バックカントリーエリアは命の危険を伴う場所という認識をもって入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第373号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第373号では、北アルプス中遠見山でのバックカントリー中に起きた遭難事故について取り上げ、入山前の判断の大切さを説明している。
12月24日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第373号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
12月17日(火)、戸隠山麓の鏡池で、単独で入山した74歳の男性が、戸隠の鏡池から戸隠神社奥社に向かう途中に道に迷い、行動不能となった。
12月20日(金)、北アルプスの中遠見山で、単独で入山した42歳の男性が、中遠見山からバックカントリーを滑走中に沢に入り込み、装備品の紛失などにより行動不能となった。
12月22日(日)、八ヶ岳連峰の醤油樽の滝で、2人パーティで入山した54歳の男性が、醤油樽の滝をアイスクライミング中に転落して負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、県内では、2件の山岳遭難が発生しました。北アルプスの中遠見山で発生したバックカントリー遭難は、SNSに投稿された内容を参考に滑走していたところ、沢の雪が少なく、行動不能になったものです。
救助活動後の聴取によると、遭難者は、
- 沢に落ちてしまって体が濡れている
- スノーボードから履き替えたスノーシューを途中で紛失
- ビバークセット無し
という状態でした。
長野県内では、平地でも積雪があり、スキー場も各地でオープンしていますが、この時期はバックカントリーエリアの積雪が充分ではありません。このため、岩や樹木が露出して負傷の原因になったり、途中で滑走できなかったりするなど、多くの危険が伴います。また、雪の状態もわからないまま単独で入山、滑走した場合には、沢に落ちて通報ができない状況に陥る可能性もあります。
滑走前に『バックカントリーエリアは命の危険を伴う場所』という認識をもち、入山を判断するようお願いします。
登山Safety Book~冬山山岳情報、完成
今年度の『登山Safety Book~冬山山岳情報』が完成しました。北アルプスや八ヶ岳連峰をはじめ、長野県内の各山域ごとに、積雪の状況、雪崩の危険箇所、迷いやすい場所、交通情報などをまとめており、冬山登山の最新情報や注意事項が満載です。長野県警察本部の「山岳情報」のサイトに掲出されていますので、ご確認ください。
雪山に登るための“3つのチェック”

- 山の天気予報の確認 ⇒ こんなキーワードには警戒しましょう! ・・・・・・冬型の気圧配置、強い寒気、強い風
- 雪山装備の確認 ⇒ 雪山のリスクに対応した装備を携行しましょう! ・・・・・・低体温症・凍傷、転倒・滑落、雪崩・ホワイトアウト
- 登山計画書の提出 ⇒ 登山計画書には大切な意味があります! ・・・・・・事前のシミュレーション、捜索・救助の手がかり
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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