バックカントリーに出る場合、アクシデントに対応できる知識・技術・装備の準備を 島崎三歩の「山岳通信」 第379号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第379号では、バックカントリーでの遭難が続発している状況を説明し、あらためてアクシデントに対応できる知識・技術・装備が必要なことを説明している。


2月6日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第379号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月27日(月)、野沢温泉村の毛無山で、バックカントリー滑走のため2人パーティで入山した40歳の男性が、スキー場管理区域外で山林内を滑走中に転倒して負傷した。

  • 1月29日(水)、野沢温泉村の毛無山で、バックカントリー滑走のため3人パーティで入山した30歳の女性が、スキー場管理区域外で山林内を滑走中に道に迷い、行動不能となった。

  • 1月29日(水)、北安曇郡小谷村千国地籍の山中で、バックカントリー滑走のため3人パーティで入山した3名の男性(68歳、67歳、76歳)が、滑走中にスキー板のビンディングが外れて行動不能となった。

  • 2月1日(土)、下高井郡山ノ内町大字平穏地籍の山中で、バックカントリー滑走のため単独で入山した76歳の男性が、滑走中になんらかの原因で行動不能となり、2月3日に発見されたものの死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、4件の山岳遭難がありました。4件ともにバックカントリー遭難で、うち1件は死亡遭難です。

スキー場とバックカントリーは「まったく別の世界」です。スキー場では来場者の安全のためにスキーパトロールが日々、安全管理を行なっていますが、バックカントリーではそのような措置はとられていません。スキー場の管理区域外へ一歩出れば、厳しい冬山の世界が広がっています。バックカントリーを滑走する場合は、アクシデントに対応できる知識・技術・装備が必要です。

  • ●ハイクアップ装備を携行
    スノーシューやクライミングスキン(シール)を携行し、登り返す技術が必須

  • ●雪崩対策装備の携行と活用
    雪崩ビーコン・プローブ・スコップを携行し、使いこなす技術が必要

  • ●ビバーク装備の携行
    ツエルト(簡易テント)・ガスバーナー(ストーブ)・食料・防寒着などを携行

最低限の装備品は携行しましょう。雪洞やイグルーなど雪を掘る技術も必須です。計画もなく、装備もなく、技術もなく、着の身着のままでスキー場の管理区域外に出て滑走する行為は大変危険です。安全を最優先にした判断と、責任ある行動をお願いします。

 

外国人向け啓発動画&雪山・バックカントリー安全啓発動画 公開中!

昨年末からバックカントリーでの遭難が相次いでいます。こうした遭難を防止するため、入山者に対する啓発活動を実施します。長野県警山岳安全対策課、県山岳高原観光課、各地域振興局、地区遭対協らの各担当者がチラシやステッカーを配布したり、スキーヤーから聞き取りを行なったりして、安全なスキーを呼びかけます。   

■Ski Safety in NAGANO     
https://db.go-nagano.net/en/staying-safe-in-the-backcountry/

■バックカントリー装備     
https://www.youtube.com/watch?v=6wSpi_ufRlo

■雪山での危急時に役立つ簡易雪洞     
https://www.youtube.com/watch?v=EEnTxQRrieM

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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