雪の少ない今の時期、アイゼン着脱のタイミングや足の置き方は慎重に 島崎三歩の「山岳通信」 第372号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第372号では、充分に雪の量がない今の時期の雪山の注意点について言及。アイゼン装着のタイミングや足の置き方などでは、特に慎重な行動が必要と説明している。


12月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第372号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 12月13日(金)、上田市の虚空蔵山で、3人パーティで入山した53歳の男性が、虚空蔵山から下山中に何らかの原因で滑落、死亡した。

  • 12月14日(土)、八ヶ岳連峰のにゅうで、単独で入山した52歳の男性が、ミドリ池登山口から入山してニュウに向けて登山中、アイゼンを木に引っかけて転倒、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、2件の山岳遭難が発生しました。八ヶ岳連峰のニュウで発生した山岳遭難は、山頂に向けて登山中、アイゼンを木に引っかけて転倒、負傷して行動不能になったものです。県警ヘリコプターが登山者を捜索・救助しました。

遭難時、ヘリコプターに自分の位置をいち早く知らせるためにも、冬山では特に

  • 明るい色の派手な服装、ザックなどを身につける
  • ツエルトなどを振る
  • ヘッドランプを点滅させる

などの対応をお願いします。

【八ヶ岳連峰ニュウ(*にゅう、乳の表記もある)】

〇コースタイム(無雪期)
ミドリ池登山口~シャクナゲ尾根~分岐~ニュウ 3時間50分

〇現場付近の積雪について(本年12月14日現在)
登山道や現場付近での積雪は10~20cm程度でした。

この時期は、まだまだ積雪が少ない場所も多く、

  • 凍結している場所
  • 少ない雪の下に木や岩が隠れている場所
  • アイゼンがなくても歩けそうな場所

などが登山道上の随所に現われ、アイゼンをどのタイミングで脱着するのか、足をどこに置くのかなど、歩き方に気をつかう時期でもあるので、より慎重な行動をお願いします。

 

登山Safety Book~冬山山岳情報、完成

今年度の『登山Safety Book~冬山山岳情報』が完成しました。北アルプスや八ヶ岳連峰をはじめ、長野県内の各山域ごとに、積雪の状況、雪崩の危険箇所、迷いやすい場所、交通情報などをまとめており、冬山登山の最新情報や注意事項が満載です。長野県警察本部の「山岳情報」のサイトに掲出されていますので、ご確認ください。 

雪山に登るための“3つのチェック”

  • 山の天気予報の確認 ⇒ こんなキーワードには警戒しましょう!  ・・・・・・冬型の気圧配置、強い寒気、強い風
  • 雪山装備の確認 ⇒ 雪山のリスクに対応した装備を携行しましょう! ・・・・・・低体温症・凍傷、転倒・滑落、雪崩・ホワイトアウト 
  • 登山計画書の提出 ⇒ 登山計画書には大切な意味があります! ・・・・・・事前のシミュレーション、捜索・救助の手がかり

 

御嶽山火山マイスター事前講習

“御嶽山火山マイスター”の事前講習に参加してみませんか。御嶽山噴火災害の経験や御嶽山が作り出す自然と火山の繋がりなど、多くの人に「火山との共生」を考えるきっかけを提供し、火山防災のために熱く活動する“御嶽山火山マイスター”。ぜひ、事前講習に参加してみませんか。事前講習のみ受講することも可能です。

日時: 
 令和7年1月11日(土)  
 10時~12時 事前講習① 火山と噴火の基礎知識 ほか 
 13時~15時30分 事前講習② 御嶽山における火山の特徴 ほか   
申し込み締切: 令和6年12月26日(木) 
問合せ先: 御嶽山火山マイスター運営委員会事務局(長野県危機管理防災課)026-235-7184

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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