見どころたくさん!東京・玉川上水をたどるハイキング④拝島から羽村取水堰へ
かつて江戸市中を潤した玉川上水。400年近くもの時を経た今では緑道が整備され、豊かな自然が保たれている。町並みや移ろう自然風景だけではなく、近現代の遺構や技術の結集も点在しており、いろいろな発見や学びが得られるのもおもしろい。
写真・文=中島タツヤ、トップ写真=羽村取水堰
いよいよ感動のご対面
すでに左岸の高台との高低差は大きく、明るく開けた平坦な道が続く。ゴールが近づいている雰囲気だ。羽村大橋の下をくぐると水道施設が現われた。第3水門である。
別の記事でも紹介したが、この第3水門で取水された多摩川の原水は、水道管を伝って村山貯水池(多摩湖)に送られる。そしてその水道管上の一部区間は自転車道となっており、例の謎のトンネル群もあるのだ。ここで、ようやく点と点が線でつながった。(参考:謎のトンネル群の先にあったものとは?狭山丘陵の知られざる歴史と自然を訪ねるハイキング)
羽村橋の横を過ぎ、ついに羽村取水堰に到着。取水堰を見下ろす広場には、玉川上水開削に貢献した玉川兄弟の像とあずまやがある。ロードバイクで訪れる人もちらほらいたので、サイクリストの目的地にもなっているのであろう。
これまで歩いてきた玉川上水とは規模が違って、多摩川は広々として開放的だ。この日は水量も多くなく、非常に穏やかな雰囲気であった。取水堰の下流部には緩やかな段差がいくつもつけられていて、段差の小さな吹割(ふきわれ)の滝のようだ、とは言い過ぎか。
さてこの羽村取水堰だが、通常時は投渡堰(なげわたしせき)によって堰き止められた多摩川の水は、第1水門からいったん調整池のような場所に流れ込む。そしてそこから第2水門を通った水は玉川上水へと流れていき、小吐(こはき)水門からは多摩川へと放流される構造となっている。
そして多摩川の水位が上がった場合は、投渡堰の一部が取り払われて流されるという。この技術は、玉川上水ができた時から現在まで継承されているというから驚きである。(参考:東京水道局ホームページ、国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所ホームページ)
長いようであっという間の玉川上水ハイキングも、ひとまずここで終了。浅間橋からここまでの行程を思い出しながら、しばし広場にて静かな時間を堪能した。名残惜しくも車道への階段を登り、すぐそばにある玉川水神社へ向かった。ここには玉川上水を管理していた羽村陣屋があったということで、古めかしい門のみが残っている。
都市近郊の自然探索ハイキング
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ
こちらの連載もおすすめ
編集部おすすめ記事

- 道具・装備
- はじめての登山装備
【初心者向け】チェーンスパイクの基礎知識。軽アイゼンとの違いは? 雪山にはどこまで使える?

- 道具・装備
「ただのインナーとは違う」圧倒的な温かさと品質! 冬の低山・雪山で大活躍の最強ベースレイヤー13選

- コースガイド
- 下山メシのよろこび
丹沢・シダンゴ山でのんびり低山歩き。昭和レトロな食堂で「ザクッ、じゅわー」な定食を味わう

- コースガイド
- 読者レポート
初冬の高尾山を独り占め。のんびり低山ハイクを楽しむ

- その他
山仲間にグルメを贈ろう! 2025年のおすすめプレゼント&ギフト5選

- その他