武蔵野の雑木林ホッピング。野火止用水をたどるハイキング①
野火止(のびどめ)という名には、雑木林や田畑が広がる武蔵野を連想するような響きがある。玉川上水の分水の一つ・野火止用水周辺には所々に雑木林が残っており、ふと出くわす風景にどこか懐かしさを感じられるかもしれない。
写真・文=中島タツヤ、トップ写真=野火止用水沿いの本多緑道
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はじめに
野火止用水は、東京都立川市から埼玉県志木市まで約24kmにわたって延びる用水で、江戸期の1655(承応四)年、玉川上水から分水する形で武蔵野台地に開削された。現在では埼玉県指定史跡になっているほか、都下ではいくつかの樹林地と合わせて野火止用水歴史環境保全地域として保全されている。
野火止用水沿いの魅力は、なんといっても武蔵野の雑木林だ。特に規模が大きいのは埼玉県新座(にいざ)市にある平林寺(へいりんじ)周辺。そして都下の野火止用水歴史環境保全地域には、大なり小なりの雑木林が点在する。
野火止用水沿いの道は、玉川上水沿いとは異なりほとんどが舗装路だが、部分的に緑道や雑木林を歩ける区間がある。現在では下流部はほぼ暗渠になっていると思われたため、今回は新座を起点として野火止用水をたどってみた。
広大な雑木林・平林寺境内林
武蔵野線新座駅の駅前ロータリー脇から、せせらぎが流れる「ふる里小道」を進んで野火止用水公園へ。
川越街道を歩道橋で渡り、緑の多い野火止公園沿いに進むと山下橋の交差点に着く。ここから畑を横目に緑道に入っていく。平林寺境内林の雑木林が広がり、とても穏やかな風景だ。
平林寺は南北朝時代、岩槻(いわつき)に創建された禅寺で、江戸期の1663(寛文三)年に現在の場所に移転した。その広大な境内林は雑木林として国内唯一、国の天然記念物に指定されている。境内には野火止用水を開削した松平伊豆守信綱(まつだいらいずのかみのぶつな)の墓がある。
しばらく平林寺境内林沿いに進み、伊豆殿橋で車道に出る。ここからは用水沿いの道はないため平林寺堀沿いのトレイルへ向かう。雑木林や畑を横目に、野菜直売所を過ぎて車道に出る。その先の交差点まで歩道がないので注意。
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