抜群のフィット感&操作性のグローブ スワニー/トレイルフレクサーグローブ|高橋庄太郎の山MONO語りVol.114
細かい操作もスムーズ!
ところで、僕はいつもコンパクトカメラでこの連載のすべての写真を撮っている。厚手のグローブをしている寒い時期は、三脚を立てて自撮りをするときなど、やはりグローブを外さないと細かな作業は非常にしにくい。

その点、トレイルフレクサーグローブならば、よほど細かな操作をするとき以外はグローブをしたままでも問題なかった。スマートフォンは使えないものの、さすがは柔軟なレザーを使っているだけのことはあり、操作性の高さはすばらしい。
たとえば、アウターのファスナーの引き手が小さくても、難なくつかむことができる。

レザー越しに“なにをつかんでいるか”もよくわかり、指先の感覚はこんなときも充分だ。
小さめのバックルもすばやく脱着できた。

極細のロープを結んだりほどいたりするのは難しいだろうが、一般的な登山の際はグローブをしたままで大半の作業は可能だ。
そんなトレイルフレクサーグローブだから、トレッキングポールも扱いやすい。

指先が自然に曲がっているため、一般的な登山用グローブほどグリップを握るために力を入れる必要がないのである。

分厚いグローブでトレッキングポールを使っていると、それだけで手が疲れてしまうが、トレイルフレクサーグローブであれば、かなり疲労も抑えられる。

また、ストラップで手の甲が圧迫されても違和感はない。トレイルフレクサーグローブとトレッキングポールとの相性は良好であった。
防水性も試してみた。先に述べたように、ゴアテックスは素材自体としては防水性をもっているものの、それを使ったゴアテックスインフィニアムは製品のデザインの自由度を高めるために完全防水はうたってはいない。ゴアテックスインフィニアム製品は、生地の縫い目が防水されていなくてもいいからである。だから、水に濡れれば浸水してきても仕方がないともいえる。
それを踏まえたうえで、トレイルフレクサーグローブを思い切って冷たい沢水につけてみた。

グローブにとっては、みぞれのように水分量が多い雪が付着したとき以上の悪条件だ。そして30秒ほど……。

だが、これだけ縫い目が多いグローブにもかかわらず、内部への浸水は感じられない。新品で初期性能が保たれていることを差し引いても、予想以上に水濡れには強いようである。本来は防水性のグローブではないので過度に期待してはいけないが、よほどひどい条件でなければ、使用中に内部が濡れる危険性は低そうであった。
ところで、ひとつ気になったのが、バックルの位置だ。見ての通り、トレイルフレクサーグローブには左右のグローブをひとつにまとめるための小さなバックルがつけられており、バックルを外すと、右手は小指側、左手は親指側にパーツが分かれる。

言い方を変えると、グローブをはめたときには、右手はバックルが手の裏側に、左手はバックルが表側に位置する。この状態で左手を顔に近づけて、サングラスを外したり、鼻をかんだりすると、バックルが顔に当たって邪魔になり、ストレスを感じる。グローブ本来の機能の話ではなく、些細なことだとは思うが、左右ともに小指側にバックルがついていれば顔に当たることがないのに、と思わされた。
このトレイルフレクサーグローブは日本人の手の形に合わせてデザインを設計しているという。

なるほど、たしかにフィット感はすばらしかった。欧米の人の手の形が日本人とどのように違うのか、僕には専門的なことはわからないが、日本人の手に合わせてこれだけのフィット感を生み出していくスワニーの技術力の高さは理解できたのであった。
まとめ:出番が続きそうなグローブ
気温0℃前後で、ときどき強い風が吹くという今回のテストの条件下では、トレイルフレクサーグローブは抜群に調子がよかった。反対に言えば、もっと気温が高ければ蒸れが強くなっただろうし、もっと気温が低ければ指先が冷えた可能性はある。もともとグローブというものは条件によって数タイプを使い分けなければ快適ではなく、トレイルフレクサーグローブは低山ならば厳冬期でも活躍するだろうし、高山ならば秋や春先くらいが適しているに違いない。今年の冬はいまだ寒さの頂点には達していないと思われるが、それぞれの山の状況に合わせ、トレイルフレクサーグローブの出番はこれからも当分続きそうだ。
今回のPICK UP
スワニー
トレイルフレクサーグローブ

| 重量 | 90g(メンズMサイズ、実測) |
|---|---|
| 価格 | 14,300円(税込) |
プロフィール
高橋庄太郎の山MONO語り
山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート!
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