コース選びは距離だけではなく、コースタイムや難易度など情報を多面的に確認しよう 島崎三歩の「山岳通信」 第368号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第368号では、上高地~涸沢間を通るパノラマコースで起きた遭難について言及。距離だけを見るのではなく、コースタイムなど多面的に情報を確認する必要性を訴えている。


11月16日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第368号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月14日(木)、北アルプスの穂高連峰で、2人パーティで入山した22歳の男性が、涸沢から上高地に向けてパノラマコースを下山中、屏風のコルで疲労により行動不能となった。

  • 11月14日(木)、飯田市千代地籍の山林内で、きのこ採りのために2人パーティで入山した81歳の女性が、きのこ採り中に滑落して死亡した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では2件の山岳遭難が発生しました。北アルプス屏風のコル付近で発生した山岳遭難は、上高地から涸沢に向けて登山中、体力不足により到着できず、屏風のコル付近でビバークし、翌日、同行者と共に下山を試みましたが、途中から別々に行動してしまい、さらに疲労により行動不能になってしまったものです。

【屏風のコル】

●コースタイム
登山口~4時間40分~涸沢~3時間30分~登山口(休憩時間を考慮していません)

●過去の遭難
滑落、道迷い、疲労など(死亡事故も複数あります)

●注意点
屏風のコルを経由して涸沢をめざすコースは、通称「パノラマコース」と呼ばれています。夏の終わりから秋にかけて開通し、景色もよく雑誌などにも紹介されますが、上級者向けのコースです。「人とは違うコースを歩きたい」「涸沢からの下りで歩きたい」という方が利用する傾向にありますが、いわゆる「破線コース」のため、初心者の方はご遠慮ください。

地図で見ると、上高地から涸沢までの距離は横尾を経由するよりも近く見えますが、コースタイムをよく見ましょう。距離が短いのに、時間がかかるということは「急登」があったり、鎖や岩場などがあって、技術的に難しいということです。「実力に合った山選び」と「事前の情報収集」をお願いします。

*上高地は11月15日に閉山しました。山小屋等の営業及びバス・タクシーの運行は終了しています。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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