえば神奈川県南部や埼玉県北部では、この時期みかん狩りでにぎわいます。丘陵地帯の農道や山の斜面いっぱいに実ったみかん畑の中でいただくみかんのおいしさときたら。

今回ぼくたちが向かったのは、神奈川県小田原市の海沿い。以前、曽我（そが）丘陵を歩いた時にたくさんのみかん農園があったことから、いつか小田原でみかん狩りをしてみたいと思っていました。調べてみたら小田原は神奈川県内でみかんの収穫量が1位。甘味と酸味の絶妙なバランスが小田原みかんの特徴だそうです。

まぶしいオレンジ色のお店に到着しました。「ここがみかんのお店かぁ」と子ども。ごめん違うんだ。まずは朝ごはん食べようということでやってきたのは米神地区にある「浜屋」さん。開店前だったので、しばし目の前にある海岸を散策。海の匂いっていいですねえ。

メニューはどれもおいしそうで悩みます。1日数食限定の海鮮丼は必食として、あとは地アジフライ定食、漬け丼も食べたい・・・やっぱり悩みます！

みかん狩りの前にそんなに食べて大丈夫？と思いますよね。逆です。しっかり食べてからみかん狩りに臨むことをおすすめします。実はみかん畑は山の斜面にあるため、しっかりハイキングになるのです。

小田原の海の幸を堪能した後は、本命のみかん狩りです。車で急斜面の坂を上り、オレンジ色の橋が目印の「オーランジェ・ガルデン」さんへ。みかん狩り体験の受付をした後は、時間制（土日祝）で園内を自由に楽しめます。

気持ちのいい青空にみかんの緑とオレンジが映えますね！　家族からは「みかん狩りかと思ったらまた山登りだ！」とツッコまれました（笑）。気づかれてしまったか。

みかんは木によって大きさや甘さなどが違うそうです。日当たりがよくキリっとしたオレンジ色のみかんを選んで、チョキっと切っては試食、その繰り返し。そうそう、鳥についばまれたみかんのある木は甘いという話も。

園内にはベンチがたくさん設置されているのもうれしいポイント。暖かい陽気のもと、ベンチに腰掛けて海を眺めながら食べるみかんは格別の味わいです。

ところで、この近くには石橋山古戦場という源平合戦の舞台があります。300騎余りを従えた頼朝軍でしたが、その10倍を超える平家の軍勢に大敗を喫し、湯河原の洞窟に身を隠したそうです。のどかなみかん畑の山ですが、時代を遡るとここにも戦いの景色があったんですねえ。せっかくだから古戦場にも行ってみない？と提案すると、「もう山登りは・・・」と渋い返答。ですよねえ（苦笑）。

帰るには少し時間が早かったので、小田原城を観光してから帰途に着きました。また次に訪ねるときは、小田原城周りや頼朝関連の歴史スポットを巡ってもおもしろそうです。テーマはみかん狩りでしたが、海、山、歴史とさまざまな出合いが楽しめました。

（山行日程＝2024年11月4日）

スラ男（読者レポーター）

関東近郊の低山をメインに活動。低山で出会う、人と山とが深く結びついた歴史や民俗などを調べるおもしろさにのめりこみ、低山ワールドのさらなる深みへ。そのおもしろさを親子で分かち合いたく、子どもたちの原体験を育む意味も込めて親子ハイキングを始める。