ブドウ畑の山頂へ。晩秋のワイナリー・ピクニック

晩秋の週末、栃木県足利市にある、ココ・ファーム・ワイナリーでピクニックを楽しみました。ココ・ファーム・ワイナリーは、1950年代にブドウ畑を開いて以来、丁寧なワイン造りに定評のあるワイナリーです。毎年、11月第3土日に行なわれる一大イベント「収穫祭」のにぎわいを避けて、祭りの後の、11月の月末に訪れています。

都内から東武特急りょうもう号に乗り、足利市に向かいます。足利市は、足利学校など中世の歴史・文化を間近に感じられる素敵な町です。駅からココ・ファーム・ワイナリーまでは徒歩だと1時間30分ですが、今回は普段山歩きをしていないメンバーだったこと、ちょうどよい時間にバスがなかったことから、タクシーで向かいました。住宅地を抜け、ワイナリーの入り口に近づくと、徐々にブドウ畑が広がります。ワインショップ前で下車して、予約していたランチボックスと、収穫祭ワインをピックアップします。見上げると、今日の目的地のブドウ畑の“山頂”がドーンとそびえ、斜面にはブドウ畑が金色に輝き広がります。この斜面沿いの道が、山頂までのピクニックコースとなっています。急斜面を目の前にして、登れるかしら、と少し不安な気持ちを抱きながら、ピクニックスタートです。

ブドウ畑山頂方面の道標に従い、急坂を進みます。右手には醸造場、左手には先ほど見た急斜面のブドウ畑が連なります。いきなりの急登に息が上がります。ここを登りきって左に曲がり、ブドウ畑の間のなだらかな農道を歩きます。束の間のほっとできる散歩道です。左手を見ると、急斜面にブドウ畑が階段状に広がっており、眼下には出発地点のワインショップとカフェが見えました。

この斜面では、機械での作業が難しく、すべて人の手で行なわれているそうです。以前訪れたときにはヤギが草をはんでいて、なんともほほえましい光景でした。よくこんな斜面に立派なブドウ畑を作り上げたものよ、と感銘を受けます。

最後のカーブを曲がるとほどなく、山頂のあずまやに到着です。

あずまやからは、足利から広がる関東平野の景色が広がります。はるかかなたに富士山も小さく見えました。あずまやの下は、急斜面のブドウ畑。

あずまやには、ランチにちょうどよい感じのベンチとテーブルがあります。カフェでピックアップしたランチボックスと持ち寄ったおつまみを準備して、収穫祭ワインで乾杯します。普段の登山では、下山するまでは飲まないのですが、今日は特別です。暖かな日差しには、スッキリとした若い白ワインがよく合います。ランチボックスはカフェのオリジナルで、新鮮なお野菜と、フランクフルトやソーセージなどのお肉がバランスよく入っています。

暖かな日差しのもと、ワイナリーと関東平野の景色を眺めながら、ゆったりとランチとワインを楽しみます。この日は、下のカフェは混雑していましたが、あずまやまで足を延ばす人はおらず、終始貸し切りでした。

下山は来た道を戻ります。道路は舗装されていますが、斜度がきついので、慎重にゆっくり進みます。下りは、目の前に広がる景色と紅葉を楽しみながら歩きました。途中、ノジギクらしき花がきれいに咲いていました。最後の角を曲がると、ゴール地点のカフェ前に無事到着です。歩行時間は約30分（休憩時間除く）の、晩秋のブドウ畑のピクニック。今年も豊かな気持ちを大切な仲間と味わえたことに感謝いっぱいの時間でした。

（山行日程＝2024年11月23日）

naobon（読者レポーター）

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。