スキー場のゲレンデとバックカントリーの「リスクの差」を理解して入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第376号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第376号では、期間中に起きたバックカントリーでの遭難事故を取り上げ、スキー場のゲレンデとバックカントリーエリアのリスクの差を理解し、入山することを説明している。
1月16日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第376号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
1月6日(月)、北安曇郡小谷村千国地籍親沢付近の山中で、バックカントリースキーのために入山した3人パーティ(27歳の男性、27歳の男性、26歳の男性)が、滑走中に道に迷い行動不能となった。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、長野県内では、1件の山岳遭難が発生しました。
北安曇郡小谷村親沢付近で発生した山岳遭難は、バックカントリーを滑走中に道に迷い、行動不能になったものです。3名は雪洞を掘り、一晩ビバークをして、翌日、救助隊員によって発見救助されました。
スキー場の管理されたゲレンデとバックカントリーエリアの違いは「リスクの差」です。スキー場は雪崩が起きないよう管理され、点検で危険なコースと判断すれば閉鎖されます。コースが分岐する場所には、目印の看板が設置され、迷うこともありません。もし、道に迷っても、スキーパトロールが駆けつけ、ケガをしていれば応急処置をして、スノーモービルなどで搬送してくれます。
一方、バックカントリーエリアにはそのすべてがありません。一歩バックカントリーエリアに足を踏み入れたら、雪崩リスクの評価・ルートファインディング・救助隊員が到着するまでの応急処置からビバークまでのすべてを自分でやらなくてはなりません。
決して安易な気持ちでバックカントリーエリアに踏み込まないでください!
外国人向け啓発動画&雪山・バックカントリー安全啓発動画 公開中!
昨年末からバックカントリーでの遭難が相次いでいます。こうした遭難を防止するため、入山者に対する啓発活動を実施します。長野県警山岳安全対策課、県山岳高原観光課、各地域振興局、地区遭対協らの各担当者がチラシやステッカーを配布したり、スキーヤーから聞き取りを行ったりして、安全スキーを呼びかけます。
■Ski Safety in NAGANO
⇒https://db.go-nagano.net/en/staying-safe-in-the-backcountry/
■バックカントリー装備
⇒https://www.youtube.com/watch?v=6wSpi_ufRlo
■雪山での危急時に役立つ簡易雪洞
⇒https://www.youtube.com/watch?v=EEnTxQRrieM
また、バックカントリースキーなどによる冬山遭難を防止するため、 白馬および志賀高原スキー場への玄関口である長野駅において 、主に訪日外国人に向けた冬山安全啓発を実施します。
1月24日(金)には八方尾根スキー場、栂池スキー場。2月7日(金)には野沢温泉スキー場にて活動予定です。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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